CQ誌にも記事が載って、関心度が高まっている特定小電力トランシーバーについて、少々お話しします。
出力は 1mWと10mW 機種によっては切り替え可。
周波数は422MHz帯が中心
シンプレックス、フルデュープレックス、中継モードなどなどいろんな交信方法が(機種によって)可能です。
出力が弱いので、比較的近くに居る者同士での通信業務に使用することが想定されている無線です。
ですから、シンプレックス以外のいろんな使い方が出来、それぞれの業務に合った使い方に対応しています。
お仕事では、買う段階で使い方がすでに想定されているので、同時通話専用機とかいろいろあるので買うときは普通のシンプレックスモードがあるやつを必ず選びましょう。
チャンネルはレジャー用、ビジネス用と分かれていますが、一般向けのレジャー9ch機、ビジネス用の11ch機が売られていました。実際の使い方には制約があまり無いので、ビジネス用チャンネルをレジャーで使っていけないとか、そういうのは無くて、売る対象でとりあえず混信を防ぐためにわけていた、そんな感じです。
最近の機種は両方使えるものが多くなり、どこでもレジャー、どこでもビジネス、混在となっています。
必ずと言っていいほど装備されているのがグループ機能。つまりトーンスケルチです。これを使うと受信にはいいのですが、他の通信に混信を与えても気がつかないので若干注意が必要ですね。
88.5Hzを使うのが習慣で、アルインコのリグだと08番になります。チャンネルの表示やトーンの周波数の表示はメーカー毎に異なるので、相互に通話するときは、実際に同じ周波数、同じトーン周波数で出るように、チャンネル一覧表などで調べてから運用しましょう。
今特小界ではアルインコのユーザーが最も多いので、そのチャンネル名が一番通りがいいです。
さて、なぜアルインコのリグが一番多いのでしょうか。
それは、よく聞こえ、よく飛ぶからなんです。
特定小電力トランシーバーは10mW、アンテナも取り替え不可能、どうせ大差ないとお思いでしょうが、それは違います。むしろこのギリギリの世界だからこそ、よく飛ぶ、よく聞こえるトランシーバーは限られてきます。
定評がいいのが、アルインコDJ-R20D、DJ-P23L(廃番、後継機はP24L)で、最高交信距離記録にチャレンジするには是非用意したい機種です。どちらもロングアンテナタイプです。他にもいくつかありますので、いろいろ調べてみてください。
平野を眼下に見下ろす山の山頂、ビルの屋上などが運用のベストポイント。スピーカーマイクを使って本体は高く持ったりするとあと少しの時に違ってきます。
山に登ったら全チャンネルをワッチし、だれかCQを出していないか、CQを出した交信をやっていないか聞いてみましょう。どこかの大型店の駐車場係の方や、工事現場で交通規制している人の交信が聞こえてきたりします。業務に混信を与えないように注意しながら、空いているチャンネルを見つけたら、しばらくワッチ、チェックを入れてからいよいよCQを出しましょう。
CQの出し方も、呼び方もアマチュア無線と同じで大丈夫。問題はコールサインですね。
特定小電力は持った人がすぐに使える無線でコールサインの付与はされていません。だからコールサインなしでも、本名を語っても全然OKなんですが、不特定多数との交信を楽しむマニアの間では、かつて市民無線で割り当てのあった通称「電監コール」をそのまま使うとか、その形を倣って自分で付けているのが習慣となっています。
私は中学生の頃買ったソニーの市民無線トランシーバー、ICB650に付与された「とうきょう CA52」を名乗って出たりします。
秋葉原 AKB 48 も、形式的にはありですね。Hi
交信のシグナルメーターは機種ごとに異なりますし、無い機種もあります。なのでレポート交換はRSでは無くてメリット交換が中心です。性能は似たり寄ったり、イコールコンディションの世界なので、多くはこちらが聞こえた感じで向こうには届いています。
あとは普通に運用地などのお話をして、数分間の交信を行います。
聞いている人がいれば続けて呼ばれたりします。
アマチュア無線ほどは呼ばれませんが、聞こえることが少ない世界だけに聞こえるとみんな一生懸命呼びます。交信できたことを素直に喜びます。基本的にカード交換の約束はしませんし、ログも付ける人はメモ程度、聞こえた、届いた、を楽しむ世界です。
当局もアマチュア無線の移動運用で山を歩いている時は常に特定小電力をワッチしていますし、山頂では何度か運用を行います。
市民無線に倣って特定小電力ではサイレントタイムがあります。これは山での遭難者等からの電波のためにみんなでワッチする時間帯です。時間は・・・11:00~11:15 16:00~16:15 20:00~20:15 です。都市部ではあまり意識する必要は無いかも知れませんが、山では静かにワッチするのが良いようです。
海上無線では当たり前のサイレントタイム、未曽有の震災、津波被害があった後、アマチュア無線では非常通信の運用はあったものの、組織的にサイレントタイムが実施されなかったのはちょっと残念に思います。
それと被災直後の取材ヘリの騒音。あれはいけません。小さな声がかき消されてしまいます。あのヘリの音で発見されず命を落とした人が少なからず居るはず。飛行時間をもっともっと規制しないといけません。
話がそれてしまいましたが、特定小電力無線を初め、これら資格の要らない無線のことをフリーライセンス無線、フリーライセンスラジオ、と呼びます。参考になるサイトがいろいろあるので調べてみましょう。