ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

叱る大切さ

2012年12月23日 | こころの子育て
ネグレクトは、食事を食べさせないといった身体的虐待だけだと思われがちですが、
精神的な放置虐待、つまり、無視、無関心もネグレクトです。

ヤンチャな子どものご両親に面談すると、
お母さんは、今まで愛情が足りなかったと自分を責めがちですが、
必ずしもそれだけとは、限りません。

子育てをお母さんに任せっきりのお父さんも多いなと感じます。

「子どもがこうなったのは、お前の子育てのやり方が悪いからだ。」
などと、母親に責任を押し付け、
子どもを叱りもしないほったらかしの父親です。
これは、育児放棄とも言います。

neglectの原義である「怠慢・粗略」「無視・軽視」からネグレクトと言う言葉が生まれています。

ネグレクトの定義としては、自らの実子、特に自立性や自救能力が低く、
幼児や低年齢児童の養育を著しく怠ることを指す場合が多いです。
最近の里子さんも、実の親は居るけれど、
何らかの理由での育児放棄が原因で
実の親が、育てられないケースが多いようです。

具体的には、食事や衣服の供与、
排泄物や廃棄物の始末を適切に行わない、
長時間の保護放棄などがあり、しばしば虐待を伴います。

その結果、子どもは健全な心身の発育を妨げられ、最悪の場合は死に至ることもあります。

ネグレクトの広い意味としては、養育者として果たすべき義務と責任を怠慢し放棄すること。


スーザン・フォワードは、親の責任について以下のように書いています。


○親は子どもの衣食住をはじめとする体の健康に必要としていることに
応えなくてはならない。

○親は子どもを、肉体的な危険や害から守らなくてはならない。

○親は子どもの愛情や安心感、
常に注目してやることなど、
心の面で必要としていることに応えなくてはならない。

○子どもを、心の面でも危険や害から守らなくてはならない。

○親は子どもに道徳観念と倫理観を教えなければならない。

「毒になる親」スーザン・フォワード著/毎日新聞社・刊 より


育児の責任放棄という観点から言うと、
自分は家に居たくないからといって外に出てしまい、
配偶者の暴力・暴言から子どもを守ってやらないのも、
病気の子どもを病院につれていってやらないのも、
それどころか病気の子どもをほったらかして、
自分はテレビを見ているのもネグレクト。
育児に関する知識不足で、
満足に子どもの面倒を見ていないのも、子どもに食事の仕度をしてやらないのもネグレクト。
子どもが自分で食事をなんとか用意しなければならず、
その環境に慣れてしまって
「これが当たり前」と思うようになっているのも
実はネグレクト。
きちんと叱らずに甘やかしたせいで、子どもの倫理観が欠如しているのを嘆いても、
それは親がネグレクトした結果と言えるでしょう。
「なんで、この子は、こうなんでしょう…」
と嘆く親を見ていると
「いやいや、親の責任でしょう」
と言いたくなることがあります。

育児の責任放棄・怠慢と、放任主義の違いを知っておくことも、大切です。

放任主義という名目で
子どもへの義務を果たさないことは、実は、虐待です。

放任主義というのは、
しっかりと子どもを支える環境にあってはじめて言えるものです。

子どもが間違った行動をした時に叱ったり、
失敗した時にはフォローがあるのが放任主義で、
子どもが間違った行動した時も叱らず、
失敗したとき何のフォローもされずに放置されるのがネグレクト。

「いけないことをした時は、叱られる」
「いざという時は、助けてくれる」
その確信が子どもに宿るような接し方が放任主義で、
そのような感覚は子どもの中に
「自分は愛されている」
「自分はOK」
「この世はOK」
という基本的信頼感を育てます。

けれど、ネグレクトの環境下にあっては、
「何をしても何も言われない」
「いざという時にも、どうせ助けてくれない」
と子どもが感じると、
「自分は愛されていない」
「自分はNO」
という自分や他者への不信を抱きます。

そして、アイデンティティとは、
他者との関係で自己規定するものですが、
鏡である親がネグレクトするような親では、
子どもは、コミュニケーション能力を育てることもできず、
子ども自身のアイデンティティも親のように頼りない、
たえず揺り動く不安定なものになってしまいかねません。

その上、明らかに「攻撃された傷」は、意識し不快感を感じますが、
ネグレクトのような「何も与えられない傷」は、意識しにくく、
それでいながら、
何もされないということが、子どもの心を傷つけているのです。

母性だけでなく、
「いけないことをいけない」
「ダメなことはダメ」

と、ぶつかっていく「父性」が大切です。

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