オショロコマ生態系の危うさとたくましさ

20XX-10-10 (金) 曇り 後雨 のち曇り のち大雨 強風 最大36.8mの暴風雨
朝6時起床。
温泉に入って 7:00 朝食後、有名な羅臼川上流の熊ノ湯温泉下流にある大きなダムの下でオショロコマ釣りを試みた。
おびただしい数の魚道付きダム群をなんとか乗り越えて、ここまでたどりつくサケ・マスたちが万一いてもこの巨大なダムが魚止めのダムになり産卵に適した理想的な河床のある上流の水域までたどりつくことは不可能。荒廃したダム直下の河床に無効産卵して斃死するしかないとおもう。
ダムの下流では、理想的な河床を形成していた砂礫・土砂はことごとく流出して巨大な岩ばかりが浮き上がって大岩ごろごろ、河床低下が顕著な、ダムのために荒廃した渓流独特の最悪の光景になっている。

ダムの下流は大岩ごろごろの荒れ果てた流れで、かなりの水量の激流となっている。
ごうごうと流れる相当な水量でダム下はかなり広くて、きわめて釣りにくく、当然ながらそんなところにオショロコマはいない。
とある理由で奇跡的に理想的な河床がある水域を捜し、そこを入念にながしていると思い出したようにポツリぽつりとオショロコマが釣れ始めた。














オショロコマは 尾叉長15-20cmで小型のものが多く、この他10cm程度の幼魚も混じるのは好ましい。


腹部が引っ込んだ個体が目立つ。一般的にこのあたりでの産卵は11月に入ってからが多いが、時期的に産卵しているのだろうか。その割には魚体やヒレに産卵行動後のキズがめだたないので単なるエサ不足の可能性が高い。




温泉水混入のためか清冽とはいえない水の色を反映して、オショロコマの色調はやや灰色を帯びた体色で赤点紋理は数は多いが、小さく目立たず、まさに地味で野性的な外観。すなわち羅臼川水系特有のオショロコマの外観を示す。












岩ごろごろの岸辺に、撮影に適した場所はひどく狭い唯一カ所しかなく、その撮影場所でたいそう苦労しながら、なんとかオショロコマを撮影した。

















撮影なかほどで前かがみになりすぎたとたん胸ポケットからデジカメが滑り落ち水中に沈んだ。
あれまー。すばやく拾い上げ水を切ったがデジカメは死んだように動かなくなり予備のカメラに取り替えた。
この場所のオショロコマは20匹ほどで、やがて釣れなくなった。
釣り上げたオショロコマたちは手早く撮影し、全て丁寧にもとの場所にリリースしました。
2008年頃までに羅臼川には従来の河川環境を徹底的に破壊するかたちでおびただしい数の魚道付きダムが造られ、この過程であれほど多数個体がみられた羅臼川特有のオショロコマ個体群は激減し大きなダメージを受けた。
追い撃ちをかけるように、激減した羅臼川のオショロコマを補おうと近隣の渓流からのオショロコマが移植放流されたことが確認された。
これは渓流ごとに特化し(たとえば羅臼川の水は温泉水混入などで決して清冽ではない環境だ)、さらに外観的にも特有の形態をしめすオショロコマの遺伝的背景などまったく無視したとても好ましくない行為であったとおもう。
さらに、在来の自然に最も配慮すべき知床の羅臼川下流域に、あろうことかニジマスまでが放流されてしまった可能性がある。(海ニジマスの遡上の可能性がまったくないわけではないが)
その後、気になって時々は羅臼川の状況を見てきたが、幸い他水域から移入された別水系のオショロコマは羅臼川の過酷な水質、水温などには耐えられなかったのか消えてしまったようで、本来の羅臼川特有の外観のオショロコマが下流域でも少しづつ増え始めている気がする。
一方、羅臼川上流~源流域には新規魚道付きダム群大増設の影響はあまりおよばなかったとおもわれる。
ひとしきり下流域で釣れていたニジマスも釣りきられたのか最近は話を聞かない。
二万年を生き抜いてきたオショロコマの生態系の危うさと、たくましさの両方が感じられるような気がします。

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朝6時起床。
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おびただしい数の魚道付きダム群をなんとか乗り越えて、ここまでたどりつくサケ・マスたちが万一いてもこの巨大なダムが魚止めのダムになり産卵に適した理想的な河床のある上流の水域までたどりつくことは不可能。荒廃したダム直下の河床に無効産卵して斃死するしかないとおもう。
ダムの下流では、理想的な河床を形成していた砂礫・土砂はことごとく流出して巨大な岩ばかりが浮き上がって大岩ごろごろ、河床低下が顕著な、ダムのために荒廃した渓流独特の最悪の光景になっている。

ダムの下流は大岩ごろごろの荒れ果てた流れで、かなりの水量の激流となっている。
ごうごうと流れる相当な水量でダム下はかなり広くて、きわめて釣りにくく、当然ながらそんなところにオショロコマはいない。
とある理由で奇跡的に理想的な河床がある水域を捜し、そこを入念にながしていると思い出したようにポツリぽつりとオショロコマが釣れ始めた。














オショロコマは 尾叉長15-20cmで小型のものが多く、この他10cm程度の幼魚も混じるのは好ましい。


腹部が引っ込んだ個体が目立つ。一般的にこのあたりでの産卵は11月に入ってからが多いが、時期的に産卵しているのだろうか。その割には魚体やヒレに産卵行動後のキズがめだたないので単なるエサ不足の可能性が高い。




温泉水混入のためか清冽とはいえない水の色を反映して、オショロコマの色調はやや灰色を帯びた体色で赤点紋理は数は多いが、小さく目立たず、まさに地味で野性的な外観。すなわち羅臼川水系特有のオショロコマの外観を示す。












岩ごろごろの岸辺に、撮影に適した場所はひどく狭い唯一カ所しかなく、その撮影場所でたいそう苦労しながら、なんとかオショロコマを撮影した。

















撮影なかほどで前かがみになりすぎたとたん胸ポケットからデジカメが滑り落ち水中に沈んだ。
あれまー。すばやく拾い上げ水を切ったがデジカメは死んだように動かなくなり予備のカメラに取り替えた。
この場所のオショロコマは20匹ほどで、やがて釣れなくなった。
釣り上げたオショロコマたちは手早く撮影し、全て丁寧にもとの場所にリリースしました。
2008年頃までに羅臼川には従来の河川環境を徹底的に破壊するかたちでおびただしい数の魚道付きダムが造られ、この過程であれほど多数個体がみられた羅臼川特有のオショロコマ個体群は激減し大きなダメージを受けた。
追い撃ちをかけるように、激減した羅臼川のオショロコマを補おうと近隣の渓流からのオショロコマが移植放流されたことが確認された。
これは渓流ごとに特化し(たとえば羅臼川の水は温泉水混入などで決して清冽ではない環境だ)、さらに外観的にも特有の形態をしめすオショロコマの遺伝的背景などまったく無視したとても好ましくない行為であったとおもう。
さらに、在来の自然に最も配慮すべき知床の羅臼川下流域に、あろうことかニジマスまでが放流されてしまった可能性がある。(海ニジマスの遡上の可能性がまったくないわけではないが)
その後、気になって時々は羅臼川の状況を見てきたが、幸い他水域から移入された別水系のオショロコマは羅臼川の過酷な水質、水温などには耐えられなかったのか消えてしまったようで、本来の羅臼川特有の外観のオショロコマが下流域でも少しづつ増え始めている気がする。
一方、羅臼川上流~源流域には新規魚道付きダム群大増設の影響はあまりおよばなかったとおもわれる。
ひとしきり下流域で釣れていたニジマスも釣りきられたのか最近は話を聞かない。
二万年を生き抜いてきたオショロコマの生態系の危うさと、たくましさの両方が感じられるような気がします。

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