Zooey's Diary

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「モロッコ、彼女たちの朝」

2021年09月09日 | 映画

これは、日本で初めて劇場公開されるモロッコの長編映画なのだそうです。
カサブランカの旧市街、白く塗られた家が建ち並ぶ曲がりくねった路地を、サミアは大きなおなかを抱えてさ迷っていた。
彼女は家も仕事も失って困り果てているのだが、誰もが彼女のおなかを見ると知らん顔をする。
モロッコでは婚外交渉と中絶は違法であり、だから街を彷徨う未婚の妊婦は「逮捕されていないだけの犯罪者」なのだと。
彼女に関わるだけでも白い目で見られることになるらしい。



夫を亡くして小さなパン屋を営むアブラは、そんな彼女を放っておけなかった。
「一晩だけ」と素っ気なく、彼女をこっそり招き入れる。
アブラの幼い一人娘は大喜び。
やがてサミアは得意なパン作りを始め、小さな町でそれは評判となる。
サミアと幼い娘は仲良くなり、パンはよく売れるようになり、母と娘二人だけの寂しい生活に潤いがもたらされたかのようです。

未亡人アブラは年中厳しい顔をしていて、一体過去に何があったのだと思わせるほどなのですが、モロッコでは、夫と死別・離婚した女性の社会的地位も非常に低いのだそうです。
そんな中で女一人で生きて行くには、ああした顔をしなくてはならなかったのでしょうね。
サミアは自分のおなかの中の子に次第に愛情を覚えるが、産まれた子どもは「罪の子」として周囲から虐げられ、社会保障などあらゆる権利を満足に受けられず、確実に厳しい人生を強いられる。
だから生まれたらすぐに養子に出し、なかったことにしようと考えているのです。
やがてサミアは陣痛を迎えるが…



男性中心のイスラム圏では黙殺されがちな女たちのこうした事情を、弱冠40歳のモロッコ生まれの女性監督が描き上げたということに大きな意味があると思います。
淡々とした、盛り上がりに欠けるとも言える作品ですが、所々がフェルメールの絵のように印象的です。

公式HP 



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2 コメント

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Unknown (tona)
2021-09-11 10:16:52
私が一番最後に行ったのがモロッコでした。
こんな内情を知るべくもなく旅していたわけですが、女性を見る機会はいろいろありました。イスラムの国にいるのを忘れた日もありました。
しかしこんなことはあり得るわけで、でも知らなかったので、今のアフガンの女性を思うにつけ、衝撃を受けます。
フェルメールの絵・・なるほどです!
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tonaさま (zooey)
2021-09-11 22:18:30
モロッコ、私も行きたかったのですが…
いつ行けるようになるのでしょうね?
この国も一夫多妻であるようです。
女性の地位はまだまだ低いようですね。
それでも今のアフガンに比べたら、どれだけマシであることか。
この先のアフガンはどうなるのでしょうね…?
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