「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          日系オランダ人の悲劇

2010-06-20 05:37:45 | Weblog
サッカーにあまり関心がない僕も昨夜は人並にテレビで”サムライ日本”を応援した
が、善戦むなしく敗退した。オランダは徳川300年、長い鎖国の日本にあって唯一、
わが国と交流のあった国だが、今の日本人はこの国について知らない。まして、さき
の戦争で先に宣戦布告してきた敵国であったことなど知る人は少ない。

昨日、僕は知人の誘いで明治神宮外苑で開かれた”日系オランダ人”の会に顔を出
した。”日系オランダ人”とは、日本軍の占領下のインドネシアで日本軍の軍人や軍
属とオランダ系原住民との間に生まれた混血で、戦後、インドネシア政府によって
オランダに”追放”された人たちである。その数は推定で1000人は越えているという。

彼らはオランダ国内で、自分たちの出自、日本人の父親探しを求めて活動しているが、
戦後65年も経ち、しかもプライバシーにかかわる問題だけに思うように進んでいない。大
阪居住の内山馨さん(86)が、まったくボランテイアとして彼らの父親探しの受け皿と
なり、この15年に75件の依頼を受けたが、成功した例は少ない。

戦争は惨めである。彼らにはまったく罪はなく深く同情する。しかし、彼らの父親は無責
任で”さむらい”の行為ではない。戦後の混乱期、同じような境遇にあった人たちでも現
地人の妻子を連れて日本に帰国した人を僕は沢山しっている。ジャカルタで最古の日本
料理店の経営者の菊池さんもそうだし、東京のインドネシア料理店”せでるはな”の経営
者であった田中さんもそうである。

65年という歳月はあまりにも彼らには重過ぎる。しかし彼らの探している父親がまだ存命
ならば、今からでも遅くない。名乗り上げてもらいたい。