◇アリー スター誕生(A Star Is Born)
4度目のリメイクなんだけど、年代ごとに「これだろ」っていう作品は異なる。
もちろん、それでいい。
でも、なんていうか、まるで似てないとおもってたんだけど、レディー・ガガとバーブラ・ストライサンドがなんか似てるんじゃないか?っておもえちゃったりするのが、なんともね~。ま、ふたりとも歌唱力は抜群だしね。けど、コンサートの大きさっていうか人海戦術にはバーブラ版が凄いな~。
◇アリー スター誕生(A Star Is Born)
4度目のリメイクなんだけど、年代ごとに「これだろ」っていう作品は異なる。
もちろん、それでいい。
でも、なんていうか、まるで似てないとおもってたんだけど、レディー・ガガとバーブラ・ストライサンドがなんか似てるんじゃないか?っておもえちゃったりするのが、なんともね~。ま、ふたりとも歌唱力は抜群だしね。けど、コンサートの大きさっていうか人海戦術にはバーブラ版が凄いな~。
◇ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を(The Bra)
アゼルバイジャンが、すごくいいロケーション。
で、ホテルの前庭に犬小屋があってそこに少年が住んでるんだが、こいつが電車が通過するのを報せるだけじゃなく、途中からブラジャーの主かもしれない女たちを紹介していく役目も担い、さらにミキ・マノイロヴィッチが変態の痴漢におもわれて暴行され、線路に鎖でつながれて殺されかけるときも助けようとがんばる。あ、
それにしても、
◇女王陛下のお気に入り(The Favourite)
日本人にはいまひとつ共感しにくいというか理解しにくいところがあるんじゃないか?
ロケセットなのかスタジオなのかがよくわからなくなるくらい凝った作りの画面は見事だし、そういうところへのこだわりが『聖なる鹿殺し』とおなじくヨルゴス・ランティモスの特徴なのかもしれないけど、どうもね。オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズの3人が楽しんでただけだったんじゃないかって気がするよ。
◎永遠の門 ゴッホの見た未来(At Eternity's Gate)
ウォレム・デフォーのゴッホはよく似せてる。リシャルト・ロラント=ホルスト
「もしかしたら神は時をまちがえたんじゃないかと。
ま、そういうことだよね。
ゴッホの死について、なかば幻想を見るように、西部劇みたいだという呟きと自分も拳銃を構えてしまう幻覚とがごっちゃになって銃撃されるんだけど、なるほど、こうやって表現するのがいちばんかもしれないね。まあ、ジュリアン・シュナーベルも、ぼくなりのゴッホ観だっていってるわけだから、この演出はこれでいい。
▽大脱出2(Escape Plan 2:Hades)
スタローンの出番をすべて削除したところで映画の中身は変わらないし、尺も10分と違わないだろう。
とりあえず、スタローンの経歴には入れない方がいいんじゃないか?
◎僕たちは希望という名の列車に乗った(Das schweigende Klassenzimmer)
1956年、東ドイツ、鉄鋼の町スターリンシュタット、その進学高校。
その10月23日に勃発したハンガリーの民衆蜂起に心を傷めると共に、自分たちの未来について考え始め、そして西側への脱出を決めてゆく群像劇ってのは、なんというか、もともと西側に生まれてしまったものだから、実話サスペンスとして受け留めることができるけど、家族も友人も置いて見知らぬ世界へ旅立とうとする決意は並み大抵なことじゃない。
いや~わかるわ~っていうだけじゃないところが、この重さなんだろうね。
ロナルト・ツェアフェルトのほかは初見の役者たちで、あ、もちろん、若手だからだけど、みんな、リアルな演技で好印象だし、レオナルド・シャイヒャーとレオナルド・シャイヒャーの恋も四つ葉のクローバーかよっていうくらい時代性があるし、その親友トム・グラメンツもええ感じだし。
いやあ、ラース・クラウメ、好い演出だ。
◇COLD WAR あの歌、2つの心(Zimna wojna)
もはや趣味の問題かな。音楽の歴史みたいなものを映像化するっていうような試みはわかるし、もちろん他にない重要な要素なんだけど、それがパヴェウ・パヴリコフスキの演出における主題ってわけでもなさそうだし、まあ、東ヨーロッパの抱えてきた歴史と音楽がたてよこに絡み合ってる感じはわかるけどね。
なんていうのか、ヨアンナ・クーリクっていう女優になじみがないってのもあるかもしれない。っておもってたら、彼女、前の年に『夜明けの祈り』に出てるんだね。どこかで観たことあるけど何処だったんだろうって疑問は解けたんだけど、まるきり憶えてないんだよな~。
ただ、映像はすごい。かちっとしてる。
◎オペレーション・フィナーレ(Operation Finale)
アドルフ・アイヒマンをイスラエル諜報特務庁(モサド)が逮捕するという事実について真正面から描かれたことってあったんだろうか?すくなくとも、ぼくは知らない。もしこれが初めての試みだとしたら、クリス・ワイツ、目の付け所がよかったんじゃないかな。
アレクサンドル・ディスプラの主題曲も不気味さがあっていいし、カフェで流れるエル・チョクロも雰囲気が出てる。
これまでは、アドルフ・
なるほど、
◇ガザの美容室(Dégradé)
退屈だな。
離婚するために相談してる弁護士が独身でセクシーなもんだから還暦のお母さんヒアム・アッバスは美容室にいってガムテープで脹ら脛やら腋の下やらの脱毛に余念がない。ほかの客も似たようなもんなんだけど店主ヴィクトリア・バリツカと弟子マイサ・アブドゥ・エルハディがひとりしかいない美容室で待っている客が7人いて、客に混じって店主が宿題をするっていう密集度の中、戦争がおっぱじまるっていうのはいいんだけど、ここまでが長い。
長すぎる。
退屈すぎる。
30分も掛かってる。
しかもひとりの客も髪が仕上がらない。ありえない美容室だし、客同士マナル・アワド、ミルナ・サカラ、ダイナ・シバー、レーム・タルハミ、サミラ・アル・アシーラの話もとりとめがない。まあしかし仕事をしない弟子が別れ話の電話をしつづけるヒゲ野郎がライオンをつれて店の前に陣取ったり、弁護士に夢中になった客ヒアム・アッバスはもはや離婚の相談よりも情欲が勝ってきたりと、ちょっと面白くなる要素はあるのにこれだけつまらないっていうのはどういうわけだろう。
こんな美容室はありえないぞ。
ようやく客の妊婦サミラ・アル・アシーラが陣痛になって介抱しかけたとき銃声が起き、戦争が始まるんだけど、ここまでで50分。
耐えられん退屈さだぞ、双子の監督タルザン&アラブ・ナサールよ。
☆ホテル・ムンバイ(Hotel Mumbai)
2008年11月26日、インド・ムンバイのタージマハル・ホテルが同時多発テロの標的とされたってのはまるきり忘れてた。まったく世界の情勢に疎いっていうか、孤島に住んでるぼくとしてはなんか取り残されてるんだろうかって気になるけど、でも、そんな反省はちょっとおいといて、いや、おもしろかった。なんの未練も躊躇もなく殺される。テロっていうのはそういうものなのかっていう、目の据わった沈着冷静さが恐ろしくなるわ。
主役のデーヴ・パテールは若いのに製作総指揮まで兼ねてて、なんかすごいやつだなっておもったら、あ、そうか『スラムドッグ$ミリオネア』と『LION ライオン 〜25年目のただいま〜』の主役か。育ちの好さそうな優しい顔立ちと物腰が印象的だな。この先も伸びていくんだろうなあ。
ただ、注目すべきはナザニン・ボニアディで、いやあ、美人だね。だけでなく、ものすごい知的な印象を受けるなっておもってたら、やっぱり、そうだった。医学だけでなく人権問題までいろいろと発言して行動してる。なるほど、それで、この映画にも出演してきたわけか。
なんだか、映画を観終わってから、あれこれ納得するんだけど、いや、タージマハル・ホテル、全面的に協力してるし、行きたくなっちゃったじゃん。
◎テルマ(Thelma)
いやまいったな、これは。
最初『キャリー』の亜流みたいなものかなっておもったんだけど、う~ん、展開と人物設定を観てると『鏡の中の私』とよく似てる。結局、マインド・ホラーってのは、少女がおかしくなってくると、とりあえず、医者に相談して、脳波やら脳髄やら心因性やらを疑い、ひとつひとつの原因を排除していくしかないんだろうけど、こうした物語の展開は『エクソシスト』以来、まるで変わらないってことだね。
それに、この監督のヨアキム・トリアー自身、気がついてないんだろうけど。
でもまあ、ノルウェーの陰鬱な雰囲気と異常な少女のいらなくなったものを時空の彼方に排除してしまうっていう能力とが奇妙に合ってて好い感じに仕上がってる。エイリ・ハーボーとカヤ・ウィルキンスのレズビアンな関係もまったく違和感なく入れられてる。このあたりは上手いね。ただ、彼女の異常なちからが顕現するときの諸条件があるようなないような微妙な感じがするね。カラスが窓に激突して自殺するのはどういう意味なんだろう?彼女のちからなのか、それとも別なものに引かれるのか、あるいは攻撃性が煽られるのか、わからない。謎は謎のまま解けずにいるんだけど、それはそれでいいのかもね。
ともかく、幼児から思春期にかけての少女の異常な能力の発露が実は遺伝で、そのちからを秘めていた祖母が幽閉されたままでいるっていう中途半端な部分はどうするんだって気もするけど。
☆たちあがる女(Kona fer í stríð)
ベネディクト・エルリングソン、演出する才能のかたまりだな。なんでハルドラ・ゲイルハルズドッティルを双子にしたんだろうっておもってたら、なるほど、入れ代わりか。CGになってからこういう合成は実に凄くなってきたけど、この映画は基本的なひとり二役の取り方が多いんだけど、でも上手だ。
しかしまあ、アイスランドってこんなに企業と自然活動家は対立してるんだろうかっていう感じだけど、この主役の設定は特別なんだろうか。ま、そんなことより、ウクライナで戦災孤児になってる女の子をひきとりに行くラストカット。道が水没してなくなっても渡ってゆくのだ。強いな、女は。
☆パッドマン 5億人の女性を救った男(Pad Man)
タミル・ナードゥ州出身の発明家にして社会活動家アルナーチャラム・ムルガナンダムの実話。とにかく低価格で、ひたすた衛生的な生理用ナプキンを妻のために開発していく苦労話なんだけど、いやもう文句なしにおもしろかった。妻ソーナム・カプールと、開発助手ラーディカー・アープテーの好意にゆれるのも気が利いてるね。アクシャイ・クマールが国連本部でインド訛りの英語のスピーチをするところは、とてつもなく上手い。
☆ワイルドライフ(Wildlife)
うまいな。ポール・ダノ、初監督作品とはおもえないくらいかっちりと撮ってる。
家族は幸せになろうとする。けど、貧乏でも一緒に過ごして穏やかな時を送っていきたいと考えているキャリー・マリガンにとってはそれが幸せなのかもしれないけど、ジェイク・ギレンホールはそうじゃないわけで、自分の志してきた人生とはちがう時間を送ってると、どうしてもうろたえるし、ほかのことをしたくなるし、とにかくもがきはじめる。それが山火事を消すという時給1ドルの季節労働者なわけで、それがやりたいわけじゃなく、現実の中でもがき苦しんでるからで、それをキャリー・マリガンに「逃げてるだけよ」と怒鳴られたんじゃ、もう、行き場はなくなる。山へ向かうしかないわけで、14歳の息子エド・オクセンボールドにはなんにもできない。でも彼だって父親と母親の不仲は見たくないわけで、だから、写真館のアルバイトで、幸せな夫婦の写真を撮り続ける。
せつない映画だな。
父親との再会も束の間、バスに乗って去ってゆくワンカットは上手いけど辛いな。
◇カウナス スギハラを、日本を想う(Kaunas. The City of Sugihara and Japan)
せっかくの題材なのに、ひとりよがりになっててね~。素材も綺麗に撮れてるし、こういうのは誰か玄人が側にいて演出を担当するか、あるいはこのあたりに詳しい人が脚本を担当したらよかったかもしれないね。