オショロコマの森ブログ5

渓流の宝石オショロコマを軸に北海道の渓流魚たちと自然を美麗画像で紹介します、

コウモリレストラン その弐

2013-05-08 19:43:09 | 渓流魚、蝶、自然
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17年後、コウモリレストランを再訪問しオショロコマを撮影。
20XX年 9月 9 日 (土)  晴れ

この日、旭川市へ出かける機会があった。これを利用して、その合間に長らくご無沙汰していた石狩川上流 B 川水系、コウモリレストランを再訪問し、オショロコマを17年ぶりに釣って撮影することにチャレンジしてみた。

この日は朝8時過ぎに北見市を出発。石北峠を越え、旭川市を通り抜け、十勝岳方向に走り、一路石狩川水系B川上流域をめざした。順調に走って午前11時30分に懐かしいB川上流域取水ダム付近に到達した。

ここは私たち一家が旭川に住んでいた頃の重要な遊び場の一つであった。しかし往年の面影はほとんどなく砂防ダムを造った後、おきまりの川底の低下とそれに伴う川岸から付近一帯の乾燥化が極端に目立つ。


新たな砂防ダムがすぐ上にまた二つも作られていた。ダムのせいで予想どおり自然度は最悪となり、あまり美しいとは言えない哀れな渓流に変わり果てていた。何故こんな意味もないダムを造り続けたのだろうか。


そろそろ砂防ダムの功罪を多方面で再検討すべきではなかろうか。この渓流に関して言えば、今は大石大岩ごろごろの単なる暴れ川であることがうかがえる。

川底はヘドロ状の堆積が目立ち汚い。しかし釣りを始めるとすぐに魚信があり、オショロコマは小型ながらまだ奇跡的に生き残っていた。

ここから200mほど釣り登り、その後少し下がってゆくとコウモリレストラン付近と思われるあたりに小径があった。川へでるとそこは正に懐かしいコウモリレストランであった。

子供たちとオショロコマを釣って遊んだはるかな昔を思い出し、胸がいっぱいになった。


この2枚の写真は同一の場所ですがダムができると水量豊かで緑に覆われた美しい渓流がいかに荒廃するか 如実におわかりいただけるかと思います。

今は草木が生い茂り、以前の面影はほとんどなくなっている。穂先が折れた釣り竿が一本打ち捨てられており今も釣り人は入っているようだ。

ここに一箇所立派なたまりがあり、オショロコマ小型~中型が釣れた。水温14℃。オショロコマは15cm くらいのものが主体で今回は幼魚から成魚まで合計25匹を釣って撮影し、すべて丁寧にリリースした。激減したといえいまなお健在であったB川のオショロコマの姿を今のうちに記録しておきたいと思います。私の経験上、ここの個体群は、遠からず消えてゆくと思います。













































17年前と比べると個体群としての勢いは見る影もなく低下しているが、まだ何とか命脈を保っていたのは驚きで何よりであった。

当時は渓流ごとにオショロコマの色調・斑紋の変化、個体変異があることなどまったく知るよしもなかった。

今回よく見るとここの個体群は 特定の色調・斑紋への収束はなく、あまり特徴のない個体群である。つまり、いまだ遺伝子の多様性はかなり保たれているようだ。一見かよわそうなオショロコマの別の一面が感じられた。

オショロコマの不思議なたくましさを垣間見た気がした。



このように荒れ果てたあわれな渓流の姿をみたら上流に必ずダムがあると考えて間違いないと思って下さい。





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コウモリレストラン その壱

2013-05-05 09:05:29 | 渓流魚、蝶、自然
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私たちの原風景、桃源郷コウモリレストラン

私たちは17年前に北見市に転居するまで長年、旭川市に住んでいた。

旭川市に住んでいた頃は手近なオショロコマ釣り場として子供釣れでよく出かけた場所があった。

そこは活火山の十勝岳山麓で石狩川水系の上流域にあたる。

自然度は抜群に高く、春には美しいムラサキヤシオツツジの大群落が咲き誇り、川にはオショロコマが無尽蔵にいた。

実は、当初そこにオショロコマがいるとはまったく知らなかったが、ある偶然の出来事からそこが素晴らしい釣り場であることを知った。

家族連れで蝶を採集しに出かけた1986年8月24日、末娘が川沿いの高い木の枝にコウモリが一匹ぶら下がっているのを発見した。

苦労してそれを回収してみると、なんと釣り針を呑み込んだコウモリのミイラ化した死骸が釣り糸で木の枝からぶら下がっていたのであった。


状況を想像してみた。

ある日の夕方、釣り人が長竿を振ってエサ付き針をポイントに振り込もうとした瞬間、それを昆虫と間違って索餌飛翔中のコウモリがくわえ、針がかりした。パニックに陥ったコウモリは急上昇し、道糸が高い木の枝にグルグルとからまった。釣り人が引っ張ると道糸が切れ、コウモリは木の枝に繋がれた格好になってしまった。釣り人は舌打ちしてコウモリを放置して引き上げ、コウモリはやがて衰弱・餓死してそこにぶら下がったのではないかと思われた。

子供たちと地面を掘ってコウモリをねんごろに葬り、みんなで手を合わせて神妙にお葬式ごっこをやった。

へーっ、きっとここには魚がいるんだと直感し、次回は釣り竿を持参して釣ってみると果たして良型オショロコマが入れ食い状態にいた。


そこは水量豊かな清流が流れ、魚も多いが自然がとても豊かで、そこにいるだけで心が安まる素晴らしいところであった。

以来、春から秋までの間、月一度くらいは家族でそこへ炊事遠足に出かけた。


メニューは羊肉を七輪の炭火で焼いて食べるジンギスカン料理か、野外で作るカレーライスと決まっていたが、無尽蔵にいたオショロコマも一人5-6匹くらい釣って、炭火などで焼いて食べた。



オショロコマは渓流魚のなかではとりわけまずい魚だが、ばたばたやっているのを生きたまま、そのまま塩もふらずに炭火で焼いて食べると鮮度抜群のせいか結構おいしかった。



いまにして思えば残酷だが踊り焼きなどと呼んで子供たちの大好物であった。


私たち家族はあまりにも素晴らしいその場所を、密かにコウモリレストランと名付けて誰にも教えない家族だけの秘密の場所にしていた。



末娘が脇にかかえているのはおいしい夕張メロンです。










ある年、急に狭い林道を工事用トラックが走り回るようになり、やがて少し上流に大きな取水ダムが造られた。

河畔の木々も相当に伐採され一気に自然度が低下した。

オショロコマは激減したがそれでも私たち家族が食べる程度は釣れた。

それからしばらくたったある年、大型バスが2台やってきた。釣り竿を持った人たちが沢山降り立った。

近郊の、とある町の町内会レクレーションでみんなでオショロコマ釣りにきたという。

数十人の人たちが半日かかって、各々ビクを何杯もお代わりするほどの大量のオショロコマを根こそぎ釣っていった。

数年が経過し、取水ダムができてからは川に不思議な現象が始まった。

川底が目に見えて年々低くなり川底が深く掘れてきた。川岸は極端に乾燥しはじめ、細いハンノキのみが密生して生え、川岸すれすれまでクマザサが繁茂してきた。乾燥した河川敷が広がって大石ごろごろになり、エゾアカガエルやエゾサンショウウオが多かった川沿いの湿地は全部消え、何種類もいたトンボたちもいなくなった。蝶の姿もめっきり減った。川底には細かな石や砂がなくなり、へどろ状の堆積が目立つようになった。

オショロコマがさらに激減した。

あれほど素晴らしかったコウモリレストラン周辺の自然はダム一基のために時間の経過とともに見る影もなく貧相になり、やがて私たちの足もなんとなく遠のいてしまった。恐らく継時的に川を見ていなければこのような変化には誰も気づかないだろう。

そして私たちは旭川を離れて私の故郷の北見市へ転居することになり、それから早17年が経過した。 

あの美しかった桃源郷 B川水系のコウモリレストランは今現在、いったいどうなっているのであろうか。


この項 続く。






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ブラウン駆除で果たして噴火湾サケ漁獲量は増えたのか???

2013-05-03 20:38:58 | ブラウントラウト
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20XX-6-23  栄枯盛衰、ブラウントラウトの川

一時期、噴火湾水域でのサケ漁獲量がかなり低迷したことがあり、その時強引に犯人に仕立て上げられたのがこの川のブラウンであった。

放流されたサケの稚魚を大量に食べてしまうというのである。

この川は知る人ぞ知るブラウンの川で当時はかなり高密度に生息していて正に川中ブラウンであったという。

ワンキャストワンフイッシュ、70cm級もザラという川であったらしい。そこへサケの稚魚を放せば捕食されるのは当たり前で、その状況は恐らく長年同じであったと思う。

道内の他のサケ稚魚放流河川ではブラウンがヤマベやアメマスやイトウ、オショロコマ、ニジマスなどに置き変わるだけである。

最もサケの稚魚を捕食するのはヤマベとの記載を何かで読んだこともある。私が中学生の頃、ある斜里川水系のサケ稚魚放流河川では稚魚放流前に毒を流してサケ稚魚を食べる渓流魚を皆殺しにしていた時代もある。

道南の釣り人たちはかなり抵抗したようだが結局行政や世論に押し切られ、ブラウン皆殺しが決まった。

刺し網や電気ショック機を用いておびただしい数のブラウンが殺され駆除された。

マスコミなどであまりにも大々的に報道されたので、私も興味を持って当時この川を訪れたことがあった。

その年はサケの遡上も少なく、そのサケたちが産んだ卵までブラウンが食べるとのマスコミ報道であったが、真っ赤なウソであった。

自分の目で見なければマスコミにだまされることは古来あまりにもよくあることである。

川中晩期遡上の大型サケがあふれて川を歩くのも大変であった。

滅茶苦茶に産卵された卵は川底を埋め尽くし、川は死卵で真っ白。産卵後死んだサケの死骸も川をびっしり埋め尽くして、一帯が鼻が曲がるほどの悪臭で閉口した。

一見して自然度の低い川で、この川の上流域はゴミ捨て場みたいになっていたと思う。

その後も徹底的にブラウンが駆除されたらしい。

ブラウンの大量駆除の翌年、この川を再度訪れたことがある。ブラウン稚魚が釣りエサのまわりに蚊柱みたいに集まるのを見て驚いた。

大型ブラウンもかかった。この川には人間が入って行きにくい広大な湿地のプールもあり、そのとき私はここのブラウン皆殺しは不可能と確信した記憶がある。

その後、マスコミなどで繰り返し報道されたために、この川におびただしい数の釣り人が訪れ、むしろこれがブラウンを減らすのに大きく貢献したと思われる。

地元の釣り人に聞くと最近はブラウンは激減し以前ほど釣れなくなったという。

さて、近年噴火湾水域のサケ漁獲量がその後飛躍的に増えたのかどうかは寡聞にして私は知らない。

この日、さすがに大型ブラウンはかからなかったがけっこう楽しめる程度のブラウンは健在であった。




















ヤマベもいました。








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針葉樹の森、美しいオショロコマ

2013-05-02 20:36:26 | 渓流魚、蝶、自然
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20XX-11-19 
遺伝子の多様性が十分保持されているBR川源流域の健康的なオショロコマ個体群。

11月も後半にさしかかった北海道の初冬のある朝、午前10時頃に北見市の自宅を出発。近くの十勝川水系源流域のBR川上流の秘密のポイントへオショロコマの撮影に出かけた。

以前、北国の針葉樹を主体とした深い森の中を流れるこの渓流のとある場所には奇跡的にオショロコマが多いと、ある林業関係の人からこっそり教えてもらったのがきっかけでよく通うようになった。

今日は朝から気温が低く、林道には昨夜来の雪がうっすらと積もっていた。












































この日、産卵行動のあと、やや体力が回復してきたオショロコマたちは婚姻色が薄れてきているもののとても美しく見えた。斑紋には多様性が目立つものの、青い美しい虎虎模様がここのオショロコマの大きな特徴といえる。

水温が低いせいか喰いが甘く、アタリはきわめてかすかである。夏場の喰いが立っている頃のオショロコマしか知らない人には釣れないだろう。

じっと我慢してここぞというたまりをしばらくさぐっているうちに最初の一匹が釣れる。その後は急に食いが立ったように連続して釣れることが多い。

この水域のオショロコマの色彩・斑紋は実に多彩で、いまだ遺伝子の多様性が十分保持されている健康的な個体群に見える。

この水系は正にオショロコマの森の中を流れ、いまだニジマスやブラウントラウトの汚染もなくアメマスもヤマベも生息せずオショロコマ一色の渓流である。

冷たい水中に手を入れての撮影を続けているうちに、急速に体温が奪われて低体温症に陥り、ぶるぶる震えが止まらなくなったので撮影を中止して引き上げることにした。

今日も撮影させていただいたオショロコマたちは、いつも通りすべて丁寧にリリースした。



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積丹半島の渓流に移植されたオショロコマ、その後

2013-05-01 18:19:39 | 渓流魚、蝶、自然
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2006年7月16日   晴れ
積丹半島の渓流に移植されたオショロコマ、その後の運命。

積丹半島のいくつかの渓流にかってオショロコマが移植された。

1994年6月17日、吉安克彦先生により、そのうち二本の渓流 N川とO川にオショロコマの棲息が確認されている。

それからはや14年が経過した。それらの渓流に今もオショロコマが繁殖しているのかどうかはるばる北見から遠路、調査に出かけた。

最初のN 川は急斜面を流れ落ちてくる細い激流の川で一見してオショロコマは住み難い川だ。


調査に入るのもためらわれるほどオショロコマ棲息の可能性が低い川だ。


それでも気をとりなおして20分ほど入念に釣りながら遡行したがやっと見つけたほんの小さなたまりにはアメマスがいた。



その上は魚類の棲息が考えられない細流で木や草がかぶさって遡行困難となり調査を断念した。

この渓流のオショロコマは今回の調査では予想したとおり確認できなかった。

そこでしばらく走ってもう一本のオショロコマが移植されたO川へ入ってみた。

ここは柳などがおおいかぶさるだらだらした細流で一見してオショロコマが棲息することなどまったく考えられない自然度最低の貧相な川だ。


最初のたまりで同行のF氏が大きなオショロコマを釣ったが一暴れされ針がはずれて逃げられた。

驚いた。14年前、棲息が確認されその後もしっかり命脈を保っていたのだ。

その上流域や小さな滝下でもオショロコマが釣れた。濃い体色で赤点紋理が鮮やかな個体群だ。虫食い紋は消失個体がみられる。

ここのオショロコマは然別湖産のものを放流したと言われているが、もはや似ても似つかない魚に変わっていた。












魚体はひどくずんぐりした個体もみられ総じてオショロコマ独特の精悍さはない。

野性的で健康的なNative の個体群とは明らかに異なって何となくしっくりこないオショロコマたちだ。

養殖池の魚みたいにヒレが貧弱でぼろぼろの背ビレや、尾鰭が丸くなった個体もいる。

この渓流ではオショロコマを12匹釣って撮影した。

大きさは尾叉長10~22cm. 暗褐色で赤点の数が多い。

いかにも放流物といった形態ではあるが、オショロコマの生命力、繁殖力には脱帽だ。恐れ入りました。









撮影させていただいたオショロコマたちは、とりわけ丁寧にリリースした。

ただ気になったのはアメマスが一匹もいなかったことで、その意味合いは今のところ不明である。

詳細な近況は情報がないが、函館のM川にかって移植されたオショロコマも健在らしい。

このようにオショロコマは移植されしっかりと定着することがある。この事実を踏まえると現在もオショロコマが棲息する渓流に他所のオショロコマを移植することは当然ながら厳重につつしむべきと考えられる。

また万一、魚類の絶えた川などにオショロコマを移植する場合にはその経緯や放流の詳細な情報をたとえば道庁の関係機関に報告するなどして公にしておく義務があると思われる。




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