「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「お山の杉の子」 「森林バンク」

2017-11-04 05:34:48 | 2012・1・1
戦時中(昭和19年)流行した童謡に「お山の杉の木」がある。
  ♯「お山の杉の子」(作詞吉田テフ子 作曲佐々木すぐる)
   昔々のその昔 椎(しい)の木林(はやし)のすぐそばに
   小さなお山があったとさ あったたとさ
   丸々坊主の禿(はげ)山はいつもみんなの笑いもの
   これこれ杉の子起きなさい お陽(ひ)様 ニコニコ声かける
戦意高揚の一環として小国民協会が一つとして一般から懸賞募集して一等作に選ばれた歌で、戦時下空気を反映している。

昭和19年といえば、戦局が悪化し、あらゆる物資が欠乏してきた。僕ら銃後の小国民はタバコの銀紙を丸めて玉にしたり、磁石に紐をつけて引っ張ってクズ鉄を集め陸軍省に持参したりした。農山村でも木材の急速な需要の高まりから伐採が多くなり、その跡の禿山に植樹することが奨励された。植樹されたのは、成長が早く加工しやすい杉が中心だった。

その杉が戦後一時は戦後の復興に役だったが、外国からの安い輸入材がはいってからは見捨てられ、人出不足から間伐も出来ず林は荒れたままになっている。そして今は花粉症の元凶として悪玉視されている。人間は随分と勝手なものであるが、ようやく林野庁が中心となって「森林バンク」を作り荒れた人工林の対策に乗り出した。一口で言えば、「森林バンク」とは、荒廃した杉の私有林を集約して市町村が再整備して造林に意欲ある民間業者に貸し出す制度である。

国土の三分の二が森林である。そしてその四割強が人工林である。国をあげて「森林バンク」の成功に取り組もう。