Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE506. 旅の始まりはいつも気鬱

2012年10月31日 | Kyoto city
 旅行と旅とは本質的に意味が異なる。
 サラリーマンが休日になったので、 静養や気分転換などを目的として、どこかの観光地や温泉地へ出かけるという普段とは違う非日常的体験を目的とするのは、明らかに旅行である。観光地もそうした旅行客相手のしつらえと料金設定と、さしておいしくないお土産まで用意され、とにかく数で稼ごうという商魂が見られる。はっきりいってそんな観光旅行が私は大嫌いである。
 旅には、自分の仕事が明確な目的となっている。 その目的とは、 商談で訪れたり、私のように原稿を書くので建築や集落の調査や撮影をしたいとか、気になる風景をデッサンでメモしたり、あるいは遠来の同業の人達と情報交換したりといった具合に、その目的は仕事なのである。それが旅である。当然フーテンの寅さんも、行商という仕事が目的だから旅である。仕事である以上旅とは、仕事の時間に出かけるのであって、本人の休日にでかけるものではなく、従って仕事ライフの延長上にあり、日常の体験なのである。
 だから旅という言葉を、業務用語で言うと出張である。私は、明日からまた出張である。今度は佐渡の僻地であり、当然観光地ではない。今年の大学の紀要に書くための現地取材だから、ゆかなければならない。だから旅の始まりはいつも気鬱である。

金沢市武家屋敷街,2012年9月28日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO200,焦点距離15mm,露出補正-0.3,f5,1/125,リーニュクレール
コメント
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