① CATVの「日本映画専門チャンネル」で小津安二郎の「浮草」を観た
「大根役者」のはずの中村鴈治郎がどうみても名優にしかみえず、若い男を誘惑するようなはすっぱな女にしては若尾文子が美人過ぎるなどの瑕瑾はあれど、一音一音をきっちり奏でるクラシック音楽のようなワンショットの完成度に唸る。
これぞ、「日本映画の伝統」「日本文化の精髄」と紹介されるが、それはいまから見ればの話で、上映当時は現代映画だ。当たり前の話だが。そのカメラアイはいわゆる日本的な情緒-湿潤した懐古憐憫郷愁-を排して、そこに荒野を見ているかのようなドライアイに思えた。「庶民の暮らし」ではなく、「下層の生活」と断念するような、痛む眼をおおくの場面から感受できる。
映っているのはたしかに日本の旅役者の浮草暮らしなのだが、小津ならギリシャ悲劇やハムレットであれ、ドラマの骨格(論理)を後景に下げて、細々したエピソードから感情を描く家庭劇にするように思える。小津作品の国際的評価が高いのは、日本的だからではなく、映像によって語らせるという手法が、当時もいまも先鋭的だからではないか。ふとそんなことを思った。
終盤、また旅に出る決意をした旅役者の鴈治郎が京マチ子の「つれあい」に酌されて、列車の座席で一杯やる場面。ぐい飲みに注がれ、その表面張力から目を離さず、すでに飲みはじめたように口をすぼめながら、空いた手で懐あたりからつま楊枝をさがし、それを縫い針を髪の油でしごくようにではなく、すいと髪に通してから、「つれあい」の膝上の折り詰めの肴に刺して口に運び、咀嚼しながらおもむろに酒に口をつける。なみなみとつがれたぐい飲みを、今生最後に味わう酒のようにゆっくりと上げていく。その丹念な所作を正面からのみ映すワンショットワンシークエンス。侘びしさと切なさと下卑た優雅さのさのさ。名人上手の落語家でも、ここまでは再現できない名場面だった。そして、夕闇を遠ざかっていく列車のテールランプ。
吉ツァン役の三井弘次という名優の顔が懐かしかった。
② 大晦日の紅白は、桑田佳祐がヒトラー髭で話題となった模様
「痛烈な安倍批判だ、よくやった!」「稚拙なパフォーマンス、ケッ」「ステロタイプなヒトラー批判に便乗、フン」「ジョン・レノン気取りか?」といろいろだが、いちばん気に入らない型は、「ほんとうの体制批判とは決死の覚悟をもって」云々と、古今東西の「異議申し立て者」を例に出すやつ。
この型に対しては、すでに梶原一騎が「あしたのジョー」のなかで明晰に回答している。朝鮮戦争の戦乱期に育ち餓死寸前にまで飢えた経験を持つ対戦者・金竜飛に、はじめは圧倒されたジョーが、「でも、力石(徹)は、飲もうと思えば飲める水を飲まずに、命を縮めたんだ」と思い直すところだ。
政権批判、体制批判とうけとられるヒトラー髭は、あきらかに桑田にとってさまざまなデメリットを及ぼす可能性がある。やはりそれは、「飲もうと思えば飲める水を飲まずに、命を縮め」ることにつながると思える。有名な「カトちゃん、ぺっ」というギャグを真似したものですとでも桑田がとぼけたとしたら、上記のような賢しらなノイズはかなり軽減されたのに。ふとそんなことも思った。
③ 今年は、河野談話に代えて、安倍談話を発表するらしい
それなら、この天皇談話をもって、安倍談話に代えさせていただくとよいのでは。
http://www.asahi.com/articles/ASGD07R5SGD0UTIL00K.html
本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています。この一年が、我が国の人々、そして世界の人々にとり、幸せな年となることを心より祈ります。
現在の日本著名人のなかで、もっとも「国際的」で「リベラル」な発言をする人が天皇であるという時代を迎えようとは! 31日に桑田がチョビ髭で「ピースとハイライト」を歌い、1日に天皇陛下が「放射能汚染と戦争の歴史を学び」談話を発表するコラボを見せられようとは!
④ 18歳から34歳までの女性の39%が処女で、男性の36%が童貞
なにか変だなと思ってはいたのだが、なにせ谷岡ヤスジの「鼻血ブーッ」に笑っていた世代なので、「草食男子」なんて冗談マーケティングくらいにたかをくくっていた。この統計が信頼に値するとすれば、人類史上はじめて登場した盛りがつかない男と女というわけで、SF的驚愕問題じゃないかしらん。
草食化・セックスレスで日本の少子化加速!? 海外紙が真剣に心配
http://news.livedoor.com/article/detail/9633350/
子作り適齢期の日本人の3分の1以上は、セックスをしたことすらない。18歳から34歳までの女性の39%が処女で、男性の36%が童貞だ(同上)
男が口説かず迫らないから処女が多いはず。これかなりが男側の問題だろう。
(敬称略)
「大根役者」のはずの中村鴈治郎がどうみても名優にしかみえず、若い男を誘惑するようなはすっぱな女にしては若尾文子が美人過ぎるなどの瑕瑾はあれど、一音一音をきっちり奏でるクラシック音楽のようなワンショットの完成度に唸る。
これぞ、「日本映画の伝統」「日本文化の精髄」と紹介されるが、それはいまから見ればの話で、上映当時は現代映画だ。当たり前の話だが。そのカメラアイはいわゆる日本的な情緒-湿潤した懐古憐憫郷愁-を排して、そこに荒野を見ているかのようなドライアイに思えた。「庶民の暮らし」ではなく、「下層の生活」と断念するような、痛む眼をおおくの場面から感受できる。
映っているのはたしかに日本の旅役者の浮草暮らしなのだが、小津ならギリシャ悲劇やハムレットであれ、ドラマの骨格(論理)を後景に下げて、細々したエピソードから感情を描く家庭劇にするように思える。小津作品の国際的評価が高いのは、日本的だからではなく、映像によって語らせるという手法が、当時もいまも先鋭的だからではないか。ふとそんなことを思った。
終盤、また旅に出る決意をした旅役者の鴈治郎が京マチ子の「つれあい」に酌されて、列車の座席で一杯やる場面。ぐい飲みに注がれ、その表面張力から目を離さず、すでに飲みはじめたように口をすぼめながら、空いた手で懐あたりからつま楊枝をさがし、それを縫い針を髪の油でしごくようにではなく、すいと髪に通してから、「つれあい」の膝上の折り詰めの肴に刺して口に運び、咀嚼しながらおもむろに酒に口をつける。なみなみとつがれたぐい飲みを、今生最後に味わう酒のようにゆっくりと上げていく。その丹念な所作を正面からのみ映すワンショットワンシークエンス。侘びしさと切なさと下卑た優雅さのさのさ。名人上手の落語家でも、ここまでは再現できない名場面だった。そして、夕闇を遠ざかっていく列車のテールランプ。
吉ツァン役の三井弘次という名優の顔が懐かしかった。
② 大晦日の紅白は、桑田佳祐がヒトラー髭で話題となった模様
「痛烈な安倍批判だ、よくやった!」「稚拙なパフォーマンス、ケッ」「ステロタイプなヒトラー批判に便乗、フン」「ジョン・レノン気取りか?」といろいろだが、いちばん気に入らない型は、「ほんとうの体制批判とは決死の覚悟をもって」云々と、古今東西の「異議申し立て者」を例に出すやつ。
この型に対しては、すでに梶原一騎が「あしたのジョー」のなかで明晰に回答している。朝鮮戦争の戦乱期に育ち餓死寸前にまで飢えた経験を持つ対戦者・金竜飛に、はじめは圧倒されたジョーが、「でも、力石(徹)は、飲もうと思えば飲める水を飲まずに、命を縮めたんだ」と思い直すところだ。
政権批判、体制批判とうけとられるヒトラー髭は、あきらかに桑田にとってさまざまなデメリットを及ぼす可能性がある。やはりそれは、「飲もうと思えば飲める水を飲まずに、命を縮め」ることにつながると思える。有名な「カトちゃん、ぺっ」というギャグを真似したものですとでも桑田がとぼけたとしたら、上記のような賢しらなノイズはかなり軽減されたのに。ふとそんなことも思った。
③ 今年は、河野談話に代えて、安倍談話を発表するらしい
それなら、この天皇談話をもって、安倍談話に代えさせていただくとよいのでは。
http://www.asahi.com/articles/ASGD07R5SGD0UTIL00K.html
本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています。この一年が、我が国の人々、そして世界の人々にとり、幸せな年となることを心より祈ります。
現在の日本著名人のなかで、もっとも「国際的」で「リベラル」な発言をする人が天皇であるという時代を迎えようとは! 31日に桑田がチョビ髭で「ピースとハイライト」を歌い、1日に天皇陛下が「放射能汚染と戦争の歴史を学び」談話を発表するコラボを見せられようとは!
④ 18歳から34歳までの女性の39%が処女で、男性の36%が童貞
なにか変だなと思ってはいたのだが、なにせ谷岡ヤスジの「鼻血ブーッ」に笑っていた世代なので、「草食男子」なんて冗談マーケティングくらいにたかをくくっていた。この統計が信頼に値するとすれば、人類史上はじめて登場した盛りがつかない男と女というわけで、SF的驚愕問題じゃないかしらん。
草食化・セックスレスで日本の少子化加速!? 海外紙が真剣に心配
http://news.livedoor.com/article/detail/9633350/
子作り適齢期の日本人の3分の1以上は、セックスをしたことすらない。18歳から34歳までの女性の39%が処女で、男性の36%が童貞だ(同上)
男が口説かず迫らないから処女が多いはず。これかなりが男側の問題だろう。
(敬称略)