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枕草子の英語版に夢中になって、仕事にも人生にもうんざりしたアラフォー、フィンランド人の著者は、清少納言の研究の為、長期休暇制度を使って日本へ旅立つ。
「セイ、あなたと私は驚くほど似ている」と彼女は言い切っているのです。
京都でゴキブリだらけのガイジンハウスに住み、色々な国からの同居人たちとドタバタ生活を始める。
博物館や図書館で資料探しをし、歌舞伎や能を鑑賞し、座禅や写経を経験し、「セイ」を探し求める。
「セイ」の素性や本名や性格、結婚相手、性生活について探る。
在日中に東日本大震災が起こって精神的混乱をきたし、タイに避難し、そしてまた戻る。
京都の桜の「この世のものとは思えない美しさ」に感動し、「もののあはれ」とはこういうものかと思う。
紫式部と清少納言の評価の違い、性格の違い、作品の違いについての考察。
ロンドンの大英博物館に通い、世界文学史の中での「セイ」の不当に低い位置づけに憤る。
そして500ページ近くの分厚い本書の最後で、彼女はこう結論付ける。
”セイ、あなたは守護道化師だったのよ。命を懸けて書き、弾丸を受けるために中宮定子の前に身を投げる守護道化師。定子の守護者、それがあなただった。だからあなたは本を書いた。どんなに表面的で、ふしだらで、非情で、病的な天皇一家の崇拝者としてあなたが後の世界で見られようともかまわずに。明るくて、しかめっ面した傲慢な道化師、セイ。あなたは定子の評判を救うことに成功した。自分のは救えなかったけれど。”
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この本は2013年にフィンランドで出版されると大評判となり、数多くのメディアに取り上げられ、「人生を変える勇気をくれた」「転職する気になった」「これまでしようと思っていたことを実行することに決めた」などの言葉が寄せられたのだそうです。
日本の〇〇に惹かれて来日したというような人を紹介するテレビ番組がありますが、ここまで人生をかけてのめり込めるものがあっていいなあと思ってしまいました。
「清少納言を求めて、フィンランドから京都へ」
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