「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

                老人とバス

2007-10-18 04:44:20 | Weblog
東京都では都内の路線バス、都電、都営地下鉄が自由に乗れる「シルバーパス」
を70歳以上の老人に発行している。年間1千円払えば、このパスが貰える。都内を
走るバスは”non step"(non stopではない)-つまり階段なしに楽にのれるので老
人には便利で利用者は多く、いつも混んでいる。

一昨日都心のホテルで93歳の先輩の話を聞くため、近くのバス停から都バスに乗
った。以下はその見聞。

僕の後に腰の曲がった老人が乗ってきたが、なぜか「シルバーパス」ではなく、私
鉄パスしか持っていない。運転手がそれを見とがめ、説明している。耳が遠いため
老人は理解できない。僕は一瞬”乗せてらればよいのに”と思ったが、やはり規則
は規則である。と、見ると後続の私鉄バスが後ろにきた。運転手は親切に老人を
誘導して後ろのバスに乗せた。

スーパー前のバス停から、大きな荷物を抱えた年配の女性が、若い女性に付き添
われて乗ってきた。僕は年配の連れと思ったらスーパーの店員だった。眼も悪い女
性に気遣いバスにまでついてきてくれたのだ。女店員と運転手の会話から、僕は女
性客の降りる停留所を知っていたが、そのバス停が来ても、だれも手を貸してやろ
うとしない。同じ老人が老人の手助けするのは、若い人へのあてつけみたいだが、
彼女の手をとり降ろしてやった。

10月16日の英字紙「ジャパン・タイムス」の”view from street"という投書欄に17
歳のドイツの少年が”日本人の若者は何故車内で老人に席を譲らないのか解らな
い。不思議だ”と投書していた。この現象は僕ら老人にも解らない。急に日本人全体
が性悪、薄情になったとは思えない。一昨日の僕の体験からも性善、親切な若者も
いる。結局、たどりついた僕の結論は、最近の日本人はシャイな人間が多く、老人に
親切を!と心には思いながらも行動に移せないのではないかーということだ。
どうだろうかー。