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Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「ものがたりの家」

2022年02月20日 | 
てっきり名作文学の中に出てくる家の絵を集めた本かと思いましたが、さにあらず。
著者の自由な想像で創られたオリジナルの家の数々です。
どれをとってもそこに独特な世界があり、つい引き込まれてしまいます。



例えば「寡黙な整備士の別荘」。
”長期休暇の際に湖畔の別荘を訪れる自動車整備士は、そこで蒸気式のボートを整備して一人で乗りこなすことを無上の楽しみにしている。妻子はなく、家族は大型犬一頭のみだが、本人はそれで満足している。”
この別荘、ボートのドックがあり、直接家からボートに乗り降りできるのですね。
でもねジョゼフ(私が勝手に名付けた)、犬のビリー(これも)はいつかは死んでしまうのよ…
まあそれは、人間でも同じことだけどね。


「厭世的な天文学者の住処」。
”星への興味が深いあまり、人里離れた奇岩の上で隠者のように暮らし、空を眺める日々を送っている。人々からは占星術師と理解されているが、その研究内容はむしろ天文学と呼ぶにふさわしい。”
小さな庭でヤギを飼い、ミルクやチーズを食用にする他、最低限の野菜を作ってほぼ自給自足しているのだそうです。
ギリシヤのメテオラで、本当にこんな風な奇岩の上にできた修道院を訪れました。
中世に何人もの人の命を落としながら建てられたという奇岩の上の建物は、今も修道院として機能しながら観光名所となっていました。
小さな修道院の奥には、歴代の修道士たちの髑髏が山積みに。
宗教の為に、ここまで自分を罰しながら生きるのかと驚きました。
メテオラ紀行はこちらです。



「森の中の診療所」。
”小さな村の、小さな森の中にある診療所。訪れる患者は少なく、若い医者がたった一人で受け持っているが、一日患者が来ないこともある。そんなある日、気まぐれで怪我をしたタヌキを助けてあげたところ、意外な患者が…。”
そして怪我をしたクマやウサギや小鳥が、果実や木の実を持って訪れるようになったのね。
当惑したような龍之介先生(勝手に命名)の表情が微笑ましい。


他にも「水没した都市の少女の家」「偏執的な植物学者の研究室」など、想像の世界の家が全部で33軒。
コロナ禍、しかもどんより曇り空の天気の今日、五輪の中継を眺めながら読むのにピッタリの本です。

「ものがたりの家」 

コメント (8)
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