木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

炉縁 鯱留のほぞ加工

2011-08-29 22:21:34 | 木工
ちょっと不安を感じながらも、炉縁の鯱留のほぞの加工に取りかかりました。

墨に沿って、昇降盤でほぞを切ります。ほぞは相欠きで嵌めるので、中心の墨が正確でないと目違いが生じます。


ほぞ穴を角鑿盤であけましたが、留めを切ってみると、あけられたほぞ穴はごく一部でした。
あとは手で掘らねばなりません


ほぞの幅は4分。手持ちの穂と首の長いのみを総動員。4分以下の鑿はほとんどが薄鑿・・・。
3分の叩き鑿は、首の両脇を口金までグラインダで削って細くしました。それでも穂先から口金まで12cm程。
これでは、鑿だけで掘るのはちょっと困難。
もっと首の長い穴屋鑿でもあれば良いのですが・・・。


いろいろ考えた結果、ほぞ穴の一番奥の部分だけドリルで下穴をあけ、側面は鋸で挽くことにしました。


この大型畦引き鋸、昔、田中米吉さんに特別に打っていただいたものです。
これで道をつけ。


最後は、普通の大きさの畦挽き鋸で深く挽き込みます。
というと簡単そうですが、縦引きを短いストロークで正確に挽いていくのはなかなか根気の要る作業です。
この鋸は、高見澤秀一郎さんからいただいたものです。目立てをして大切に使っています。


鋸で穴の側面を挽いた後、鑿で少しずつ落とし必要な深さまで掘りました。


仕上げは突き鑿。千代鶴貞秀作です。欅がサクサク削れます。


ほぼ完了。最終の詰めは鯱道を掘ってからになります。


すべて完了したところで一度仮組みしてみました。


少し目違いはありますが、ねじれもなく納まり、一山越えたという感じです。

コメント
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