マリ共和国出身の著者が京都に30年以上住み、京都精華大学の学長になるまでの経緯と、専門の「空間人類学]の視点から捉えた京都文化の解説本。
マリのごく普通のイスラム教徒の家庭に生まれた著者は、国費で中国の大学に留学します。
留学中の夏休みに日本を訪れて京都の祇園祭に衝撃を受け、丁度その頃、天安門事件が起きて外国人留学生は中国に居づらくなったことから日本に移り、語学学校を経て京都大学の研究生となります。
そこから京都に住み続け、日本女性と結婚して在日30年、マリでの生活よりも長くなったという。
その著者の京都観察が非常に面白い。
例えば、分かりにくい「京ことば」の一例として、褒め言葉を駆使したクレームがあると。
京都大学院時代、友達を自宅に呼んでホームパーティをすると、翌朝、必ず近所の人と遭遇した。
満面の笑みを浮かべて「なんか楽しそうやねぇ。いつも学生さんが多くていいねぇ」「あなたが来てからこの町はほんま、賑やかになったわ」と言われた。
それを聞いて、自分もこの町の一員になれたのだと嬉しかったが、後になってあれは全部、苦情だったと分かった。
その証拠にそのうち著者は、何度言ってもうるさいと警察に通報されてしまうのです。
近所の住人のことを詳細に知りたがるのも京都流。
著者の姪っ子が遊びに来た時、ゴミの出し方を教えようとゴミの集積所に着いた途端、”ご近所さんの女性”が現れて、ゴミの出し方を事細かに教えたという。
”私は20年以上ここに住んで、20年以上ゴミも捨てています。その私を差し置いて、直に指導しようとする、なんでやねんと思ったのですが、どうやら「サコさん家に最近来ているお客さんは何者?」と確認しているようなのです。
サコとはどういう関係なのか、いつまでいるのか、本当はそういうことを知りたいから、ゴミ出しを指導するという名目で情報を引き出す訳です”と。
”自分が当事者としてかかわることは徹底的に避け、第三者を立ててメッセージを伝えてくる。自分が誰とも衝突しないよう、他人をダシに使うのが京都流”という。
「私は気にせえへんけど、みんなはこう言うてはる」という言い回しを、京都の人は頻繁に使うのだと。
他にも、京都の「一見さんお断り」の本意とか、「おこしやす」と「おいでやす」の違いとか、「ぶぶ漬けいかがどすか」と勧められたら、断って帰らなければいけないというのは本当か、など。
よそのお宅を訪問するときは白い靴下を履く事を、ロータリークラブに入会してから教わったそうです。
「いけずな京都」に入り込んで楽しんでしまうマリ人の京都観察記、たっぷり楽しみました。
マリのごく普通のイスラム教徒の家庭に生まれた著者は、国費で中国の大学に留学します。
留学中の夏休みに日本を訪れて京都の祇園祭に衝撃を受け、丁度その頃、天安門事件が起きて外国人留学生は中国に居づらくなったことから日本に移り、語学学校を経て京都大学の研究生となります。
そこから京都に住み続け、日本女性と結婚して在日30年、マリでの生活よりも長くなったという。
その著者の京都観察が非常に面白い。
例えば、分かりにくい「京ことば」の一例として、褒め言葉を駆使したクレームがあると。
京都大学院時代、友達を自宅に呼んでホームパーティをすると、翌朝、必ず近所の人と遭遇した。
満面の笑みを浮かべて「なんか楽しそうやねぇ。いつも学生さんが多くていいねぇ」「あなたが来てからこの町はほんま、賑やかになったわ」と言われた。
それを聞いて、自分もこの町の一員になれたのだと嬉しかったが、後になってあれは全部、苦情だったと分かった。
その証拠にそのうち著者は、何度言ってもうるさいと警察に通報されてしまうのです。
近所の住人のことを詳細に知りたがるのも京都流。
著者の姪っ子が遊びに来た時、ゴミの出し方を教えようとゴミの集積所に着いた途端、”ご近所さんの女性”が現れて、ゴミの出し方を事細かに教えたという。
”私は20年以上ここに住んで、20年以上ゴミも捨てています。その私を差し置いて、直に指導しようとする、なんでやねんと思ったのですが、どうやら「サコさん家に最近来ているお客さんは何者?」と確認しているようなのです。
サコとはどういう関係なのか、いつまでいるのか、本当はそういうことを知りたいから、ゴミ出しを指導するという名目で情報を引き出す訳です”と。
”自分が当事者としてかかわることは徹底的に避け、第三者を立ててメッセージを伝えてくる。自分が誰とも衝突しないよう、他人をダシに使うのが京都流”という。
「私は気にせえへんけど、みんなはこう言うてはる」という言い回しを、京都の人は頻繁に使うのだと。
他にも、京都の「一見さんお断り」の本意とか、「おこしやす」と「おいでやす」の違いとか、「ぶぶ漬けいかがどすか」と勧められたら、断って帰らなければいけないというのは本当か、など。
よそのお宅を訪問するときは白い靴下を履く事を、ロータリークラブに入会してから教わったそうです。
「いけずな京都」に入り込んで楽しんでしまうマリ人の京都観察記、たっぷり楽しみました。
もう、20年位前、母が亡くなった時に、母の遺品や、当時勤めていた病院に頼んで、医療用品とかをマリ共和国に神戸から船便で大きな段ボールで4箱、支援品として送ったのでした。
母の遺品も破棄せずに人様のお役に立つなら、と、送料も負担しましたよ。
何処かのNPO法人がお世話をしてくれました。
世界で一番貧しい国を助けようって感じのスローガンだったように思います。
暫くは、パンフレット等で、報告が来ていました。
稲作も指導して、稲刈りも済んだ、と。
だんだんに豊かになると良いなと思ったら、また内紛・・・
元の木阿弥に?
くちこ的にはそのようなイメージの国から来られて、日本で学長になられた人がいらっしゃったのですね。
京都は、子供達が卒業した大学もあり、縁のある所なんです。
↓北朝鮮ね・・・
いつか、テレビで凄い映像を見た記憶があります。
でもって、一昨年見た韓国ドラマの北朝鮮・・・
どちらが本当?
どちらも本当?
よく解らない国だなあ、と。
段ボールで4箱、それはさぞ喜ばれたことでしょうね。
あの保守的、閉鎖的(に見える)京都で大学の学長とは驚きました。
この先も是非、こういう人に大学の中にとどまらず、市政や府政にもどんどんコミットして頂きたいですね。
北朝鮮については昔、収容所関連の本を色々読みましたが、あまりにも残酷で長らく遠ざかっていました。
評判になった「愛の不時着」は私は見ていないので知りませんが
こちらは、まぎれもない真実であるようですよ。
本当に京都は大変なところ、知人の娘さんが嫁に行って病気になるくらい苦労しているとか。
それを愉しんで京都に住み続けて学長さんになって何と逞しい人でしょう。
私は見たことないのですよ。
気が付かなかったのかなあ?
外国人はいっそ楽しめるのかもしれませんね。
お嫁に行くのが一番大変だろうなあと思っていましたが、
やはりそうでしたか…
私はこの本を読むまで、ちーっとも知りませんでした。
自分ではかかわらないでだれかの口から言ってもらうというのは、具体的な例が出ていました。
「山本さんから苦情が来た」って近所の人に言われたのですって。
著者は、山本さんって誰?ってかなり悩んだようですw
マリ出身の方が京都精華大学の学長になられたこと、
知りませんでした。
日本人でも大学教授になるのは大変なのに、
アフリカ出身の方が、京都の大学の学長までになったのですから
相当優秀で人望も厚い方なのでしょうね。
あの閉鎖的、排他的(に見える)京都で
アフリカ人の学長さんなんてねえ!?
でもこの本を読むと、それが納得できちゃいましたよ。
そのくらい懐の深い、パワー溢れる、インテリジェントな人のようです。