デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ポール・ブレイを巡る女性

2007-06-03 07:35:27 | Weblog
 ブリジット・バルドー、カトリーヌ・ドヌーブ、ジェーン・フォンダ、ずらりと並んだ美女を毒牙(笑)にかけたのはフランスの映画監督ロジェ・バディムである。デューク・ジョーダンの主題曲でジャズファンには馴染み深い「危険な関係」や、無重力ストリップが話題になった「バーバレラ」等、耽美的な作品は日本の映画に与えた影響も大きい。いつも若い美女と暮らすバディムは男として羨ましい限りだ。

 ジャズ界のロジェ・バディムといえばポール・ブレイであろうか。最初に結婚したのはバップ以後のコンポーザーの中では際立った才能をみせるカーラ・ブレイ、次に商業主義からのミュージシャンの保護に貢献したアーネット・ピーコック、共に美女というより才女である。アーネットはポールのよき共演者ベーシストのゲイリー・ピーコック夫人であり、驚くことにカーラはポールと分かれた後、なんとゲイリーと結婚している。スワッピングの妙な関係だが、この愛情劇のあともポールとゲイリーは共演しているのだ。色恋沙汰と仕事は別ということだろうか。

 写真はポール・ブレイのデビュー盤で、チャールス・ミンガスとアート・ブレイキーがサポートするという弱冠21歳の新人にしては異例のセッションだ。後に耽美派と言われキース・ジャレットにも影響を与え、更にシンセサイザーを用いた前衛的な作品を作った同じポールとは思えない面白さがある。バド・パウエルさえも思わせる正統派スタイルで、ベテラン二人を前にしても萎縮したところもなく伸び伸びしたプレイをみせ、御大二人もまるでスタジオミュージシャンのように大人しい。将来のジャズ界の一翼を担う新人を見守る優しい音が聴ける貴重な記録でもある。

 バディムは結婚した女性を映画に出演させ大物女優に育て上げ、体験して具現するという方法論で女性美を追求した。ポールは結婚した女性により音楽観を変えていった。「女は素晴らしい楽器である。恋がその弓で、男がその演奏者である。」 スタンダールの名言である。
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