Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ロード・オブ・ザ・リング

2007年07月06日 17時31分28秒 | 洋画2001年

 ◎ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間

 (2001年 ニュージーランド、アメリカ 劇場版178分 SEE208分)

 原題/The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring

 監督/ピーター・ジャクソン 音楽/ハワード・ショア

 出演/イライジャ・ウッド リヴ・タイラー ケイト・ブランシェット オーランド・ブルーム

 

 ◎昔の少年の憧れ

 大学時代、読みたいんだけど読むのを躊躇し続けた小説がある。

 そう、トールキンの『指輪物語』だ。

 だって超大作で、しかも文字がちっちゃくて、難しそうで、日頃、本をまったく読まないぼくにしてみれば、とてもじゃないけど挑戦するのも憚られる代物だった。結局、読まずじまいのまま大学を出て、もっと本を読む時間のない社会人になってしまった。

 だから、いつものとおりながら、無知と無教養をさらすようだけど、原作は読んでない。

 でも、人の噂に、こいつを映画化するのは無理だと聞いてたから、映画が公開されたとき「へ~そういう時代が来たんだなっておもった。ま、そんなぼくがいまさら筋立てを書いたところで仕方ないし、誰でも知ってることをくだくだ書く気はない。

 にしても、ちからをもたない主人公というのは、きわめて魅力的な基本設定なんだけど、CGに頼らざるを得ないのかな~とかおもってたら、人間とホビットとの場面はCGじゃないんだね。スケールダブルで、いくらでも可能なんだね。

 いや、なんていうか、もちろん、最新のコンピュータ技術を駆使してるのは当然として、CG全盛の時代に実写に拘った絵作りは、好きだわ。

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スターリングラード

2007年06月20日 01時50分35秒 | 洋画2001年

 ◎スターリングラード(2001年 アメリカ、ドイツ、イギリス、アイルランド 132分)

 原題/Enemy at the Gates

 監督/ジャン=ジャック・アノー 音楽/ジェームズ・ホーナー

 出演/ジュード・ロウ ジョセフ・ファインズ レイチェル・ワイズ エド・ハリス

 

 ◎ウィリアム・クレイグ『Enemy at the Gates』より

 現在の地名はヴォルゴグラード。

 その地で、1942年6月28日から1943年2月2日まで戦いがあった。世にいうスターリングラード攻防戦で、この映画はそこで行われた狙撃戦の実話が小説化され、それを映像化したってことになってる。

 けど、この実話っていうのが微妙で、攻防戦において257名を射殺したっていうソ連の狙撃兵ヴァシリ・ザイツェフと、ドイツの狙撃学校教官エルヴィン・ケーニッヒの息詰まるような戦いっていうふれこみなんだけど、実はソ連側にしかその資料はない。

 そもそもドイツ側に狙撃学校はなかったし、ケーニッヒっていう少佐も確認できない。つまり、ザイツェフの名誉をつくりあげるための創作だったみたいなんだけど、どうやら、原作はそのでっちあげた資料をもとに書かれたんだろね。

 こういうのはソ連ではありがちなことだったかもしれないけど、ヴァシリ・ザイツェフが実在している分、ちょっとかわいそうかもしれない。

 ただ、だからといってこの映画がつまらないかといえば、そんなことはないし、映画としての出来は決して悪くない。ことに導入部分は圧倒的で、全編英語という違和感を吹き飛ばすくらいの凄さだ。

 あ、それと、やっぱりジャン=ジャック・アノーで、レイチェル・ワイズの美しさ故に「オッケー!」と認めてしまう濡れ場は、上手だ。

 ただまあ、ジュード・ロウとエド・ハリスの狙撃手同士が西部劇のように渡り合うのは、たしかにぴりぴりした緊張感はあったけど、すこしばかり都合よすぎな気もしないではない。

 こういうところが、ソ連側の資料に頼ってしまった部分なのかもしれないね。

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アメリ

2007年04月07日 12時03分16秒 | 洋画2001年

 ◎アメリ(2001年 フランス 121分)

 原題/Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain

 監督/ジャン=ピエール・ジュネ 音楽/ヤン・ティルセン

 出演/オドレイ・トトゥ マチュー・カソヴィッツ ドミニク・ピノン ヨランド・モロー

 

 ◎今この瞬間、何人がオーガズムに達しているのかしら?

 なんてことを、モンマルトルの丘に佇みながら真剣に空想しているのは、もしかしたらアメリと僕くらいしかいないんじゃないかっておもうのは、あきらかに間違ってる。でなければ、この映画が配給会社初の大ヒットになるはずもないし、以後の配給の流れの中に芸術作品という分類が生まれるはずもない。

 だから、世の中というのは、意外に信じられないようなくだらないことを、大のおとながくそまじめに空想してるもんなんだよね~ってことを、ぼくたちは本気で信じるべきなんじゃないだろうか。

 だから、おそらくは、こんな雑文を書いている今このときも、日本では数え切れないくらいのカップルがオーガズムに達してるんだね、きっと。

 で、だ。

 アメリのように、母親がノートルダム寺院で落ちてきた観光客と接触して他界するとか、家族との触れ合いもなく、厳格な父親が心臓の検査のために自分の胸を触れたことに興奮し、それで、父親が心臓に欠陥があると信じてしまったために、自分の部屋に閉じ籠もらざるを得なくなるような人間は少ないかもしれないし、いたずら半分に犯罪すれすれのことをして小さな幸せを与えてあげようという、いびつなロマンチックさをそのまま展開しつつも恋にはきわめてうぶというのは、おとなのおとぎ話としては成立するものの、現実ではこんなに可憐にはいかない。

 せいぜいできることといえば、テディベアかなんかを連れて世界中を旅し、あるいは知り合いに頼んでベア入れ込みの写真を撮ってもらうくらいなことだろう。

 にしても、ひとつの映画でこれだけつらつらと考えさせてくれるのは、それだけこの映画の印象がつよく、好感度が高かったからにほかならない。もっというと、いかにもフランス的な音楽も良くって、ひさしぶりに「サントラを買いたいわ~」とかおもってしまったくらいだ。

 心理的に均衡を失いつつある主人公の心の鍵になる玉手箱を見つけるお話ってやつは、ほんと、観てて心臓が楽になるわ。

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アザーズ

2007年04月06日 12時00分46秒 | 洋画2001年

 ◎アザーズ(2001年 アメリカ、スペイン、フランス 104分)

 英題/The Others

 西題/Los Otros

 監督・脚本・音楽/アレハンドロ・アメナーバル

 出演/ニコール・キッドマン フィオヌラ・フラナガン クリストファー・エクルストン

 

 ◎1945年、チャネル諸島ジャージー島

 出征した夫を待つ日光過敏症の夫人とその子供という設定は良好。

 だけど、落ちは途中からありありと見えてくる。とはいえ、そこに到るまでけっこう楽しめる。なんていうふうに書いてると、自分でも内容を忘れちゃいそうだ。

 ぼくは、ネタバレという言葉が嫌いだ。

 下品だからというのではなく、いかにも業界用語っぽい雰囲気を漂わせ、それを使うことがなんだかカッコいいようにおもってる風潮が、嫌いなのかもしれない。なんでそんなことをいうかというと、『シックスセンス』と同じように、ネタバレをいやがる映画の構成だからなんだけどね。

 ゴシック調の雰囲気はとってもよく、神経過敏なキッドマンの演技はいつもどおりとはいえ嫌いじゃない。

 ただ、映画の中の時の流れが気になって仕方がない。作品中の時は、アザーズ(つまりは、ほんとに棲んでる人達ね)の時間と同じはずだ。キッドマンたち家族とその使用人はまったく時代が異なるから、家族たちの時と、使用人たちの時は、どちらも過ぎ去った時でしかない。

 であれば、自分たちが死んだ前後については忘れていたとしても、死んでから現在に至るまでの時は厳然として存在しているはずで、そうした時が経つ内に、自分たちが死んでいることは承知していないんだろうか?

 引越してきた現実の生者(アザーズ)が去ってから、キッドマンたちはどんな気分で過ごすんだろう。またふたたび自分たちが死んでしまっていることを忘れ、あたらしく引っ越してきた生者(アザーズ)たちを、キッドマンから観たアザーズ(幽霊)だとおもいこみ、やっぱり絶叫しながら正体をたしかめようとするんだろうか?

 となると、キッドマンたちは永遠に同じことを繰り返す地縛霊になっちゃわない?

 映画上の時の流れからすれば、キッドマンたちの現在の時も同じであることが望ましいし、そうでないと物語にならないのはわかるんだけど、どうも、納得のゆかない世界観になってるような気がして仕方がないんだよな~。

 だからといって決してつまらなくはない。どっちかといったらおもしろい映画だとおもうし、ぼくはこういう映画の愛好家だ。

 でもな~時の流れがな~。

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パール・ハーバー

2007年02月19日 13時45分57秒 | 洋画2001年

 ◇パール・ハーバー(2001年 アメリカ 183分)

 原題/Pearl Harbor

 監督/マイケル・ベイ 音楽/ハンス・ジマー 

 出演/ベン・アフレック ジョシュ・ハートネット ケイト・ベッキンセール ジョン・ヴォイト

 

 ◇1941年12月8日、真珠湾攻撃

 21世紀最初のハリウッドの大作が、

「真珠湾」

 ってのもなんだかな~って気がするんだけど、結局のところ、これ、恋愛映画なんだよね。

 よく、ハリウッドが日本をあつかった映画を観た人が、

「あんな日本、ねーよ」

 というのを聞くけど、実はぼくはあんまりそうはおもわない。

 聯合艦隊の図式演習や会議がやけに象徴的な設定をされてるけど、これは、マイケル・ベイに限らず、まるでリアルじゃないことはわかってて、

「でも、この方がなんだか精神性をおもんじて日本的でかっこいいじゃん」

 てな感じで演出してるんだろうと、なんとか贔屓目に思おうとしてるからだ。

 てか、ハンス・ジマーの音楽いいし。

 ただ、この映画が当時の若者の恋愛物だと百歩ゆずって観ても、ひとつだけ、賛同できないところがある。当時、真珠湾攻撃部隊が強襲したのはあくまでも敵の軍事施設で、民間人に対しての発砲は許されなかったし、市街地への攻撃も同様だった。

 ましてや病院を狙えなんていう命令は絶対になかった、はずだ。

 いや、実際、油槽すら破壊しなかったというアホさ加減もあるくらいで、攻撃部隊はひたすら港湾に停泊している敵艦と飛行場の機体を狙った。そんなものをぶっつぶしたところで戦争を有利に運べるはずもないし、実際のところ、輸送と通信基地を破壊し、敵の空母を沈めないかぎり、真珠湾攻撃は成功したとはいえなかったし、うがった見方をすれば、ルーズベルト以下の中枢は日本軍の奇襲をなにもかも知った上に、多少の犠牲を承知で、リメンバー・パールハーバーを演出したといってもいいくらいだ。

 そういう歴史の背後に隠れているものを引っぱり出すんじゃなくて、いまだに、日本軍という、なにやらまるで異質なエイリアンでも襲来してきたかのように、物語を展開させていくのはどうしたものだろうっておもうんだよね。

 ただ、まあ、映像は見事だったし、迫力は十分だった。これは、認めなくちゃいけない。

 マイケル・ベイ、凄いわ。

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ドメスティック・フィアー

2007年02月15日 13時36分18秒 | 洋画2001年

 ◇ドメスティック・フィアー(2001年 アメリカ 89分)

 原題/Domestic Disturbance

 監督/ハロルド・ベッカー 音楽/マーク・マンシーナ

 出演/ジョン・トラボルタ ヴィンス・ヴォーン テリー・ポロ マシュー・オレアリー

 

 ◇トラボルタはサスペンスがお好き

 ハリウッドの定番を2h特別版にしたような感じっていったらいいんだろうか。ま、なににしても、トラボルタはサスペンスが似合う。

 ただ、デビューしてすぐにスターにはなったんだけど、5年くらい、不遇な時代があった。

『ベイビー・トーク』でちょっと復活して『パルプ・フィクション』で大成した。この映画はそれから少しして、あぶらが乗ってきた時代のものだから、頬がますますふっくらしてる。

 そんなことはどうでもよく、舞台になっているのは、メリーランド州サウスポート。そこで、少年のいうことを誰も信じてくれないっていう狼少年の話が展開する。なんでだろう、ほんとにアメリカ人はこの話が好きだ。母親が突如賢くなるのは唐突だけど、息子と父親っていう構図も、アメリカ人は大好きだ。

 この制作時、トラボルタは、そういうのも似合うようになってきてたんだね。

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