Zooey's Diary

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「シスター 夏のわかれ道」

2023年08月26日 | 映画

アン・ラン(チャン・ツィフォン)は北京の医大を目指しながら、看護師として働いて自活している。ある日、疎遠にしていた両親が事故死し、会ったこともなかった6歳の弟ズーハンが遺される。親戚中が寄ってたかって、弟を養育するのは姉としての当然の務めだと押し付ける。アン・ランはズーハンを養子に出そうと思いながら、里親が見つかるまで嫌々引き取ることにする。



アン・ランは、両親に望まれた子供ではなかった。
両親は男児を望み、アン・ランは障害児だと役所に届け、二人目を作ってよい許可を得ている。
そう、この頃の中国は一人っ子政策を取っていたのですね。
そして彼女は医学部を目指していたのに、両親に願書を地元大学の看護学部に書き換えられていた。
それ以来、彼女は家を出て、一人で自活しながら必死に医大を目指していたのです。
そこに転がり込んできたズーハンは、両親に散々甘やかされ、ワガママ放題。
両親に望まれなかった娘が、望まれたワガママな弟に対して、複雑な気持ちを持つのは当然です。



このマイナーな映画、DVDで観ましたが拾い物でした。
中国ではメガヒットを記録し、ヒロインの生き方や姉弟の姿に、中国では社会現象になるほどの話題になったとか。
自己実現を拒もうとする両親や親族や社会に対して、いつも怒っているようなアン・ラン。
当初はまるで愛情を持てなかった小さなワガママな弟と一緒に暮らしているうちに、散々腹を立てながらも次第に彼女の表情は緩んでくる。
彼女に弟の養育を居丈高に押し付けた親戚たちも、みんながみんな悪者ではなかったことも分かって来る。
その微妙な変化の様子を、イン・ルオシン監督は、実に細やかに描き上げているのです。
結末には賛否両論あるでしょうが、自分の人生を自分で決定することが中々できなくて、そのことに年中怒っていたアン・ランが、最後に自分で決断を下した姿はすがすがしいものでした。

2021年中国制作  公式HP 

コメント (2)
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