Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

男は大きく見せたかった

2011年11月03日 | 
婦人画報12月号。
「安井かずみのいた時代」
生前の彼女を知る人の証言をもとに、彼女の人生とその時代を追うという連載の第14回。
今回の証言者は吉田拓郎。

加藤和彦や安井かずみの傑出した才能を認めながらも
二人の結びつきについて、吉田は疑問を呈している。
「自分より先を歩いてくれる女じゃなきゃダメな加藤がZUZU(かずみ)を選んだのは
分かるんですけど、歴戦の兵のZUZUがなんでそんな頼りない男に熱を上げたのか。
さっぱり分からない。」
「久しぶりに会ったZUZUは、お前、そんなことしないだろ、と思うぐらいに
家庭の中にいる女をやっていました。なんかちっちゃくなったなって。
加藤の方は、立派な男になってました。お酒が飲めなかった男がワイン通になっていて、
えらく一流好みになっていた。
ZUZUにいろんなことを教えられて大きくなったんですね。」
「ZUZUとの結婚によって加藤は数段階段を上ったことは事実だけど、
いきなり大所高所に行っちゃったので、人を見下して傷つけるようなことを
言ってしまうところがありました。
ZUZUの方は、あれだけ愛のこもった詞を書ける人が、人の痛みや悲しみが分からない
わけがない。どうしてこんなことが分からない加藤を選ぶかなって(中略)」
”バブルの時代が始まっていた。この時期、拓郎は何度か安井&加藤家に泊っている。
しばしば女性誌のグラビアを飾る二人の暮らしぶりを身近に見た彼は、
自他共に認める日本一お洒落でゴージャスな夫婦に
どこか空虚さを感じずにはいられなかった。”
「あの六本木の家には暮らしなんて存在していなかった。(中略)
そんなものをやるわけがないはずの加藤がZUZUと一緒にテニスやゴルフをやっていたのも、
僕には、関係を維持するために必死になって共通の話題を作っているようにしか見えませんでした。」



ちょっと胸がすく思い。
今までの証言者の発言が、どれもこれも「お洒落で新しいライフスタイルを実践する理想の
カップル安井&加藤」への賞賛で溢れていたので。
山積のヴィトンのスーツケースと共にファーストクラスで世界の空を飛び廻り、
マウイ島カパルアの別荘でゴルフとテニス、NYやパリで夜毎のパーティを楽しみ、
六本木のマンションではスタイリッシュなキッチンで二人で料理を楽しむ。
お互いに尊重し合い、100%認め合う。
あまりにもお洒落過ぎて、なんだか嘘くさくて。
男と女の結びつきの事情なんて当人たちにしか分からないものだし、
泥臭い生活をしようが洗練された生活をしようが
傍からどうこう言う筋合いのものではないでしょうが…
加藤和彦が自分をより大きく見せようとし、
安井かずみがそんな加藤の前で自分を小さく見せようとしていたと聞いて
なんとなく納得してしまうのです。

それにしてもこの連載、もう14回にもなるのですね。
第一回についてはこちらに書いています。
http://blog.goo.ne.jp/franny0330/e/2b626a597ce15c94cae03ef56cf92b0e


婦人画報12月号「安井かずみのいた時代」より
写真は安井かずみ・加藤和彦共著の本
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする