ミステリーには、海外でも国内でも鉄道を扱った作品がずいぶんと多いです。
1934年には、アガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」が発表され注目を浴びました。 日本でも1957年から松本清張の「点と線」の雑誌掲載が始まり、名作には鉄道のミステリーが多くあり、今日では、鉄道ミステリーは小説のジャンルの一つとなっています。
オリエント急行 オリエント急行のシンボルマーク
その後、西村京太郎の「寝台特急殺人事件」や鮎川哲也にも鉄道を扱った作品が多く、「下り”はつかり”」では、容疑者が、鉄橋を渡る青森行きの「はつかり」をバックに写した自分の写真でアリバイを主張すると言う、意外性がトリックに使われています。
”点と線”の舞台となった東京駅
他には、赤川次郎、津村秀介などの作品にも鉄道の時刻表を扱ったトリックを題材にしたものが多く在ります。
どうしてミステリーには、こんなに鉄道モノが多くあるのでしょうか?
一つは、列車の中は、駅から駅までが密室状態にあることです。特に現在は新幹線とか寝台特急は、停車区間が長く、ここで人が忽然と居なくなれば立派なミステリーの魅力の題材となり得ます。
又、日本の鉄道は、時間的に正確であり、犯行時間のアリバイ工作には、もって就けであることです。
ミステリーの醍醐味は、やはりトリックにあり、鉄道はこのようにアリバイトリックに格好の題材を提供してくれるもので、鉄道とミステリーには、大きな共通点があるからなのでしょう。