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2006年7月16日 晴れ
積丹半島の渓流に移植されたオショロコマ、その後の運命。
積丹半島のいくつかの渓流にかってオショロコマが移植された。
1994年6月17日、吉安克彦先生により、そのうち二本の渓流 N川とO川にオショロコマの棲息が確認されている。
それからはや14年が経過した。それらの渓流に今もオショロコマが繁殖しているのかどうかはるばる北見から遠路、調査に出かけた。
最初のN 川は急斜面を流れ落ちてくる細い激流の川で一見してオショロコマは住み難い川だ。

調査に入るのもためらわれるほどオショロコマ棲息の可能性が低い川だ。

それでも気をとりなおして20分ほど入念に釣りながら遡行したがやっと見つけたほんの小さなたまりにはアメマスがいた。


その上は魚類の棲息が考えられない細流で木や草がかぶさって遡行困難となり調査を断念した。
この渓流のオショロコマは今回の調査では予想したとおり確認できなかった。
そこでしばらく走ってもう一本のオショロコマが移植されたO川へ入ってみた。
ここは柳などがおおいかぶさるだらだらした細流で一見してオショロコマが棲息することなどまったく考えられない自然度最低の貧相な川だ。

最初のたまりで同行のF氏が大きなオショロコマを釣ったが一暴れされ針がはずれて逃げられた。
驚いた。14年前、棲息が確認されその後もしっかり命脈を保っていたのだ。
その上流域や小さな滝下でもオショロコマが釣れた。濃い体色で赤点紋理が鮮やかな個体群だ。虫食い紋は消失個体がみられる。
ここのオショロコマは然別湖産のものを放流したと言われているが、もはや似ても似つかない魚に変わっていた。









魚体はひどくずんぐりした個体もみられ総じてオショロコマ独特の精悍さはない。
野性的で健康的なNative の個体群とは明らかに異なって何となくしっくりこないオショロコマたちだ。
養殖池の魚みたいにヒレが貧弱でぼろぼろの背ビレや、尾鰭が丸くなった個体もいる。
この渓流ではオショロコマを12匹釣って撮影した。
大きさは尾叉長10~22cm. 暗褐色で赤点の数が多い。
いかにも放流物といった形態ではあるが、オショロコマの生命力、繁殖力には脱帽だ。恐れ入りました。





撮影させていただいたオショロコマたちは、とりわけ丁寧にリリースした。
ただ気になったのはアメマスが一匹もいなかったことで、その意味合いは今のところ不明である。
詳細な近況は情報がないが、函館のM川にかって移植されたオショロコマも健在らしい。
このようにオショロコマは移植されしっかりと定着することがある。この事実を踏まえると現在もオショロコマが棲息する渓流に他所のオショロコマを移植することは当然ながら厳重につつしむべきと考えられる。
また万一、魚類の絶えた川などにオショロコマを移植する場合にはその経緯や放流の詳細な情報をたとえば道庁の関係機関に報告するなどして公にしておく義務があると思われる。

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