Zooey's Diary

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「ジョーカー」

2019年10月31日 | 映画

第79回ベネチア国際映画祭で金獅子賞受賞。
アメリカでは「現実の暴力を誘発するおそれがある」との声が上がって
ロス警察や米軍が警戒態勢を取るなどの社会現象も起きているという問題作。

「バットマン」の悪役として有名なジョーカーの誕生物語。
大都会ゴッサムシティのスラム街で精神疾患を持つアーサー(ホアキン・フェニックス)は
病床の母親の世話をしながら、派遣ピエロとして働いていた。
ゴッサムシティでは衛生局がストに突入し、街角にゴミが山積みとなってネズミが走り回り、
貧富の差は拡大し、不満は渦巻き、人々は疲弊し切っていた。
路上でピエロの仕事をしていたアーサーは不良少年たちに袋叩きにされ、
仕事仲間に裏切られ、仕事をクビになる。
福祉予算の削減により、ソーシャルワーカーのカウンセリングと処方薬も終わりになる。
地下鉄で3人の酔ったサラリーマンから酷い暴力を受け、遂に爆発する。
3人を射殺したアーサーは、不思議な高揚感に包まれていた…



自分の唯一の味方だと信じていた母親のおぞましい過去。
日々の楽しみにしていた有名司会者マレー(ロバート・デニーロ)のテレビ番組で
自分が笑い物にされたことへの怒り。
まあ何から何までが負の連鎖で、観る方は辛いことこの上ない。



画面に何度も出て来る階段が、実に象徴的です。
最初は、下から見上げる長い長い階段。
疲れた体を引きずるように何とか登って行く階段は
ある日、一気に転げ落ちてしまう舞台装置でもあったのです。

「人々を笑わせたい」と願っていた気弱で孤独な男が、どうやって悪役となっていくのか?
仕事を失い、友人に裏切られ、社会的支援も失い、底の底まで落ちた男は
社会への引き金を引くことでしか、自分の存在価値を認めることはできないのか?



アメコミからのスピンオフ作品というよりは、人間ドラマ、社会派ドラマとして
評価されるのは分かりますが、私は好きにはなれませんでした。
24キロも体重を落としたというホアキン・フェニックスの演技は鬼気迫るものがあり、あの高笑いはいつまでも頭の中に残りましたが。
心に不快な引っ掻き傷のようなものを作ってくれるという点で、凄い作品です。

公式HP 

コメント (13)
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