コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

トイストーリー 3

2011-01-07 21:23:00 | レンタルDVD映画
言葉の綾」掲示板より、Sさんの「トイストーリー 3」感想を転載します。この映画の予備知識がなくても、興味関心すらなくても、心躍らせる感想です。「もっと映画を語れ」も、書き直そ。没かも。



ピクサーのタイトルに出てくる電気スタンドのLuxo君のデビューを私はTVニュースで見た記憶があります。カラスのようにスタンドがぴょんぴょん跳ねて移動し視界から消えてコードだけが波打つ、その生き物臭い動きと余韻はまったく斬新でした。1986年、私が上京、就職した年のことです。

トイ・ストーリー3(2010)」は再会と別れの物語です。おもちゃの持ち主アンディは青年に成長したのに、おもちゃ達は再びアンディと遊べる日を夢見ています。「2」で仲間に加わったジェシーはエミリーに捨てられ、深く傷つきます。「3」で登場する無言の暴君ビッグベビーも生き別れたデイジーの名札を見て「ママ!」と発語します。

「おもちゃは最初の持ち主に変わらぬ愛を誓う」のです。キリスト教的な迷い、苦悩の末のこのテーゼ 。そしてクライマックスでは「神様」が奇跡を起こします。この「神様」の由来は「トイ・ストーリー(1995)」にあると、小学生の息子に教えられて、確認のために前の2作も購入しました。

3作品を改めて見るとそれぞれ単独で完結しています。「スターウォーズⅡ」や「同V」のような残尿感に悩むことなくスッキリできます。回を追うごとに物語はより深く、より痛快で、より愉快な作品になっています。「ジブリ」がスタッフの食い扶持と自己満足のために制作する度に疲弊していったのと対照的です。

「3」にはトトロ(1988)のぬいぐるみが友情出演しています。初心忘るべからずというジョン・ラセターから宮崎駿へのメッセージのようにも思えます。同時代で比較するのは酷な話だったかもしれません。TVシリーズ「ルパン三世(1971)」とその劇場版「カリオストロの城(1972)」とのアナロジーを「トイ・ストーリー」シリーズに感じました。

前人未踏の世界を開き、十余年で前人未到の境地に達した。このメディアならではの最高の作品に出会ったとあの時思い、今回もそう思えたのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする