「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      集団自決のあの時代と歴史認識

2007-10-03 05:52:30 | Weblog
沖縄で悲惨な集団自決があったころ、僕は本土決戦を控えて江戸川運河で
上陸用舟艇を通すための掘削工事に従事していた。中学三年生。来る日も
来る日も空腹のなか、モッコを担ぎ、監督の兵隊から"沖縄を思え”とハッパ
をかけられていた。沖縄戦で犠牲になった”ひめゆり部隊”や”健児隊”と同
世代である。

先月末、沖縄の宜野湾市で日本軍が集団自決を強制したとの記述を削除し
た政府の検定意見を撤回せよと大規模な抗議集会があった。集団で採択
された決議には「日本軍の関与は明白」とあった。戦争だから当然だ。が
軍の命令系統による強制はありえない。戦争がもう少し長引けば、僕も敵に
向かって突撃するか、自害したと思う。”生きて虜囚になるよりも”という戦陣
訓が僕ら子供にも徹底していた。むしろ自害用に手りゅう弾を渡されたら、こ
れで楽に死ねる、と喜んだかもしれない。狂気の時代である。

一連のこの騒ぎで気がかりなのは、沖縄県人ではなくて外部の勢力が集団
自決を政治利用しようとしていることだ。例えば1982年の朝日新聞の「侵略」
誤報事件のころ、マレーの通常の作戦行為を、華僑虐殺事件にしたてて、教
科書会社に、日本兵による赤ん坊宙ぎり事件を売り込んだ男が、今回の事件
にも関与している。この男は例の天皇有罪を宣告した「国際女性法廷」のメン
バーでもある。

宜野湾市の集会を伝えた現地の新聞に自民党の山崎拓・元副総裁が地元議
員激励会の席上、強制集団自決記述の削除について自派閥の渡海紀三朗・
文科相に検定の見直しを省令に基づき勧告する旨の記事が載っていた。沖縄
の仲井眞知事は急遽、上京し渡海文科相と話し合うそうだ。

渡海文科相は「政治が教科書検定に介入してはいけない」といっているが、こ
の運動そのものが特定の変な政治勢力の介入によって扇動されている事実を
直視すべきである。根は深く、家永教科書問題にまでさかのぼるのをご存知な
のかー。「従軍慰安婦」問題の”河野談話”の二の舞にならないよう切に願う。