デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

デヴィッド・サンボーンとマイルスが映画に出ていた

2024-06-02 08:33:35 | Weblog
 5月12日にデヴィッド・サンボーンが亡くなった。モダンジャズ中心のブログなのでフュージョンやスムーズジャズは聴かないのでは?と突っ込まれそうだが、その分野で三本の指に入るサンボーンだけに、「Straight to the Heart」や「Double Vision」、「Inside」のグラミー賞作品は持っている。あまりかけないがワイングラスを傾けたときは妙に心地いい。

 サンボーンが映画に出ていたのをご存じだろうか。テレビの洋画専門チャンネルで偶然観た。僅か1分ほどのシーンなのだが、共演者は何とマイルスとラリー・カールトンで、ストリート・ミュージシャンとして登場する。これには驚いた。1988年のビル・マーレイ主演「3人のゴースト」で、チャールズ・ディケンズの小説「クリスマス・キャロル」を現代風にアレンジした内容だ。86年のモントルー・ジャズ・フェスで共演した音源は聴いていたが、この映画は知らなかった。どのような経緯でオファーが来たのか謎だが、マイルスが亡くなる3年前の映像は貴重だ。

 マイルスは1980年に活動を再開した後、ジャンルを超えたミュージシャンとセッションしているが、サンボーンの共演者も多彩だ。アルバート・キングをはじめポール・サイモン、ローリング・ストーンズ、ジェームス・ブラウン、チャカ・カーン、エルトン・ジョン、カーリー・サイモン、ビリー・ジョエル、B.B.キング、ジェイムス・テイラー、イーグルス・・・おっとジャズ畑を忘れていた。ブレッカー・ブラザーズにスティーヴ・ガッド、メイナード・ファーガソン、ボビー・ハッチャーソン、そしてジャズマンなら一度は組みたいギル・エヴァンス。

 1970年代に台風のように押し寄せてきたクロスオーバーは80年代に一気に引く。多くのバンドは解散し、ブームに乗っかったジャズプレイヤーはスタンダードに戻り、実力のあるミュージシャンはスタジオに入った。そんな中、サンボーンは路線を外れることなく独自の音楽を創りあげた。享年78歳。合掌。
コメント (3)
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