デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

標識をミルト

2007-06-10 07:34:23 | Weblog
 先日、5年振りに運転免許証の更新をしてきた。道路交通法も一部改正されており講習で学ぶところが多く、手渡された教則本を捲ってみると免許取得時には覚えていたであろう法規や標識も随分忘れていることに気づく。車は急に止まれないことは分かっていても時速60キロで急制動した場合、停止距離は何メートルかと質問されても咄嗟に答えが出ない。慣れによる緩慢な運転が事故に繋がるケースもあり胆に銘じるところである。

 いつもながらの直截簡明な発想なのだが、標識といえばこのミルト・ジャクソンの「Googbye」だ。レーベルは CTI (Creed Taylor Inc)で、ヴァイブにヒューバート・ロウズのフルート、ハービー・ハンコックのエレクトリック・ピアノとなるとフュージョンと思いがちだが、これがストレートアヘッドな仕上がりで見逃せない。勿論レーベルカラーである柔らかい耳障りの良さはあるもののホレス・シルヴァーの名曲「オパス・デ・ファンク」の再演は見事な出来だ。ファンキー感充溢しており、かつてのジャクソンとフランク・ウェスを彷彿させる演奏は、ヴァイブとフルートの音色の相性が殊更に際立ってくる。

 ベツレヘム、インパルス等で敏腕プロデューサーとして活躍したクリード・テイラーが、新興レーベル A&M に移籍し立ち上げたのが CTI (Creed Taylor Issue)シリーズであった。その第一弾はウェス・モンゴメリーの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」で、イージー・リスニング・ジャズなる新造語が使われるようになるきっかけである。ジャズの芸術性よりコマーシャルな感覚で売れるアルバム作りを優先したテイラーは時に批判の的であった。その路線は標識のように主流から外れるものであったが、多くのポップス・ファンがジャズに注目した成果は大きいだろう。

 今、札幌でよさこいソーラン祭りが開催されていて、このイベントを皮切りに北海道観光に訪れる方も多くなる。直線が続く広い道路はついスピードを出しがちだが、こちらには鹿飛び出し注意を促す鹿の絵が描かれている標識がある。この標識は鹿にはシカトされるのでくれぐれもご用心願いたい。
コメント (28)
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