「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

菊の佳節 明治ははるか遠くなりにけり

2017-11-03 05:28:49 | 2012・1・1

今日、11月3日「文化の日」は国民の祝日である。と、いっても何か”文化”の日なのか今一つ僕にはピンとこない。やはり僕には11月3日といえば戦前の「明治節」であるる。”亜細亜の東、日出るところ聖じりの君の現われまして”で始まる「明治節」の歌は70余年たった今でもソラで歌える。歌詞の一節にある”秋の空澄み菊の香り高き”当時の「明治節」の情景だ。門ごとに掲げれた日の丸と共に強く目に残っている。

戦前昭和の頃は、東京では菊造りが盛んであった。路地奥の狭い三軒長屋の軒先にも菊の大輪が咲いていた。とくに本郷は”菊坂”という地名があるように、江戸時代は菊の苗畑があった。団子坂では。明治の末まで菊人形展が開かれ賑わっていたそうだ。その名残で僕の子供だった頃は毎年、両国の国技館でも開かれ大勢の人出で賑わった。国技館のほかにも多摩川園などでも昭和30年代頃までは開かれていた。

東京も高層の集合住宅が多くなり、昔のように丹念して菊造りをする家が少なくなった。わが家には、もともと優雅な菊造りの趣味がない。階下の”猫のひたい”程の庭には、老妻がどこか花の安売り店から求めてきた黄菊が健気にも季節の花を咲かせているが、あまり香りはしてこない(写真)漱石生誕150年だそうだが、当時の本郷界隈の菊の賑わいは今はない。明治は、はるか遠くになりにけりである。