「俺とマイルス、どっちが好き?」とファンに聞く。「ブルーに生まれついて」のワンシーンで、俺とはチェット・ベイカーだ。話題の映画は多くのレヴューがネットを賑わしているので、内容はそちらをご覧いただきたい。また、ベイカーとその音楽、ジャズと麻薬は研究し尽くされているので、こちらも文献を参照してほしい。こう言ってしまうと書くことがなくなりそうだが、いい作品はどのアングルから見ても楽しめる。
これから鑑賞する方のためにネタバレしない程度に書こう。まず映画なので史実と違うところがある。映画「セッション」のようにこの点を指摘する輩がいたら無視してほしい。映画なので美化されたり誇張するのは当然だ。次にバードランドに始まりバードランドで終わる。ブレイキーのライブ盤等でお馴染のジャズクラブだが、このステージに立つ意味は実に大きい。そしてパシフィック・ジャズの社長リチャード・ボックが出てくる。ここではディックの愛称で呼ばれているボックの器の大きさも見逃せない。小さなレコード会社をウエストコーストの名門レーベルに育てただけのことはある。
タイトルの「Born to Be Blue」は、1947年にメル・トーメが友人のドラマー、ロバート・ウェルズと共作したもので、日本ではトーメ本人のものよりヘレン・メリルで有名な歌だ。歌詞の内容はネットで紹介されているので省くが、ベイカーが歌ったのはライムライト盤に収録されている。度重なるドラッグ問題でヨーロッパに逃げたものの、そこでも一悶着あり、結局60年代初めに本国に戻る。この「Baby Breeze」は少しばかり落ち着いた65年に録音されたものだ。「A Taste of Honey」の作者として名高いボビー・スコットのキンキンしたピアノと憂鬱そうなベイカーの声が重なり、映画同様ブルーな空気が漂う。
この映画はR-15指定されている。性描写より麻薬を打つシーンが検閲にかかったと思われるが、会話も過激だ。ベイカーは自分を監視する保護観察官に「あんたのような人がビリー・ホリデイを殺した」と言う。差別問題をえぐっている。マイルスの「女と金のために演奏しているヤツは信用しない」は問題ないとして、「バカな白人女にジャズがわかるか」は時代が時代ならR-18指定、いやカットされたかも知れない。
これから鑑賞する方のためにネタバレしない程度に書こう。まず映画なので史実と違うところがある。映画「セッション」のようにこの点を指摘する輩がいたら無視してほしい。映画なので美化されたり誇張するのは当然だ。次にバードランドに始まりバードランドで終わる。ブレイキーのライブ盤等でお馴染のジャズクラブだが、このステージに立つ意味は実に大きい。そしてパシフィック・ジャズの社長リチャード・ボックが出てくる。ここではディックの愛称で呼ばれているボックの器の大きさも見逃せない。小さなレコード会社をウエストコーストの名門レーベルに育てただけのことはある。
タイトルの「Born to Be Blue」は、1947年にメル・トーメが友人のドラマー、ロバート・ウェルズと共作したもので、日本ではトーメ本人のものよりヘレン・メリルで有名な歌だ。歌詞の内容はネットで紹介されているので省くが、ベイカーが歌ったのはライムライト盤に収録されている。度重なるドラッグ問題でヨーロッパに逃げたものの、そこでも一悶着あり、結局60年代初めに本国に戻る。この「Baby Breeze」は少しばかり落ち着いた65年に録音されたものだ。「A Taste of Honey」の作者として名高いボビー・スコットのキンキンしたピアノと憂鬱そうなベイカーの声が重なり、映画同様ブルーな空気が漂う。
この映画はR-15指定されている。性描写より麻薬を打つシーンが検閲にかかったと思われるが、会話も過激だ。ベイカーは自分を監視する保護観察官に「あんたのような人がビリー・ホリデイを殺した」と言う。差別問題をえぐっている。マイルスの「女と金のために演奏しているヤツは信用しない」は問題ないとして、「バカな白人女にジャズがわかるか」は時代が時代ならR-18指定、いやカットされたかも知れない。