「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

              「紅玉」の復権

2007-10-27 05:20:57 | Weblog
信州生れの老妻は、毎年この時期になるとリンゴがふんだんに自分の手元に
ないと不安らしい。先日「竹馬の友」と紅葉狩りに行ったときも老妻から帰りに
には宅急便でリンゴを送るよう頼まれた。友人の奥さんの案内で地元の農協
直営のスタンドに立寄り買おうとしたところ、申訳なさそうに売り切れてしまって
ないという。仕方がないので帰ろうとすると「紅玉ならありますが」という。紅玉
は地元ではリンゴ扱いされていないらしい。

老妻が欲しがっていたのは、今様の新種ではなく、昔の歌の文句にあるような
"私は真っ赤なリンゴ”の紅玉、国光なのだ。果たしてそんな古い種類のリンゴ
が今どきあるかなと心配していたから、僕にとっては"渡りに舟”だった。

昔はリンゴといえば紅玉、国光であった。明治の初めに米国から入ってきたこの
二種のリンゴは、昭和30年代に輸入バナナが解禁される時期ごろまで果物の王
座の地位にあった。しかし、そのころから消費者の舌の多様化から、売れ行きに
陰りが出て、平成に入ると富士などのデリシャス系に押され、最近では店頭から
も消えた。

しかし最近、紅玉は復調の兆しが見えてきたようだ。あの酸っぱさのきいた甘味
と多汁の口当たりが見直されてきた。ネットでも紅玉専門の店が出てきた。ジャム
などの加工やサラダなどの調理用によいようだ。

どさっと荷がついて老妻も一安心。僕が安曇野の宿で買ってきたた4個500円の新
種の大きなリンゴより、形は小さいが値段は半値、味も深味があって美味しい。