第二次世界大戦末期、米軍による本土空襲が激化するばかりの日本。
絶望的な戦局の中で、日本政府はソ連仲介の終戦工作を模索するが、ストックホルムに駐在する海軍武官・大和田は、ポーランド人の諜報部員から、日本にとどめを刺す連合国軍側の極秘情報を入手する。
1945年7月、一日も早くその情報を軍上層部に伝える為、二人の密使が放たれた…
パリに暮らしていた自称遊び人の日本人シローと、亡命ポーランド人将校のコワルスキ。
ストックホルム→ハンブルク→フランクフルト→ベルン→モスクワ→ボルジャ→満州→東京の命懸けの旅。
実在の人物と架空の人物が入り混じるハードボイルド、夢中で読みました。
陥落した後の荒廃したドイツや大空襲で丸焼けになる東京が、交互に舞台となる。
全方向から命を狙われる密使の旅、実際目的地にたどり着く前に、一人は命を落としてしまうのですが…
コワルスキーがシローに言う。
「男が身を捨てるべきものは、他にあるのか」
「身を捨てるほどの祖国なんてものが、あるのか」
「祖国でなくて、他に何だ?男が身を捨てることができるものは。男が、真に人生を賭けるに値するものは」
「ご立派な信念だ。あんたの話を聞くと、自分がつくづくヤクザだと思うよ。もっとも、だからと言って、俺は自分がヤクザであることを恥じる訳じゃないが」
「君も、ポーランドのような国に生まれてみろ。繰り返し繰り返し周りの大国に侵略され、切り刻まれ、収奪されて、自国での教育さえ禁じられたような国にだ。革命と戦争が唯一の希望であったような国にだ。そんな国に生まれたら、祖国という言葉が、どれほど美しく甘い響きに聞こえることか。その言葉に、どれほど力づけられ、奮い立たされることか」
この会話の最後の部分、ポーランドの代わりに今のウクライナを入れたら…と考えてしまいました。
読んだ後で知ったのですが、ストックホルム駐在武官の小野寺信氏が大和田のモデルだったのですね。
そして奥方の小野寺百合子氏は、ムーミンの翻訳家として知られているのだそうです。
パリに暮らしていた自称遊び人の日本人シローと、亡命ポーランド人将校のコワルスキ。
ストックホルム→ハンブルク→フランクフルト→ベルン→モスクワ→ボルジャ→満州→東京の命懸けの旅。
実在の人物と架空の人物が入り混じるハードボイルド、夢中で読みました。
陥落した後の荒廃したドイツや大空襲で丸焼けになる東京が、交互に舞台となる。
全方向から命を狙われる密使の旅、実際目的地にたどり着く前に、一人は命を落としてしまうのですが…
コワルスキーがシローに言う。
「男が身を捨てるべきものは、他にあるのか」
「身を捨てるほどの祖国なんてものが、あるのか」
「祖国でなくて、他に何だ?男が身を捨てることができるものは。男が、真に人生を賭けるに値するものは」
「ご立派な信念だ。あんたの話を聞くと、自分がつくづくヤクザだと思うよ。もっとも、だからと言って、俺は自分がヤクザであることを恥じる訳じゃないが」
「君も、ポーランドのような国に生まれてみろ。繰り返し繰り返し周りの大国に侵略され、切り刻まれ、収奪されて、自国での教育さえ禁じられたような国にだ。革命と戦争が唯一の希望であったような国にだ。そんな国に生まれたら、祖国という言葉が、どれほど美しく甘い響きに聞こえることか。その言葉に、どれほど力づけられ、奮い立たされることか」
この会話の最後の部分、ポーランドの代わりに今のウクライナを入れたら…と考えてしまいました。
読んだ後で知ったのですが、ストックホルム駐在武官の小野寺信氏が大和田のモデルだったのですね。
そして奥方の小野寺百合子氏は、ムーミンの翻訳家として知られているのだそうです。
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