◇ハッピーフライト(2008年 日本 103分)
監督・脚本/矢口史靖 音楽/ミッキー吉野
出演/田辺誠一 時任三郎 綾瀬はるか 吹石一恵 寺島しのぶ 田畑智子 岸部一徳
◇空でも間延びした時間
過去の『ウォーターボーイズ』とか『スウィングガールズ』とか前半があまりに冗漫で耐えきれなかったんだけど、多少そうした傾向はあるものの、なんとかまだ耐えられた。
でも、もう少し刈り込んだ方が嬉しい。
空港の仕事はよく取材してるように感じられて、そうした映画作りの姿勢はとても好感が持てる。
◇ハッピーフライト(2008年 日本 103分)
監督・脚本/矢口史靖 音楽/ミッキー吉野
出演/田辺誠一 時任三郎 綾瀬はるか 吹石一恵 寺島しのぶ 田畑智子 岸部一徳
◇空でも間延びした時間
過去の『ウォーターボーイズ』とか『スウィングガールズ』とか前半があまりに冗漫で耐えきれなかったんだけど、多少そうした傾向はあるものの、なんとかまだ耐えられた。
でも、もう少し刈り込んだ方が嬉しい。
空港の仕事はよく取材してるように感じられて、そうした映画作りの姿勢はとても好感が持てる。
△僕の彼女はサイボーグ(2008年 日本 120分)
監督・脚本/郭在容 音楽/大坪直樹
出演/綾瀬はるか 竹中直人 小日向文世 伊武雅刀 桐谷健太 吉高由里子 遠藤憲一
△これってつまり『時計仕掛けのソフィア』じゃん
郡上八幡のロケは素敵だけど、感覚的についていけない。
ペットの鍋、万引き、京劇のぶち壊し、窓ガラス割、サイボーグ売買…それらを面白いとは思えないし、ビルが崩れる画は凄いけど壊れる腰下も生理的にダメだわ。
▽世界で一番美しい夜(2008年 日本 160分)
監督・脚本/天願大介 音楽/めいなCo.
出演/田口トモロヲ 月船さらら
▽文部省推薦って、まじか?
感性は多様だね。
どうしてこれだけ緩慢な展開かつ無表情な映像にする必要があったのかわからないけど、八つ墓村バーサンにも少し閉口したし、なんとも騎上位が多いな~とも。石橋凌の船だけ良かった。
まあ、なんにしても統一感のとれていない感じが濃厚で、ぼくにはどうやらお役人のような感性はないらしい。
◇相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン(2008年 日本 117分)
監督/和泉聖治 音楽/池頼広
出演/水谷豊 寺脇康文 本仮屋ユイカ 平幹二朗 西田敏行 津川雅彦 木村佳乃
◇長い題名だな
2時間ドラマかとおもったぜ。
1万人のエキストラを動員したっていうマラソンのロケはたいしたもんだけど、連続殺人をしでかし、娘までも爆死させたかもしれない男に同情の眼を向け、政治家までも説得されて、父の遺志を破る展開は情緒に流れすぎててちょっと苦しい。
それと、この『相棒・劇場版』って、なんだかアナーキーな感じの犯人像が多くない?
犯人の生き方とか性格ってだけじゃなくて、なんか、それを包み込んでる世界に反体制派の匂いがあるんだよな~。よくわからないんだけどさ。
あと、全体的にテレビ的な印象があるのはどうしてなんだろう?
ぼくはこのテレビシリーズを見たことがないからなんともいえないんだけれども、テレビのシリーズドラマが劇場版になったとき、たまに感じるんだけど、でもこれはそのテレビを観ていた観客にとっては心地よい感覚なんだろうっておもうんだよね。
◇お姉チャンバラ THE MOVIE(2008年 日本 80分)
監督・撮影/福田陽平 音楽/藤野智香 碇英記
出演/乙黒えり 橋本愛実 葉月あい 倉内沙莉 諏訪太朗 渡辺哲 中村知世
◇血みどろ剣劇アクション
もはやこれは理屈は抜きにして楽しむしかない。
ビキニにテンガロンハットに臍ピアスに日本刀とくれば、おもいだされるのはなんといっても永井豪なんだけど、そういう無国籍な日活的アクションはこういうひたすら戦いまくるだけの世界にはぴったりと嵌まってるのかもしれない。
いや実際たいしたもので「28日後」よりおもしろいんじゃないかってくらいだった。
まじ、能天気なくらいにゾンビを斬りまくるだけの話で、実際のところをいえば、嵐のように陳腐な筋立てはあるものの、乙黒えりも好感度たっぷりで、そういうところからいえば見るべきところはたっぷりあるわけで、痛快娯楽作に仕上がってる。そうおもった。
◎容疑者Xの献身(2008年 日本 128分)
監督/西谷弘 音楽/福山雅治 菅野祐悟
出演/福山雅治 柴咲コウ 北村一輝 松雪泰子 堤真一 渡辺いっけい リリー・フランキー
◎石坂浩二は特別出演だったのか
いや~素朴に一観客になってしまった。
アリバイ崩しの見せかけに成程っておもちゃったんだからもはや観客だよね。
でも、浮浪者は哀れだな~。あんまり品の良いトリックじゃないよな~。人権とかって言葉は使いたくないけど、なんだかそういう人間なんだなって感じがするよね、犯人っていうか作り手側が。
あ、それと、ドッペルゲンガーの前ふりはわかるんだけど、磁力砲の象徴はちょっと余計な感じもしたかな。ただ堤真一が自殺したく思った理由が教育者不適合だけのように見えてしまうのがなんだか弱い気もするかな。
とはいえ、そういうあれこれをひっくるめても、この作品はおもしろかった。
△大決戦!超ウルトラ8兄弟(2008年 日本 97分)
監督/八木毅 音楽/佐橋俊彦
出演/長野博 吉本多香美 黒部進 森次晃嗣 団時朗 桜井浩子 ひし美ゆり子 榊原るみ
△対象とする観客は誰なんだ?
懐かしさ溢れる昭和の記念すべき日から始まる懐古趣味の物語である以上、おそらく、ぼくら世代あるいは次の世代が対象になるんだろうけど、ともかく、光の国のウルトラマンたちを知っている世代が喜ぶにちがいないとおもわれる役者たちが集まってて、なんというか、同窓会のような作品だったかなと。
もちろんそれなりにパラレルワールドとかの設定をすることによって、過去のウルトラシリーズの人々を出演させるはできているものの、現代の子供たちにその感激はわからないだろうな~とおもえるのが、なんともね。まあ、そのあたりのことはいろいろあるけど、問題はCGと脚本だ。
もう少しなんとかならなかったんだろうか。
△ひぐらしのなく頃に(2008年 日本 106分)
監督・脚本/及川中 音楽/川井憲次
出演/前田公輝 飛鳥凛 松山愛里 あいか 小野恵令奈 杉本哲太 川原亜矢子 三輪ひとみ
△なにが昭和58年?
今でもあるんだけど、早稲田大学に「映画制作グループひぐらし」という自主制作映画のクラブがある。
で、昭和58年頃、そこで『真夏の白い夢』通称『まなしろ』っていう8ミリながら1時間30分っていう長尺物が撮られた。夏、山奥の村に合宿に出かけた大学生の集団の話で「山に入って白い少女に出会った者には必ず不幸が訪れる」っていう伝説がそのまま始まるっていう、いかにもな物語だったんだけど、その物語の主人公の名前が、この作品の主人公と同じ「圭一」なんだよね。
なんだか、時代設定と「ひぐらし」というフレーズとがそこはかとない懐かしさに彩られて、ついつい誘われるように観ちゃったんだけど、中身はとほほなくらいに現代的で昭和58年を感じない。
とはいえ、予想していたよりも前半は面白かったかもしれない。背景も匂わせるしね。でも後半は走りすぎっていうか、まあなんていうかね。
▽隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS(2008年 日本 118分)
監督/樋口真嗣 音楽/佐藤直紀
出演/松本潤 長澤まさみ 阿部寛 椎名桔平 甲本雅裕 高嶋政宏 國村隼 生瀬勝久 上川隆也
▽HIHOはくさい映画賞
さもあらん。
戦国の身分差も物腰も言葉遣いも何もかも無視したアイドル物にされた悲しみに黒澤明も絶句するしかないだろうが、本家の作った人物関係も否定され活劇の面白さも滑稽味も無くされた無駄遣い極まりない抜殻を見せられる辛さは喩えようがない。
いや、そもそもこの映画を作ることを考えたり、許したり、作ったりした背景にはいったいなにがあったのかとおもってやまないのだが、それについては『椿三十郎』のリメイクもまた同じことだよね。
おれは泣けてきたぞ、阿部。
◇チームバチスタの栄光(2008年 日本 118分)
監督/中村義洋 音楽/佐藤直紀
出演/竹内結子 阿部寛 吉川晃司 井川遥 野際陽子 池内博之 玉山鉄二 平泉成 國村隼
◇ソフトボールは要らない
吉川晃司が妙に懐かしいとおもってしまったのは、たぶん、ぼくが芸能にまるで疎いからなんだろうけど、この時期から後、吉川晃司のさまざまな映像関連への出演は俄然増えたように感じるんだけど、そうじゃないのかしら?
別に吉川晃司のことを書こうとおもってるわけでもないんだけれど、昔よりも断然かっこよくなった気がするんだよね。
竹内結子は上々の仕上がりで、華やいでた。原作を読んだことがないからわからないんだけど、もともと、この役はテレビで伊藤淳史が演じているように田口公平っていう愁訴外来の男性医師だったんだね。それを脂の乗っていた竹内結子を起用して女性にして、白鳥圭輔こと阿部寛とのコンビにしようとした意図はよくわかる。
ただ、動機の陳腐さが却って真実味なのかもしれないんだけど、軽味と滑稽味とをはき違えてるような、そんな感じがしないでもない。全体的に重さが無さ過ぎるのはどうかなとおもったりもするんだ。
阿部寛の演技についてはもうなにもいうことはなくて、彼は彼なりにこういうキャラを創り出そうと一所懸命になってるわけだから、これでいいのだろう。
でも、あれだよね、チームバチスタというのはなにも田口公平と白鳥圭輔のコンビ名でもないのに、ヒットするというのは恐ろしいもので、この名称がそのまま世間に知れ渡り、以後のシリーズ名になっちゃうわけだから、いやまったくたいしたもんだ。
◇クライマーズ・ハイ(2008年 日本 145分)
監督/原田眞人 音楽/村松崇継
出演/堤真一 堺雅人 尾野真千子 高嶋政宏 山崎努 遠藤憲一 田口トモロヲ 矢島健一
◇チェック、ダブルチェック
昭和60年8月12日、御巣鷹山に日航機が墜落した。
そのとき、ぼくは会社を出、裏の路地にある『桔梗』という小さな割烹で、上司と打ち合わせをしていた。
20時をやや回った頃だったか、遅れてきたすぐ上の上司が現れて、
「えらいことになった」
と、第一報を知らされた。
それからあとはニュースの続報を待つだけになり、打ち合わせどころじゃない慌ただしさだった。
で、この映画だ。
騒がしさと沈黙の対比が味噌なんだろうけど、沈黙の山登りは必要なんだろか?と、素朴な印象を持った。
緊迫感を削ぐだけなんじゃないのかと。
リアルさを求めれば、集団の騒擾は必要かもしれないし、演出の巧さもわかるんだけど、なんだか騒々しい方が勝って、ちょっと鬱陶しい。脳梗塞になる高嶋政宏の呂律の回らない台詞回しは、リアルではあるんだけど聞き取りにくいのがちぃと辛くもあった。
そのほかの役者さんたちにもいろんな印象はあるけど、緊迫感はひしひしとわかるものの、みんな、りきんでるな~っていう感じでもあったかな。