コタツ評論

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『アジアパー伝』(鴨志田穣・文 西原理恵子・挿し絵 講談社)。

2006-05-24 13:47:52 | ブックオフ本
さすが、凶眼の西原が亭主にしただけに(やはりその後離婚したそうだが)、鴨志田穣、非凡なり。タイの山頭火だな。凡百のアジア紀行文や旅行記を読むより、はるかにその地の色や匂いや音が感知できる。ほとんど色や匂いや音について書いていないのに。こんなのを読むと、紀行文や旅行記を書くというのは空恐ろしいことだとわかる。車谷長吉が女房のお供で出かけた豪華客船世界一周記を書いているそうだが、何処にいっても自らの「欲どおしく、卑しい人間性」ばかりに思いを馳せる好評連載になっているらしい。やはり紀行文や旅行記は恐ろしい。ところで、穣というのは雰囲気のあるよい名前だな。
コメント
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