「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

     「葉山御用邸」前、冷房のない店のグルメ

2008-07-24 06:01:27 | Weblog
葉山といえば、天皇家の御用邸もあり、セレブの町として有名だが、昨日、老妻と
入った店は、今どき珍しく冷房がなかった。”ここが一番涼しいでしょう”と案内さ
れた席の頭の上には「三丁目の夕日」の頃の扇風機が回っていた。そして、あい
ている窓から入ってくる海からの遠い風は、忘れかけてていたあの自然の風で心
地がよかった。

店はバス停「御用邸前」の目と鼻の先にある。建物はおそらく「三丁目の夕日」の
頃より前に建てられたのだろう。木造で看板の一部もハゲかかっていた。一瞬、
二人とも入るのを”逡巡”するぐらい、お世辞にもきれいとはいえない。壁に張られ
た手書きのメニュー(30種類はあった)から老妻は、定番のかたい焼きソバ、僕は
迷いなく「サンマーメン」を注文した。

「サンマーメン」は生馬麺(本来は石編に馬)と書き、戦前横浜の中華街が「南京町」
と呼ばれていた頃、たいがいの大衆店でラーメンとならんで人気の麺だった。モヤシ
を中心に炒め、片栗粉をとかしてあんかけにした麺だ。戦争をはさんで人気がなく
なったが、今でも横浜中華街の老舗の店のメニューにあり食べられる。

店の常連の会話から、この店の料理はどれも大盛だと理解していたが驚いた。普通
の店の1・5倍はある。金婚式をすぎた老夫婦には多すぎる。とり皿を店から借りて、せ
っかくの料理を残さないよう汗をかきかき平らげた。かたい焼きソバも「サンマーメン」
も一皿六百円、満足感のあるグルメであった。