コタツ評論

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今夜は歌謡曲史

2015-11-26 23:30:00 | 音楽
藍美代子_ ミカンが実る頃_


蜜柑の採り入れを手伝う娘がいる農村光景です。でも、「初恋の人」か「恋人」の青年は都会に働きに出ています。宮城県石巻出身の「蜜柑娘」はこの収録時には仙台市の「高級スナック」のママです。乞われて歌うことも多いのでしょうが、ほとんど声が衰えていないのは立派です。

潮風の吹く町(歌詞入) 森田由美恵


やがて、息子だけでなく娘も故郷を出るようになります。「帰りたい」「母に甘えたい」と思いながら、「二年が過ぎ」「四年が過ぎた」のは、お盆や正月の休みもない都会の下層に沈んだからです。なおかつ、故郷に居場所がないからでしょう。現在もライブ活動を続けているようなので、この歌の動画を上げてほしいものです。

Missing


この頃から完全に故郷と断絶した都市が舞台になります。ラブソングというより、よくある人妻との不倫を歌った歌謡曲です。「金曜日の妻たちへ」の舞台になるような郊外都市や首都圏の地方都市に暮らす男女ですね。 

強がりはよせよ 乃木坂46 橋本奈々未


都会の喧噪と競争に疲れたキャリア・ウーマン(志望)の呻きです。

武藤昭平 / ワインレッドの心


ギターとダンスの非歌謡曲性に耳目を奪われますが、ピンカラ兄弟のようなダミ声歌手です。あえてド演歌のアナクロに徹した「女のみち」だったわけですが、この「ワインレッドの心」もバブル時代を彩る企画色の強い曲に、さらにそれ以前の「バカボンのパパ」的なイノセンスを重ねてユニークな仕上がりです。

(敬称略)