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Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「ミセス・ハリス、パリへ行く」

2022年12月22日 | 映画

1950年代、戦後のロンドンで、夫を戦争で亡くした掃除婦ミセス・ハリス(レスリー・マンヴィル)は、勤め先の金持ちの家でディオールのドレスに出会う。
夢のように美しいドレスに心を奪われた彼女は、500ポンドというそれを買うことを決意する。
朝から晩まで必死に働き、どうにかお金をかき集めた彼女は生まれて初めて飛行機に乗り、パリのディオールに行くが、マネージャーのマダム・コルベール(イザベル・ユペール)に露骨に嫌がられ、追い出されそうになる。
しかし夢をあきらめないで頑張る彼女を、ディオールの会計士やモデル、お針子といったスタッフたちが応援して…



まあ、他愛ない御伽噺です。
その頃のディオールといえば、特権階級だけを相手にしたオートクチュール(完全オーダー服)を生業としていたのに、そこにハリスのような掃除婦が入り込んで来たら、そりゃ戸惑うでしょう。
当時の500ポンドというのは、町山智浩氏によると今の200万円以上の価値であったらしい。
自分の年収よりも高い価格のドレスを買おうとするなんて、まさに分不相応であるには違いない。

マダム・コルベールがまた実に嫌な女で、
「そのドレスを手に入れて、何処に着て行くの?」なんて意地悪を言うのです。
そりゃハリス婦人は、舞踏会もオペラ座も高級レストランも知らない。
エスコートしてくれる男性もいない。
それでも、夢を見ることで生きて行けるのならいいじゃないかと思いたくなります。



オートクチュールだけを売りにしていたディオールも、実は没落した貴族階級の支払いが滞りがちで、経営は火の車という内情があった。
だから、掃除婦であろうが現金を支払ってくれるハリスの存在はありがたかったのです。
そうした事情から、ディオールもプレタポルテ(高級既製服)への変遷を余儀なくされるという、時代の移り変わりを見せてくれる作品でもあります。

”There's nothing wrong with dreaming, Ada.
That's what you are, you're a dreamer.”
「夢見るのは悪いことじゃないよ、それでこそ君だ」という、作中の台詞が好きです。
その後ディオールは平民にも広く開かれるようになり、私が18歳で初めて使った香水は、ディオールのスズランの香りのディオリッシモでした。

公式HP 

コメント (6)
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