昨日、前から在日インドネシア大使館を通じて協力を御願いしていた老生の蔵書を大学など研究機関に寄贈したいという申し出に対して、大東文化大學で教鞭をとるミヤ.ドゥイさんと夫君の国士館大学講師、ジャクハールさんの來訪を受けた。老生は新聞社のジャカルタ特派員、その後のフリーの時代を含めて半世紀上インドネシアと関係があり、200冊以上蔵書がある。しかし、すでに卆寿の年齢を過ぎており、最近はフレイルの度合いも深まってきてお役にたっているとは思えない。そこで、断捨離世代だが、思い切って寄贈を決意した。
お二人は政治学、アセアン地域の近代政治を専門としているが、細かい分野については違う。お二人で相談して老生の蔵書を分配するそうだが、貴重な一冊は日イの研究者の間で”幻の一冊”といわれる、日本人の実業家、佐竹氏が1930年ロンドンで出版した写真アルバム「Sumatora Jawa Bali」である、内容はスマトラ、ジャワ、バリ島の自然と風俗の紹介だが、一部はカラーで撮影されており、何より豪華な装丁である。驚いたことにお二人ともこの本をご存じだった。
老生はこのSatake アルバムを30年ほど前、戦時中の旧日本軍による防空壕虐殺虚妄を調査中知り合った近衛歩兵連隊の松浦中尉から譲り受けた。松浦中尉は既にこの世にはないが、老生はその旨、お譲りしたアルバムに書いておいた。じゃがたらお春の足跡から数えれば日イ関係の歴史は長い。正しい視点から老生の寄贈した本が役立てばよい。