「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

戦争の犠牲者と加害者

2006-08-30 05:47:28 | Weblog
NHKの深夜11時代のラジオ番組で61年目のアジアと戦争について
シリーズで放送している。たまたま28日と29日の2夜、日本人のフィ
リピン従軍経験者の当時の体験をビデオにして現地へ送る運動をして
いる若い日本人女性の話を聴いた。ビデオを見ずに批判しては申し訳
ないが、運動の出発点に誤りがり、間違えると折角の善意がかえって
悪影響を与えるのではないかと危惧した。

彼女のこの運動の起点は、数年前ネグロス島で聞いた現地人の悲惨な
戦争被害体験であった。戦後世代はほとんど戦争中の出来事について
知らされていないし勉強していない。現地人の体験が事実であるかど
うかは別として、彼女がこれを出発点にして戦争について関心をもち
この運動を始めた。それはそれでよいのだが、問題は現地人は被害者
日本人は一方的に加害者だという観点だ。

10数年前、早稲田、慶応、学習院の大學の先生方がスマトラの防空壕
で、日本軍が労務者が3千人を虐殺したという現地のデマを真に受けて
新聞や自分の本に書いた。三人とも日本国内でデマの真否を調査する
努力をしていない。頭から日本軍は加害者だと信じこんでいた。

戦争には加害者も被害者もない。全部被害者なのだ。戦争は理屈では
説明できない。かりに住民を殺した兵隊がいても、それは軍の命令による
リラクタントな行為で、彼も被害者である。戦争中の出来事は冷静に
史実の上にたって調査すべきである。虐殺があったのも事実である。
研究者はこれを直視して研究して欲しい。