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Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「やさしい猫」「ペンチメント」

2022年02月01日 | 


「やさしい猫」中島京子著
名古屋入管収容中に亡くなったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの事件を聞けば聞くほど、
これが現代日本で本当に起きたこと?と不思議に思っていました。
この本で、日本の移民政策と入国管理について、その理不尽さが多少わかったような気がします。
シングルマザーの保育士ミユキさんは、8歳年下のスリランカ人の自動車整備士クマさんと知り合い、惹かれ合う。
一人娘のマヤも一緒に、3人は仲良く、つつましく暮らし始める。
クマさんが失業し、在留資格を失い、入管に突然収容されるまでは。
いや、こんなことが本当に今も日本で行われているとは、驚きました。
ビザを出すも出さないも、収容か仮放免かも、決めるのはすべて入管の裁量であったとは。
国外退去と決まった場合でも、数年間も窓さえ無い収容施設に留め置かれることもあるとは。
「やさしい猫」とはスリランカの民話。
ネズミのお父さんが食べ物を探しに行って、猫に食べられてしまう。次にお母さんも食べられ、あわや子供たちもというところで、親を食べてしまったことを知った猫は反省し、ネズミの子供たちを優しく育てる、という話。
生物体系とかはどうでもよく、やさしい猫と元気に走り回るネズミの子供たちがそこにはいるのです。
長いこと劣悪な収容施設に閉じ込められたクマさんの、切なる願いが込められたのかしらね。

「やさしい猫」



「ペンチメント」茂木 健一郎著
脳科学者が書いた小説ということで興味を持って読んでみました。
「ペンチメント」とは、画家が書き損じた作品の上から別の作品を描くことで、そこから後悔という意味を表すらしい。
その言葉からインスピレーションを受けた著者が書いた小説、ということに惹かれたのですが
”仕上がった絵を見て、ああ、これはダメだって後悔するんだよね。それで、上から塗り直す訳さ。前の絵が、完全に消えるくらいにね。でもね、塗り直して、描き直しても、結局、前と同じくらい、下手なんだよなあ。それにさ、塗り直しても、結局、時間が経つと、下から絵が出て来ちゃうんだよね。上の絵が剥がれて、薄れてさ。バレちゃうんだ、甘い、うかつな、過去の自分が”
これは小さな洋食屋のシェフ、黒川の言葉。
その黒川に密かに惹かれる大学生の沙織と、そんな沙織を嫉妬するボーイフレンド武の三角関係の物語ですが、人物の書き込み足りず、感情移入まったくできず、沙織や黒川が感じているらしい孤独感にも残念ながら共感できず。
上に引用した台詞がこの小説のすべて、という感じがします。

「ペンチメント」 



コメント (4)
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