マット・デイモンの「ボーン・アルティメイタム」に続けて、タランティーノの新作「デスプルーフ(耐死仕様という意味か)」を観たら、よく出来ていたはずの「ボーン・アルティメイタム」の筋も場面もきれいに忘れてしまった。
ガールズ(とクレジットタイトルされていた)が素晴らしい。場末の映画館「グラインドハウス」に入り浸っていた映画オタク少年にとって、そして有名監督になったいまのタランティーノにとっても、相変わらずガールズ(女の子)たちは、「セクシーでキュートでクール」なのだろう。
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD11101/
初心忘れずのその意気やヨシッ。俺も蒲田の電気館で3本立て映画館に籠もっていた少年時代を想い出させるスクリーンの輝きがあった。著名な女性スタントマンだというゾーイのボンネット・スタントには大拍手。こういう映画を観ると、男優や女優の区別なんて意味がないんだ。ただ、俳優がいるだけなんだ、と思わせる快作。
次ぎに、どちらもご贔屓という点では、不二家のホームパイと天乃屋の歌舞伎揚げくらい、甲乙つけがたいジェット・リーとジェイソン・ステイサムが共演した「ローグ・アサシン」を観かけたが、「デス・プルーフ」の後では、ちょっと辛抱できず、「自虐の詩」に入れ換える。
中谷美紀が「嫌われ松子」以上の好演。泣き笑いの名人といいたい。春を代表する色は桜色ではない。黄緑であり、萌葱色だ。演技において、この泣き笑いは黄緑といえる。黄色とも緑ともつかぬあいまいながら、これほど明るい希望を表現するにふさわしい情感演技はないのではないか。
http://www.jigyaku.com/index.html
中谷美紀ほど、泣き笑いを幾通りも微妙に自然に演じ分けられる俳優が欧米に何人いるだろうか、ロバート・デニーロはあの泣きべそ顔だけで名優の誉れ高いが、それなら中谷美紀は神技ではないか。傑作「デス・プルーフ」を半分ほど忘れさせた中谷美紀。同時代にこの俳優の演技を観ることができる幸福といっても過言ではないのでは。
「自虐の詩」は愛し合って結ばれた男女がその後どうなるか、という映画でもある。「卒業」のベンジャミンとエレーンはすぐに離婚したりして、と小賢しく舌を出す輩には、この映画の森田幸江は不幸なのか、幸福なのか、と考えてしまうだろう。貧乏だから不幸なのか、愛を得たから幸福なのか、はたしてどちらか。
幸不幸はない。ただ、森田幸江の、森田幸江だけの生がある。ほかにあるのは、「皆さんのおかげ」だけだ。森田さんと藤沢さんの弁当を笑った人たちは、その「皆さん」には入れないだけだ。
ガールズ(とクレジットタイトルされていた)が素晴らしい。場末の映画館「グラインドハウス」に入り浸っていた映画オタク少年にとって、そして有名監督になったいまのタランティーノにとっても、相変わらずガールズ(女の子)たちは、「セクシーでキュートでクール」なのだろう。
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD11101/
初心忘れずのその意気やヨシッ。俺も蒲田の電気館で3本立て映画館に籠もっていた少年時代を想い出させるスクリーンの輝きがあった。著名な女性スタントマンだというゾーイのボンネット・スタントには大拍手。こういう映画を観ると、男優や女優の区別なんて意味がないんだ。ただ、俳優がいるだけなんだ、と思わせる快作。
次ぎに、どちらもご贔屓という点では、不二家のホームパイと天乃屋の歌舞伎揚げくらい、甲乙つけがたいジェット・リーとジェイソン・ステイサムが共演した「ローグ・アサシン」を観かけたが、「デス・プルーフ」の後では、ちょっと辛抱できず、「自虐の詩」に入れ換える。
中谷美紀が「嫌われ松子」以上の好演。泣き笑いの名人といいたい。春を代表する色は桜色ではない。黄緑であり、萌葱色だ。演技において、この泣き笑いは黄緑といえる。黄色とも緑ともつかぬあいまいながら、これほど明るい希望を表現するにふさわしい情感演技はないのではないか。
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中谷美紀ほど、泣き笑いを幾通りも微妙に自然に演じ分けられる俳優が欧米に何人いるだろうか、ロバート・デニーロはあの泣きべそ顔だけで名優の誉れ高いが、それなら中谷美紀は神技ではないか。傑作「デス・プルーフ」を半分ほど忘れさせた中谷美紀。同時代にこの俳優の演技を観ることができる幸福といっても過言ではないのでは。
「自虐の詩」は愛し合って結ばれた男女がその後どうなるか、という映画でもある。「卒業」のベンジャミンとエレーンはすぐに離婚したりして、と小賢しく舌を出す輩には、この映画の森田幸江は不幸なのか、幸福なのか、と考えてしまうだろう。貧乏だから不幸なのか、愛を得たから幸福なのか、はたしてどちらか。
幸不幸はない。ただ、森田幸江の、森田幸江だけの生がある。ほかにあるのは、「皆さんのおかげ」だけだ。森田さんと藤沢さんの弁当を笑った人たちは、その「皆さん」には入れないだけだ。