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バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

美女とオバサンと私

2012年04月30日 22時50分06秒 | バス運転士

午後3時半頃… いわゆる中型のバスに30名ほど乗せて、いつものように案内をしてから某駅を出た。バス停で止まるたびに減る乗客… 途中から乗った人は僅か数名だった。某駅を出てから約50分後、終点(出発地点の某駅)までバス停2つ&乗客2名となった時だった。一人の女性が車内通路を前の方へ歩いてきたのである。

私は「まさか… よくあるパターンなのか!?」と思っていたのだが、彼女が「すいません、某駅の近くには行きませんか?」と言ったので、私は「あぁ、バスが少し遠回りしているので不安になっただけか…」と思って「あと2つで終点の某駅ですよ」と、彼女の目を見ながら答えた。

すると、その“ひとみは10000ボルト美女”が「実は、☆☆駅へ行きたかったんですけど…」と言ったのである。あらまぁ、やっぱり… よくあるパターンだったのだ。彼女が「私、間違えましたかねぇ?」と続けたので、私は「そのようですねぇ…」と答えた。

その後、私は「1時間くらい無駄になっちゃいましたね」「☆☆駅行きと乗り場は同じです」「☆☆駅までは20分くらいかかると思います」「一日券だから(運賃精算については)問題ないですね」などと普通の“お仕事会話”だけを続けた。ずっと彼女はニコニコしていたので、もう少し“明るく楽しい会話”もしたかったのだが…

残念ながら、もう一人の乗客(乗車時に無愛想だったオバサン)がいたので断念した。あぁ、あのオバサンがいなければ… えっ、なになに!? そのオバサンは、私のつまらん話を彼女に聞かせないための守護神だったに違いないって? はいはい、どうせ私は疫病神ですよぉ~!


スクリュー!?

2012年04月29日 21時53分09秒 | バス運転士

ある夜… 終点に到着すると“車内観覧席のセンターポジション”に座っていた男性が、中扉から降りずに車内通路を一番前まで歩いてきた。私は「ありゃまぁ~! 何か苦情でもあるのかしゃん?」と思った。

が、その男性をよく見ると“汚れていない作業服姿”だったので、私が「まさか… 先日のような“添乗点検”なのか!? こんな時間にぃ~???」と思っていたら…

その男性が「後ろのスクリューがさぁ…」と話し始めたのであった。私は「へっ!? 船じゃあるまいし…」と思いながら「スクリュー… ですか???」と尋ねた。

すると男性は「あぁ… あの…」と、スクリューの“一般的な言い方”がスッと出てこないようだったので、無知な私も「スクリューと言えばスクリュードライバー!? ドライバーもクルクル回すからなぁ…」と考えて、勘で「ネジですか?」と尋ねた。

そこで男性の表情が変わり「あぁ、そう! ネジが緩んで頭が出ているので、足が引っ掛かって危ないから…」と言った。それを聞いた私は、どの辺りのネジのことか想像できたので「そうですか。ありがとうございます」と答えた。

バスを待機場所へ移動させて見たところ… 確かに、複数ある床のネジの1本が緩んでいて、少し頭を出していたのである。私は運転席の後ろからドライバーを取り出して、緩んでいたネジを締めておいた。(帰宅後、私はスクリューとスクリュードライバーを調べて「へぇ~!」と独りで無知を恥じていた…)


瞬間的な判断が苦情を招くかも…

2012年04月28日 08時49分54秒 | バス運転士

これまでにも何度となく書いてきた“瞬間的にどんな判断をするのかは、私自身わからない”という話… 今回は「ひょっとしたら苦情になったかもしれない」という話である。

某駅の発車時刻になり、車外への呼び掛けをして、周囲を見回して… 目の前の信号は赤になったばかりだったけれど、後続車が待っていたので、私は扉を閉めて交差点の停止線までバスを前進させた。

長い赤信号がようやく青になって「レッツゴー!」と思った瞬間、「ドンドン!」と前扉が音を立てたのである。私がビックリして左を見ると、扉の外に一人の男性が立っていたのだが… 私は「どうするどうするどうする???」と混乱したまま発車してしまった。

その時の頭の中は「二度の赤信号待ちは避けたい」「後続車も待っている」「駆け込み乗車は手間取ることが多い」などの考えに支配され、何よりも「気持ちはすでに発車していた」ことが大きかったと思う。もちろん、まだ赤信号だったら、扉を開けたと思うのだが…

バスがすぐ次の赤信号で止まった時、その男性の走っている姿が見えたので、私は「これは次のバス停で乗ってもらわなければ!」と思い、そこから次のバス停までゆっくりと走った。

すると、男性はバスよりも10秒ほど遅れてバス停にやって来た。私は「何か一言…」と思ったが、何も浮かばず… ただ反射的に「すいません」と口から出ただけだった… 男性は「ゼーゼーハーハー」言いながら、何か言いたそうな顔をしていた。

もしも、これが苦情になっていたとしても… 今後は気を付けようと思ったとしても… 交通量も人も少なく、時間的にも精神的にもノンビリしている“田舎のバス”でない限り… 何かと慌ててしまう私の“瞬間的な判断”がどうなるか… それは誰にも分からない。


なんも言えねぇ…

2012年04月27日 19時53分05秒 | バス運転士

朝の通勤時間帯… 若い男が乗ってきて、ICカードを磁気カード挿入口へ入れようとしたので、私はICカードのセンサーにタッチするように誘導した。

彼がカードをタッチさせると、機械が「ICカードの残額がゼロだがやぁ~!」と教えてくれた。私が「どうされま…」と尋ねようとした時、彼が左手に握り締めている千円札に気が付いた。

「この車内の空気… のんびりと付き合っていられない」と思った私は、彼のICカードをセンサーの上に載せて、千円札を挿入して、カードに入金して、それから200円の精算をした。

また、あるバス停に向かっている時、こちらを振り返りながら歩道上を走っているスーツ姿の男性を発見した。乗降客はなかったけれど、バス停で待つこと約10秒… 彼はバスに飛び乗ってきて後方の席に座った。

何年前だったか… あるスポーツ選手が金メダルを取った時に「なんも言えねぇ…」と言ったけれど、きっと彼らも感動のあまり“何も言わない”に違いない。ニャハハ…


嗚呼!! 終点のお爺さん

2012年04月26日 23時56分53秒 | バス運転士

終点に到着して、数名の乗客が降りたのだが… なぜか一人のお爺さんが席を立とうとしなかった。寝ている様子もなかったので、私は「終点ですよ」と声を掛けた。

すると、お爺さんはゆっくりと席を立ち、まだ何か心残りがありそうな雰囲気を醸し出しながらバスを降りた。私は運転席から身を乗り出して、他に誰もいないことを確認してから転回場へ…

と思ったら! そのお爺さんが、降りた扉から再びバスに乗ってきたのである。私は「まずいなぁ… ここが終点だと分かっていないのかぁ… 乗り間違えたのかもしれないなぁ…」と思った。

が、私の口から出た言葉は、なぜか「あ、忘れ物ですか?」だった… お爺さんは無言で座っていた席に向かって… 私が慌てて「終点ですよ」と言い直したところ、お爺さんは一本の黒い傘を私に見せたのであった…

あらまぁ、ホントに忘れ物だったのねんのねん! お爺さん、役者やのぉ~。クェッ、クェッ、クェ~ッ!(古いなぁ… 何十年前の漫画なんだよ… まぁ、オッサンだから仕方ないけどね) 押忍!