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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

テイクオーバー

2022年11月28日 23時52分31秒 | 洋画2022年

 ◇テイクオーバー(The Takeover)

 

 ホワイトハッカーのホリー・ブロートと最後に暴走するバスに乗り込んで跳ね橋の手前で止めようとするゲーザ・ワイズとがどうやって知り合ったのかわからないんだけど、初デートがやつの自宅で中華のデリバリーで春巻きをスープにつけて食べる小汚い喰い方を披露するっていう展開からして、あれこの映画は独創性がないのかなって心配してたら、やはり、そんな感じだった。

 でも、自動バスの顔認証はちょっとよかった。中国政府とがちに描かれてるのが凄いな~っておもうけど、たしかに顔認証ってのは恐ろしいな。顔認証を悪用されて、そこからすべての個人情報がひきだされて、預金も土地も証券も盗まれて、借金まみれのテロリストとかにされちゃう可能性もあるわけで。

 しかし、ホワイトハッカーとかいうんだあっておもっちゃったが、これは世界でも通用する言葉なのか?

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聖なる証

2022年11月27日 00時30分48秒 | 洋画2022年

 ◇聖なる証(The Wonder)

 

 横たわるキーラ・ロード・キャシディと山並みがぴったりと重なる。よく撮ったな~。床板の木目が浮き上がるくらい見事なセット。セットといえば、導入が現代のイギリスのスタジオだった。その一角に移動していって過去の時代の物語の始まりをワンカットで見せるんだけど、はたしてこのショットが必要だったのかどうか、わからない。

 けど、なんだ、食べてんじゃん。母親がキスして口移しで。あまりにも拍子抜けする信仰の正体。衰弱しても元気だわね。ま、だから、これが『ミッド・サマー』をひきずるっていうのかしらね。両方とも、フローレンス・ピューが主役だってことはまるで気づかなかったけど。

 子供の靴下を一緒に燃やす。フローレンス・ピューは、かつての夫との間に出来た子を失っていて、それにひきずられてきてるから、なおさら、少女キーラ・ロード・キャシディが気に掛かり、彼女が死んでしまったことにし、しかも失火によって亡骸も発見されなくなってしまったという過失にして済ませ、自分と出会った地元の新聞記者トム・バークに託し、やがて三人して村を出、あらたな天地をめざして船出していく。でも、これはつまり、うがった見方をすれば、神さまが子供を失ったフローレンス・ピューの純粋なおもいに対して、子を恵んでくれたのかもしれない。いや、そういうことか。

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再生の地

2022年11月09日 23時57分46秒 | 洋画2022年

 ◎再生の地(Land)

 

 なるほど、ロビン・ライトの監督&主演なのか。

 人生いろいろなんだけど、ともかく疲れ果てて、ワイオミング北西部の山奥にひとりで籠もって生きていこうとする。それはわかる。わかるんだけど、こんなところ3日で死ねるな。こんなに大変なおもいをすることないのに、よほど心が折れたんだねっておもいつつ観るしかないのはつらい。

 でも過酷な状況に自分を追い込んで生きようとするには、それだけの理由があるものだけども、人はひとりでは生きていけない。助けが要る。その助け次第では人生をやりなおすこともできるんだっていう、そういう映画だからね。

 で、スター・ウォーズのヨーダを知らん山男が登場する。妻子は死んでいる。自分も夫と子供を亡くしている。で、このふたりがどうかなるのかといえば、微妙なところでそうならず、友情で結ばれる。よくわかる構図だけど、死にかけるまでが長い。そのあと、結局、文明の利器がないと生きられないことが実感されちゃう。現実はそういうもんだ。まあ、素人といったらあかんけれど、素人の作品っていうだけで、この展開の単調さはなんとなくわかる。

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トロール

2022年11月05日 02時34分57秒 | 洋画2022年

 ◎トロール(Troll)

 

 ノルウェーの映画っていうだけで、なんだかわくわくしちゃうわ。

 途中で、トロールが現実にいるかどうかっていう話になったときに、キングコングやゴジラがひきあいにだされるんだけど、こりゃ、そのあたりの怪獣映画よりもおもしろいんじゃないかって気がしたけどな。

 たしかに、陽にあたると石になっちゃうっていう設定はオチとしてはわからないでもないけど、このトロールの親玉は、家族や仲間を殺されてるわけで、その骨をとりかえしに首相官邸の地下をめざしてるんだから、すべてひきとらせてやれば、戦う必要もなく山へ帰ってくれるんじゃないかっておもうんだけど、たとえ昔であっても人民の中止だった連中の悪事はさらしたくないってことだよね。

 だとしたら、トロールは浮かばれないぞ。

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グッドナース

2022年11月02日 18時56分52秒 | 洋画2022年

 ◇グッドナース(The Good Nurse)

 

 1997年に実際に逮捕されたチャールズ・カレンによる連続殺人事件が元になってるらしいんだけど、そうか、こういう看護師の点滴にインシュリンとかを混ぜ込んで患者を殺すっていうのは、この事件あたりが元になってるのかって、ふと、おもった。

 ジェシカ・チャステインは心臓病で、発作がよく起きる。このときの対処は正確で、気持ちもよくわかる。心室肥大で、移植リストに登録されてるんだけど、日本でもこんな感じなんだろうか。ちなみに、ボニー・ギターのDark Moonが効果的に使われてるっていうんだけど、まあたしかにね~。29人の殺人を認め、推測としては400人の被害者にのぼりながらも動機は結局語られず、終身刑を18回宣告されたとクレジットにあったんだけど、こういう事件は日本ではなかなか聞かないな~。

 ジェシカ・チャスティンとエディ・レッドメインも抑えた演技が印象深いけど、なんか地味な役どころやね。

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ブロンド

2022年10月25日 22時12分02秒 | 洋画2022年

 ◎ブロンド(Blonde)

 

 なるほど批判が多いのはよくわかる。観ててつらくなるのもそのとおりだ。

 でも、マリリン・モンローの生涯と齟齬があるからといってこの映画を否定するというのはなんだかな~って気もする。たしかに気分のいい映画ではないし、胎児との対話を幻視するほど生まれたことへの嫌悪と幼い日々のトラウマとどういう巡り合わせかいつも性的かつ暴力的な虐待を受けてしまうという呪われたような運命をかかえた女の物語は、気分が好くなることは決してない。

 ただ、ぼくの場合、画面から目が離せなくなってしまうのもまた事実で、真実ではないにせよジョイス・キャロル・オーツの原作は興味をひかれるし、アンドリュー・ドミニクの絵づくりも演出もちからを感じる。アナ・デ・アルマスの演技もなんだかんだいわれるものではなく、実によく頑張ってるし否定するようなところはない。ただ、マリリン・モンローにはそれほど似てない。豊満さと天然さと醸し出される大人の色気に欠けるからだ。

 

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ハリガン氏の電話

2022年10月11日 23時56分27秒 | 洋画2022年

 ◇ハリガン氏の電話(Mr. Harrigan's Phone)

 

 なんか、ジェイデン・マーテルはスティーブン・キングの申し子みたいになってきたな。ま、怖い話向きな顔立ちと華奢な体つきのせいなんだろうけど、これからどうなっていくんだろう?と現時点ではちょっとおもったりする。

 それにしても、冗漫だな。始まって30分も退屈が続く。絵がちゃんとしてるだけ、物足りなさが目立ってくる。ドナルド・サザーランドは20分でスマホを手に入れ、30分で死なないとね。重厚さはもうぎりぎりで、さすがに老いが目立つようになってきたような気がするんだけど、酸素吸入したまま突然死しちゃう役だから役作りしてたのかもしれないけどね。

 でも、やっぱりスティーブン・キングはおもしろいな。ただ、世話になった好い子のために、死んでも尚スマホで繋がってて、その子を苦しめたり泣かせたりする奴は容赦なく片付けてやるっていう、なんだか甘すぎる保護者みたいな死霊の物語ってのは、どうなんだろうね。

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サマリタン

2022年08月29日 00時24分19秒 | 洋画2022年

 △サマリタン(Samaritan)

 

 なんて、ちんけな大作なんだろう。

 シルベスター・スタローンもついにスーパーヒーロー物に出るようになっちゃったかってわけでもないけど、まあ、よくぞまだ身体を作ってるって感心はする。

 するけど、ゴッサム・シティみたいなグラニッド・シティとかいう英語圏の架空の町とはいえ、なんでこんなにスラム街しかないんだって感じの、そもそも白人はいないのかっていうくらい移民だらけの町に、どういう因果でもって双子の英雄がいて、サンダ対ガイラみたいに喧嘩してて、どっちが正義でどっちが悪かもよくわからず、ともかくどちらかがまだ生きてて、いつかかならず正義を果たしてくれるんだろうって話なんだけど、こういうものの定番として、ヒーローに憧れる少年がいて、決して恵まれた環境ではないんだけど、英雄の存在だけは信じてるっていう少年で、その少年と老いさらばえた正義か悪かどっちかわからない化身が出会い、やがて本物のヒーローになっていくっていう話しか作れないんだよね。

 つらいところだ。

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グレイマン

2022年08月19日 22時39分20秒 | 洋画2022年

 ◇グレイマン(The Gray Man)

 

 カムイ外伝みたいなもんだね。

 CIAの殺しの番号チームの刷新を迫る奴が悪者で、その悪事を知ったナンバーズが次々に殺されてくんだけどシエラシックスことライアン・ゴズリングが逃げ回りつつ黒幕に迫り、逆転するっていう単純な筋立てを200億円かけて映画化したんだけど、いやどうなんだろうね。シャンティ城を取り込んで合成した舞台はかっこよかった。アナ・デ・アルマスはあいかわらず可愛くて、ほんと、いつまでも童顔でなんにもいうことないわ。

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ムーンフォール

2022年08月08日 23時39分40秒 | 洋画2022年

 ◇ムーンフォール(Moonfall)

 

 いやあ、ローランド・エメリッヒ、テンポが速いな~。

 たぶん、これくらいの刈り方でいかないと長尺になりすぎちゃうんだろうね。でも、すぐに忘れかけちゃうくらいな内容だったのもたしかだ。ハル・ベリーとパトリック・ウィルソンがどうして結婚せずに互いの結婚式に出てる仲なのかよくわからないし、なんで10年もの歳月が経つのを待って物語を展開させないといけないのかわからないとおもってたら、なるほど、息子と父親の絆の物語を折り込みたかったのかと。

 でもまあ、そのあたりのことは、月の軌道が変わり始めたと叫び、月が巨大建造物だと主張して、その動力はまんなかに設えられた白色矮星だって断言するオタク偽博士ジョン・ブラッドリーの登場と展開で霧散する。ジョン・ブラッドリーは老人ホームに入れてる母親を抱えたパニック障害のデブで、もうこれでもかってくらいな繊細IBS君なんだけど、結局その意識がAIの中に残るっていう設定もあって、やっぱり主役はこいつなんだろうなって気がするわ。

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