木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

椅子修理

2011-08-21 22:19:06 | 木工
東京のIさんより、3年前、お納めした椅子の座板に隙間ができた、と連絡をもらい、修理のために送り返していただきました。


梱包を解いてびっくり。3年間経つのに、目立った傷もありません。丁寧につかっていただいたのがわかり、うれしい限りです。


座板の開いた箇所はここ。糊がきれて2mmほど開いています。
材はホワイトアッシュ。乾燥した材を使ったのですがこれほど動くとは・・。
おまけに、貫を座の支えも兼ねて座板のすぐ下に入れたのですから、こうなっても仕方がありません。
未熟さのなせる技です。
ただ、糊が弱かったので、板が割れることがなかったのが救い。


修理は同じ材で隙間を埋めて拭漆をやり直します。
ホワイトアッシュの板を隙間の合わせて薄く削り、


隙間に合わせます。


これを座の掘りに合わせて成形してはめ込みます。


糊は今回は麦漆を使いました。


はみ出た麦漆は良く拭き取ります。


座板の裏も同じように板をはめ込みました。


クランプで軽く締めて乾かします。
麦漆が良く乾くのを待ち、拭漆にかかります。

こうした失敗は次の制作への教訓にもなります。
これ以降の椅子では、座板の材質を選び、良く乾燥したやや厚めの材を使う。
貫を座板から離したり、背板の形状を変えることにより、座板の動きに対応できる構造にする。
などの改良を加えてきました。




コメント
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