コタツ評論

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ロシア敗北論

2022-05-19 00:03:00 | ノンジャンル
衝撃の「ロシア敗北論」全文和訳…元駐ウクライナ中国大使は何を語ったのか
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95310

同じ元ウクライナ大使でも、日中ではこれほど違うものなのかと。とりたてて目新しいことを言っているわけではないが、認識の深さが凡百の論説とは隔てています。

第五に、今回の戦争をいつどんな形で終結させるかという決定権は、すでにロシアの手中から離れてしまっている。主要な既得の成果を得た条件下で、一刻も早く戦争を終結させようというロシアの意図、希望は、もはや無に帰したのだ。そうした意味で、ロシアはすでに戦略的なリードと主導権を失ってしまったと言える。

停戦も核戦争もすべては、「プーチンの腹ひとつ」という訳知り顔がどれほど愚昧なものかわかります。

4)日本とドイツは、完全に第二次世界大戦の敗戦国としての約束に別れを告げる。軍備拡張を加速化させ、より積極的に政治大国としての地位を掴もうとする。ただし、(日独が)西側陣営から離脱することはない。また、完全に平和的発展の方針に背くわけでもない。

国連改革が進むと合わせて、第二次世界大戦の連合国の国連の終焉を予測して、枢軸国であった日独が敗戦国の頸木(くびき)を外れるというわけです。日本がドイツのような世界に影響力を及ぼすような「政治大国」になるという予測にだけは頷けませんが。

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今週の拾得物 「キエフの亡霊」

2022-05-04 21:00:00 | ノンジャンル


ロシア軍の市民虐殺や駅や病院、劇場などの爆撃などについて、プーチンは「フェイクだ」と断言し、日本の識者などにも、「実はウクライナ軍の仕業」とする人もいる。ロシア側の残虐非道な「国際法違反」や「戦争犯罪」には数多くの映像や音声などの証拠があるが、「欧米とウクライナの陰謀」にはそれは見当たらない。いや、証拠がないからこそ陰謀が張り巡らされた証拠であるというのが、いつもの「陰謀論」である。

下記の「キーウの亡霊」への訂正こそ、ウクライナ側の公正な姿勢が伺える一方、これがロシア側であれば、この英雄譚をどう扱うかと想像してみる必要はない。ブチャ虐殺の犯人として10人のロシア兵士が顔写真と共に特定されたが、そのうちの幾人かはプーチン大統領から勲章を与えられている。

ウクライナ軍は40機を撃墜した「キーウの亡霊」の戦死を否定
https://milirepo.sabatech.jp/ukrainian-troops-deny-the-killed-in-action-of-ghost-of-kyiv-who-shot-down-40-aircraft/

この動画は早回しではない。このおっさんが気ぜわしく動いているだけだ。スラヴォイ・ジジェクについては、当ブログでも取り上げたことがある。

鈴木大拙の戦争協力について語るジジェクの動画に字幕をつけました
https://twitter.com/i/status/1520292043498876928

本人も周囲もそんな気は少しもないだろうが、いつのまにか、言論界の一角に「内田一派」が軒を張ったようになっている。「街場」という言葉を好むから、便宜上、「内田界隈」といってもよいかもしれない。この人が書くものには、この人がよく使う言葉の「指南力」がある。それがよく読まれている理由だろう。

憲法空語論
http://blog.tatsuru.com/2022/05/03_0859.html

Sさんへおみやです。

猫の診察で泣きそうになった話
https://twitter.com/yalalalalalala/status/1521340745286025216/photo/1

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自作自演

2022-04-20 04:11:00 | ノンジャンル
吉野家取締役が「生娘をシャブ漬け戦略」発言 会社が謝罪「極めて不適切」「到底許容できない」
https://www.j-cast.com/2022/04/18435532.html

受講生のSNS投稿によれば、取締役は自社の若年女性向けマーケティングを「生娘をシャブ漬け戦略」と発言し、「田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を無垢・生娘な内に牛丼中毒にする。男に高い飯を奢って貰えるようになれば、絶対に食べない」とも話していたという。


伊東正明氏

発言の主は、「伝説のマーケター」(下記「おまけ」参照)の伊東正明氏です。早稲田大学主催の社会人向けの高額なマーケティング講座をマーケティングした結果、吉野家の若年女性をリピーター顧客とする販売戦略の解説として、上記のような予断と偏見と差別に満ちたワーディングが有効と判断したのでしょう。

慶応出身でP&Gという外資でマーケティングを学んだ人らしく、若年女性だけでなく、従来の吉野家の顧客すべて、ついでに泥臭く垢抜けない早稲田イメージにも適応してみせてコケにしているわけです。

商品や顧客をバカにするくらい冷徹なマインドがマーケティングには必要である、ということが学べます。さらに、危機管理に当たって、迅速な広報対応の実践までしています。

吉野家企画本部長の「生娘をシャブ漬け戦略」発言事件を受けて、吉野家は以下のような「お詫び文」を発表した後、伊東正明氏を常務取締役から解任しています。

https://www.yoshinoya.com/wp-content/uploads/2022/04/18120356/news_20220418_4.pdf

吉野家のHPに掲載された『当社役員の不適切発言についてのお詫び』ファイルのプロパティをみると作成者が"Ito Masaaki"だったそうです。これが事実なら、自分の不祥事に対する会社の謝罪文を自分で書いたということになります。

なるほど、会社のコンプライアンスの下位に人権を置くタカのくくり方や謝罪を矮小化する常套句の「ご不快な思いをさせた」を採用するところなど、この人らしい浅薄さがうかがえます。

すると、当然、常務取締役の解任も同様に、自らが進言して取締役会にはかった決定ではないかと推測できます。この間、ほんの数日ですから、吉野家の謝罪から取締役まで仕切ったとすれば、やはり「やり手」と評価されて業界で生き残ることでしょう。彼の発言にほんとうに眉をひそめている関係者や業界人はごく小数のはずだからです。

しかし、この程度の不徹底以上に不見識な「お詫び文」すら、いまだに出せない早稲田大学の体たらくはどうでしょう。いっそ、早稲田大の「お詫び文」も伊東正明氏に依頼すればよかった。彼なら30分もあれば書いてくれるでしょう。

おまけ

トイアンナ・インタビュー「オンラインビジネススクール立ち上げの勝算と、P&G時代に伊東正明さんから学んだこと」
https://marketingnative.jp/sp11/

4月20日、ようやく早稲田大から「お詫び文」が出ました。「教育機関として到底容認できない」文章以前の代物でした。

本学講座における講師の不適切発言について
https://www.waseda.jp/top/news/79974


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美しい文章です

2022-04-03 11:24:00 | ノンジャンル
亡きホームレス女性、ノートに残した暮らしと思い「美しい夕陽」「今日も書けた、読めた、歩けた」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/169413

私、今日フランスに行ってくるわ。夜の時間をゆっくり使いたいの…。美しい夕陽を見送り、顔が今日の夕陽のように赤く燃えている。(2001年6月26日)

死んだホームレス女性が書いたからではない。ホームレスなのに文章が巧みだったからではない。「夕陽」の重複はふつうは避けるものだが、そんな巧拙を越えた力のある文章の書き手だから惜しまれるのだ。

君は何もしていないんだ、もう君に食べさせる食料はない、誰か男でもつくり2人でいる所を見たらすぐ殺してやる、俺はそれを待っているんだと、又、おかしい事を口走る。私は、男を作り、共に過ごそうなんて、1度も思ったこともないわ、一時も早く、一人で静かに自立して生きていきたいだけなの…。(01年6月18日)

25才より、読む書くことを志、現在こんな環境の中で約2カ月で6冊ものノートを書けたら十分だ。 きっとはげまし協力してくれた人も、世に認められず収入がなくとも喜んでくれるだろう。 私も喜んでいる。今日も書けた、読めた、歩けたと…。きれいな風景を見て、美しい音楽も聞くことが出来た。(01年3月26日)

かつて朝日新聞は、「コトバの力」なる珍妙な購読キャンペーンを打ったことがある。言葉や文章による報道に携わりながら、その使命や特権を留保するかのような「コトバ」を使ったのに驚き呆れたものだ。

いっそ「コトバのチカラ」でもよかったくらい、新聞の凋落はその後著しいわけだが、上記の彼女の文章には、その対極の個から滲み出る確固とした「言葉の力」を看取できる。

ホームレスでか弱い女性なのに、前向きで力強い意志を語り、夕陽の一景や一杯のコーヒーにも人生の喜びを見出している、という「感動の物語」には収まらない、読み手の感情を揺さぶる力だ。

それは罪悪感という甘いオブラートに包まれた毒物として、心の皮膜にごく小さな傷をつける。


インドのハヌマンラングールというサルとアクシスジカは協力関係にあることが知られている。サルは樹上からシカは鋭い嗅覚を使って、外敵の接近を互いに知らせ合う。

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言葉の綾や

2022-03-13 19:51:00 | ノンジャンル
労働者階級の子供は芸能人にもサッカー選手にもなれない時代
https://news.yahoo.co.jp/byline/bradymikako/20150226-00043362

芸能界は吉本の天下、野球には中田翔はいるし、日本ではまだそこまではと安心したいのだが。

ウイリアム王子、正直にもほどがある
#ICYMI: Prince William said it's rather normal to see war and bloodshed in Africa and Asia but not Europe, during a visit to the Ukrainian Cultural Centre in London today. "It's very alien to see this in Europe. We are all behind you," he told the volunteers there.

#ICYMI: ウィリアム王子は、今日ロンドンのウクライナ文化センターを訪問した際、アフリカやアジアで戦争や流血を見るのはむしろ普通だが、ヨーロッパではそうではないと語った。"ヨーロッパで見るのはとても異質だ。私たちは皆、あなた方を応援しています」と、そこのボランティアに語りかけた。

東京高等裁判所の平田豊裁判長の名判決文。中高の教科書に掲載すべき、「論理国語」です。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220311/k10013525951000.html

でもさ、民放のどこかのニュースでは、これを「裁判長は原告に幸せになってもらいたいと語りかけました」と要約したから、(何を呑気な!)と最初は
平田豊裁判長に舌打ちしたのね。

『旧優生保護法による手術は幸せになる可能性を一方的に奪い去るものだ』などと言われることがありますが、子どもをもうけることが出来ない人も、個人として尊重され、ほかの人と平等に、幸せになる権利を有することは言うまでもありません。

手術が違憲・違法なものであること、その被害者に多大な精神的・肉体的損害を与えたことは明確にされなければなりませんが、この問題に対する憤りのあまり、子どもをもうけることのできない人たちに対する差別を助長することとなり、その人たちの心情を傷つけることはあってはならないと思っています。
報道などの際にも十分留意していただきたいと思います。


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