Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

SP THE MOTION PICTURE 革命篇

2013年09月18日 12時49分17秒 | 邦画2011年

 ◎SP THE MOTION PICTURE 革命篇(2011年 日本 128分)

 staff 監督/波多野貴文 原案・脚本/金城一紀

     撮影/相馬大輔 美術/青木陽次 竹中健  アクション監督/大内貴仁

     サウンドデザイン/トム・マイヤー 選曲/藤村義孝 音楽/菅野祐悟

 cast 岡田准一 真木よう子 香川照之 堤真一 山本圭 螢雪次朗 松尾諭 神尾佑

 

 ◎これがあんたのいう大義ってやつか?

 岡田くん考案による三角締め亜流版は、かなり痛いらしい。

 堤真一が、

「殺陣をつけてもらうというより芝居をつけてもらうという感じ」

 なこともいってたような気もするし、

 そんなことから考えると、もはや、誰の映画でもなく、

 SPは岡田くん抜きでは考えられない。

 10倍スローモーションの議事堂突撃場面でのスタントマンへの一撃は、

「ありゃあ、まじ、痛かったでしょ?」

 と聞きたくなっちゃうくらいのものがあったし、

 カリとジークンドーを2年みっちりやったっていうこだわりも、

「なるほど」

 と、うなずける。

 いや、たしかに、なんだかんだいったところで面白かった。

 それは、そのとおりだ。

 ただまあ、

『野望篇』よりも少なくなったとはいえ、真実の背後はお愛想程度で、

 依然として活劇場面は「まだやるですか」っていうくらい多く、

 その分、たとえば『皇帝のいない八月』のような強烈な思想性は発揮されず、

「革命という名に酔ってしまいがちな、

 戦うことを忘れた国民と連中を煽動することよる陰謀」

 に主眼が置かれてしまっているようにも感じられ、

 現代に対する濃厚な怒りによるものではなく、

 斜に構えた閉塞感をおもしろおかしく冗談のように打破したという茶化した世界が、

 いびつな形で表現されているという、いわば、ゲームにもにた騒動、

 でしかないように、観客が受け取ってしまいがちな映画っていう印象は、

 どうにも拭い切れないものがあるような気がするんだけど、

 どうなんだろね?

コメント

麒麟の翼

2013年08月25日 17時18分09秒 | 邦画2011年

 ◇麒麟の翼(2011年 日本 129分)

 staff 原作/東野圭吾『麒麟の翼』

     監督/土井裕泰 脚本/櫻井武晴 撮影/山本英夫

     美術/金勝浩一 音楽/菅野祐悟 主題歌/JUJU

 cast 阿部寛 新垣結衣 溝端淳平 松坂桃李 松重豊 田中麗奈 三浦貴大 中井貴一

 

 ◇ここから羽ばたく

 テレビシリーズは小さな世界で展開していた。

 そうした小ぢんまりとパッケージされた空間に、とても好感が持ててた。

 ところが、今回はそうした世界がすこしばかり広がってる。

 ま、それはそれでいいんだけど、

 せっかく映画なんだし、折りヅルの翼もからめて、

 日本橋の麒麟像が鍵になってるわけだから、

 橋の上にある高速道路をCGで消してしまえばよかったのに。

 と、ぼくなんかは無責任におもったりする。

 映画というのは、監督の世界をそのまま反映すればいいんで、

 まあ、監督が高速道路はあってもいいよっていうんなら別だけど、

 なんか、この映画にかぎっては高速道路は邪魔なように見えちゃうんだよね。

 それと、

 話の内容がなんだか前半と後半でまるで分けられてるように感じのは、

 僕だけなのかしら?

 あと、ひとつ。

 テレビの世界をひっぱるのは贔屓にしていたぼくとしてはかまわないんだけど、

 この映画を観て、はじめて『新参者』に触れた観客にとって、

 テレビの準レギュラーを特別出演のかたちで引っ張るのは、

 ちょっとだけ、違和感があるんじゃないかしら?

 てのは、まあ、余計なお世話なんだろうね。

 けどさ、

 千羽鶴、中井貴一の車の中から発見されるんだよね?

 いまの警察の捜査でいえば、もうすこし早い段階で発見されない?

 とかいう疑問が出てくるのは、いいっこなしかな。

 ただ、あれだよね、

 このシリーズは「人が嘘をつくというのはどういうことか?」が大事なわけで、

 そこには「愛があるから」という主題に収束してゆくわけだけど、

 そういうことからいうと、過不足なく纏められてた気はする。

 でも、3時間スペシャルドラマ的な感じだったのは、

 テレビを観ていたせいなのかな?

 ドラマの映画化ってのは、ほんと、余分な感想も生んじゃうんだね。

コメント

アンフェア the answer

2013年07月08日 15時31分26秒 | 邦画2011年

 ◇アンフェア the answer(2011年 日本 109分)

 staff 原作/秦建日子 監督・脚本/佐藤嗣麻子

     撮影/佐光朗 美術/林田裕至 音楽/住友紀人

 cast 篠原涼子 佐藤浩市 山田孝之 阿部サダヲ 加藤雅也 大森南朋 寺島進 香川照之

 

 ◇夫の仇討ち?

 このドラマの持っている宿命というか、

 誰が悪者なのか、誰が裏切り者なのかっていう命題は、

 シリーズが続くかぎり引っ張られ続けるんだろうから仕方ないんだけど、

 もう、周りの人間がどんどん死んでいって、

 結局、最後の最後には篠原涼子しか残らないんじゃないかって感じになってきた。

 まあ、ドラマの作りとして、

 いちばん信じている、あるいは愛している、もしくは頼りにしている者が裏切り、

 その裏切りによって身も心もぼろぼろになった後に、

 増幅された怒りによって事件が解決に導かれるわけなので、

 あとから登場してきた人間で、

 篠原涼子に近しい者から順に悪者になっていかざるをえないんだよね。

 でも、今回の場合、

 夫の香川照之が殺されることで、ほんとだったら、

 いくら別れたとはいえ、未だに信頼し合っている観のある夫が殺されるわけだから、

 その悲しみに後押しされて行動しても好さそうなものなんだけど、

 なんだかそうじゃなくて、

 ネイルガンによる連続殺人とかいった殺人の方法もそうだけど、

 過激さだけが増しているような気もしないではない。

 これもまたシリーズの宿命なのかもしれないけど、

 それにしても、つぎつぎに裏切り者が出続けるのも、

 ちょっと食傷気味ではあるかな~。

コメント

朱花の月

2013年05月07日 12時15分30秒 | 邦画2011年

 ◇朱花の月(2011年 日本 91分)

 staff 原案/坂東眞砂子『逢はなくもあやし』

     監督・脚本・撮影・編集/河瀬直美

     美術/井上憲次 音楽/ハシケン

 cast こみずとうた 大島葉子 明川哲也 山口美也子 樹木希林 西川のりお 麿赤兒

 

 ◇朱花の色は、血の色

 題名は「はねづのつき」と読むらしい。

 はねづと聞いてまっさきにおもいだすのは、

 京都山科区小野の『はねず踊り』だ。

 真言宗大本山隨心院で毎年3月の末になると催される踊りなんだけど、

 この隨心院で余生を送っていたのが小野小町で、

 彼女を慕う深草少将の百夜通いの伝説があって、

 それを舞踊に託したのが「はねず踊り」だ。

 そもそも「はねず」ってのは、薄紅色の古名だそうで、

 淡い紅色をした梅も「はねず」といわれるみたいね。

 だから紅梅と書いて、はねずとも読むらしい。

 踊りはお嬢ちゃんやおねーさんの華やかなもので、

 竹の筒に入った「はねづういろ」をお土産にすればもうOK、

 ってな感じだけど、

 この映画では「はねづ」となり、漢字も朱花となる。

 つまり、山科の「はねず」とはまるで別な、

 奈良県飛鳥地方の「はねづ」なんである。

 万葉集にある朱い花の古名から取られたらしいから、

 歴史的なことからいえば、こちらの方が断然、古い。

 とはいえ、そんな「はねず・はねづ問答」なんて、どうでもいい。

 はねづの月、だ。

 月を背に、万葉集から始まる。

 中大兄皇子の

『香具山は 畝傍を惜しと 耳梨と

 相争ひき 神代より かくにあるらし 古も 然にあれこそ うつせみも 妻を 争ふらしき』

 持統天皇の

『燃ゆる火も 取りて包みて 袋には 入ると言はずや 逢はなくもあやし』

 が、息もたえだえな感じのナレーションと文字で漂い始める。

 なにやら妖しくかつ禍々しい男女の闇が始まるのかと、

 ついつい想像しちゃうのは無理もない。

 ただ、この冒頭が、映画の中でいちばん興奮した気がする。

 話は筋という筋もなく、男女の三角関係とそれに絡んだ心の闇だ。

 血のような朱色を布地に染めているだけで、

 それを職業にしているようなしていないような、

 鬱病のリハビリなのか、たゆたっているだけなのか、

 ちょっとよくわからない浮遊感を持った女が、

 同棲している地方誌の編集者に心身ともに気遣われていたんだけど、

 同級生だった木工作家に再会してしまったことで恋に落ちて子をはらむ。

 ところが、罵倒や乱闘とかの絡んだ抜き差しならない遣り取りもなく、

 やがて発作的にか、何者かの手によるものか、

 同棲していた男は、彼女の染めていた朱花色の血の海で死ぬ。

 自殺なのか他殺なのか、それすら曖昧なまま映画は漂い続けるんだけど、

 主人公たちの祖父と祖母が、戦前、恋をしながらも添い遂げられなかったことで、

 その亡霊なのか、残留思念なのか、あるいは幻覚なのかわからないけど、

 見えざる魂のゆらめきが見えてしまうことにより、幻想味は多分に増す。

 けど、そうした分析はさておき、なんてまあ、凄じいリアリティだろう。

 この映画の命といってもいいほどの緊張感で、

 ドキュメンタリといっても信じちゃえるほどの現実感。

 ことに、音。

 息遣い、虫の跫音、風の渡り…。

 もしかしたら月の移動する音まで録音されてるんじゃないかってくらい。

 画面のちからづよさは、

 特に虫のアップや月も含めた奈良の風光から感じられるけど、

 ひっぱりすぎたらぷつりと切れてしまいそうな緊張を伝える音は、

 全編中に満ちてる。

 このリアリティの伝え方は、凄い。

 どこまでこの陶酔した映画にみずからもまた陶酔できるのかってことが、

 鑑賞の要なのかもしれないし、感性を試されているのかもしれないね。

コメント

がんばっぺ フラガール!

2013年03月11日 20時42分11秒 | 邦画2011年

 ◇がんばっぺ フラガール! ~フクシマに生きる。彼女たちのいま~(2011年 日本 102分)

 staff 監督/小林正樹 撮影/吉田誠 音楽/ジェイク・シマブクロ

     製作/ジェイ・シネカノン 特別協力/スパリゾートハワイアンズ

 cast マルヒア由佳理 大森梨江 裕二ALEX 蒼井優(ナレーション)

 

 ◇平成23年(2011)10月1日、ハワイアンズ一部再開

 なんて時間の経つのは早いんだろう。

 2011年3月11日、ぼくは自宅マンションにいて、

 遅めの昼食を取ろうとして、蕎麦をゆでてた。

 その頃、めまいがひどかったから、

 ああ、今日のめまいはひどいな~とおもってたら、

 いよいよ揺れが大きくなり、かなり長い間、ゆれてた。

 テレビをつけたら、信じられないような事態になってた。

 ぼくの住んでいるあたりは被害という被害もなかったけれど、

 東北はそうじゃなかった。

 その惨状は報道でしか知ることができなかったから、

 たとえば、この「ハワイアンズ」の人々が、どれだけ恐ろしい思いをしたか、

 また、その瞬間から半年後の再オープンにいたるまで、どれだけ苦しい思いをしたか、

 ぼくなんかの想像力では、とてもカバーできない。

 東北大震災をきっかけにして、いろんな映画ができた。

 原発関連のものもあれば、被災地の現状を伝えるものもある。

 また、つい最近、東北でロケをしたところが被災地になってしまった場合もある。

 それはいろいろなのだけれど、

 さまざまな映画を見ることによって、

 多少なりとも、大震災のもたらしたものについて、すこしは想像できるようになってきた。

 でも、いまだに被災地を訪れたことのないぼくには、ほんのすこししか理解できていない。

 この3月10日から11日にかけて、

 東北の太平洋岸には大勢のボランティアが詰めかけて、

 海岸や港やその周辺にいまだに残されている瓦礫の撤去や清掃をしたり、

 水産業者とか漁業関係の人達のお手伝いをしていた。

 ぼくは、できなかった。

 すくなくとも「ハワイアンズ」に出かけて、拍手をすることくらいはできるはずなのに、

 毎日の忙しさにかまけて、なにもできずにいる。

 いかんよね。

 復興支援はいろんな形があって、体力に自信のない人間でも、

 被災地あたりに出かけて、宿泊したり、ご飯を食べたり、お土産を買ったりできるはずで、

 汗を流してるボランティアとは比べるべくもないことかもしれないけれど、

 今年は、なんとかして東北に出かけたいっておもってるんですわ。

コメント

日輪の遺産

2012年12月13日 21時00分01秒 | 邦画2011年

 ◇日輪の遺産(2011年 日本 134分)

 監督 佐々部清

 出演 堺雅人、中村獅童、福士誠治、八千草薫、土屋太鳳、麻生久美子、松本花奈

 

 ◇聖蹟桜ヶ丘?

 米軍が未だにこの国の至る所を接収しているわけだから、山下財宝、M資金、マッカーサーの財宝などという都市伝説めいた代物がどこにあってもおかしくないんだけど、日本近代史におけるあるかないか結局のところよくわからない財宝をあつかった物語は決して嫌いじゃない。

 まあ、どうしても大東亜戦争物にはなっちゃうんんだけどね。

 ただ、ほかの物語よりもええな~っておもえるのは、少女部隊という設定だね。良です。

コメント