バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

バスレーンくねくね路線での時間調整

2011年11月30日 16時47分19秒 | バス運転士
市内中心部発のバスレーンくねくね路線は、“ここがポイント!”という信号を青でクリアすると、こんな私でも時間通りに走れることがある。それどころか、途中のバス停で早くなってしまい、時間調整停車をすることもある。


ほとんどのバス停が交差点の直前にあり、「時間調整停車をする=目の前の信号が青」ということで… “中央分離帯沿い”にあるバス停へ来るには、赤信号の横断歩道を渡らなければならず… 基本的には“新たな乗客が走ってくる”ことはなく、ちょっと虚しい…


そして、時間調整している間に信号が変わり、今度は逆に少し遅れて発車することも… しかし、一つのバス停を通過するだけで、再び時間調整停車をすることになったりして…


そんなこんなで止まっていた某バス停の前の信号は赤… 左前方の歩道上を、一人の男性が走ってくるのが見えた。私は「何とか横断歩道の信号が青のうちにバス停まで渡って来られそうだ」と思った。


ところが、男性は何度となく後ろを振り返っていて… よく見ると、かなり後方から一人の女性が荷物を抱えて歩いていたのである。男性はバス停に来たものの、女性は間に合わず… 信号が変わってしまった。


これが一般路線のバス停ならば、“女性との距離÷女性の歩く速さ”だけ待てばいいのだが、この場合は“もう一信号”待たなければならず… 否、それよりも怖いのは「バスが待っているから」と、赤信号の横断歩道を無理して渡って車にはねられることである。


私が車外スピーカーに切り替えて「発車します。いいですか?」と言うと、男性は「はい、すいません」という感じで頭を下げたので、私も軽く会釈して発車した。が、それで良かったかどうか… こんな時、どこかの選挙じゃないけれど「民意(乗客の意思)を問いたい」と思ったりする。しかし、結局のところ… 意見が分かれて“運転士が判断する”しかないんだろうなぁ…


甘い香りと癒しの笑顔

2011年11月29日 20時45分46秒 | バス運転士

市内中心部発、夜のバスレーンくねくね路線… 車内に甘ったるい香りが漂ってきた。私は「助手席か背後席に座った女性のどちらかだな」と思った。個人的に“あまり好ましくない香り”だったので、ちょっとだけ気分が悪くなり… たまらず換気扇を弱く回して、運転席の窓を少し開けた。

途中のバス停で助手席の女性が降り、背後席の女性も降りたのだが… まだ香りは漂っていた。私は「なかなか消えない香りだなぁ~、まさか香水を座席にこぼしたなんてことはないだろうなぁ~」と思っていた。

終点まであと少しのバス停で、一人の魅力的な女性が「ありがとう」と笑顔で言いながら降りた。私は「あっ… この女性は… 以前にも乗せたことがあるような… きっと、いつもこんな感じで運転士たちを癒してくれているのだろう」と思った。

終点の某バスターミナルに到着して、次々と降りてゆく乗客たち… すると、あの甘ったるい香りが後方から急接近してきたのであった。私は「香りの主は、あの女性たちではなかったのか! しかも、そんな後方から漂わせていたとは! どんな女…」と思って顔を見たら、若い男だった…

食事休憩のためにバスを待機場所へ移動させた私は、香水男の姿を頭から消し去るかのように、先程の女性の「ありがとう」を思い出し… 帽子を脱いで、マイクを外して、カバンにしまって… 「ん? 何やってんだ!? まだ仕事は終わりじゃないし!」と気付いた私であった…


エラーvs解除

2011年11月28日 15時15分28秒 | バス運転士
ICカードで精算する場合には、運賃箱の上のセンサー部分にタッチしてもらうのだが… ちょっとしたことでも機械がブーブー言うのである。


もちろん、実際に喋るわけではなく、エラー音と共に「カードが2枚以上重なっとらんか?」「うまく読み取れんかったがや!」「もう一回タッチしてちょ~」などのメッセージが標準語で表示されるのだ。


私が見ている限り、タッチの仕方はまったく問題ない。ただ、ほとんどの人が財布などに入れたままタッチするので、そのあたりに問題があるのかも…


しかし、私が運賃箱のボタンを操作してエラーを解除した後に、再び財布のままタッチしても普通に精算できてしまうことが多いから不思議である。


タッチし直してもダメな場合は、単なる“機械の気まぐれ”ではなく、やはり何らかの原因があるようだが… それが何かは分からない。


ただ、そういう場合には、私が何かを言うまでもなく(というか、原因が分からないので何も言えないのだが…)、タッチした人が“財布を裏返したり”“財布からICカードを抜き出したり”して再びタッチ… めでたく精算完了となる。


しかし… 今朝、あるバス停で乗った男性がタッチしたら、エラー音が鳴って「うまく読み取れんかったがやぁ!」とメッセージが出た。私がボタンを押してエラーを解除して、男性が再び“そのまま”財布をタッチしたけどエラー…


私がもう一度ボタンを押してエラーを解除すると、男性はまたもや“そのまま”財布をタッチ… そしてエラー! 私がまたまたボタンを押してエラー解除… すると、なぜか男性はセンサー部分に財布を押し付けたまま動かなかったのである。


ハッキリとした原因が分からない私は、ただボタンを押し続けるしかなく… 解除、エラー! 解除、エラー! 解除、エラー! 解除、エラー! 解除、エラー!… 10回も押さなかったとは思うが、7~8回は押しただろうか…


ようやく男性は財布からICカードを抜き出してタッチ、めでたく精算完了となった。それにしても頑固な… 否、とても粘り強い人は初めてだった。なぁ~んて、他人のことは言えませんが…


朝から元気だなぁ~!?

2011年11月27日 17時30分55秒 | バス運転士

中央分離帯沿いをバスが走り、左側2車線をマイカーが走る… そんなバスレーンくねくね路線も、週末の朝は交通量が少なく危険度(緊張感)も少しだけ下がる。

市内中心部を発車して、各バス停からポツリポツリと乗車があり、危険度の高いカーブを曲がって次のバス停へ… 私のバス(右車線)の左前方を3台くらいのマイカー(中車線)が走っていて、その左横を1台のマイカー(左車線)が走っていた。

すると突然、左車線を走っていたマイカーがウインカーも出さずに中車線へ移動しようとしたので、中車線を3番目に走っていたマイカーはビックリ! 右へハンドルを切って衝突を回避… と同時に、移動しようとしたマイカーも左ハンドルを切っていた。

が、衝突が回避されたと分かるや否や、再び左車線から中車線へ移動を開始… 3番目のマイカーも“目の前の信号が赤になってまったし、仕方にゃ~で入れたるわ”という感じだった。また、私が見ていた限りでは、2回ともハザードランプの点滅などは行われなかった。

その直後、私のバスはバス停ゾーンへ、マイカーたちは一般車線へ… 屋根付きバス停を挟んでいるので、マイカーたちが見えなくなってしまった。そして、私はバスの扉を開けたまま、信号が青になるのを待っていたのだが…

いきなりというか… 予想通りというか… バス停の向こうから「おい! こらぁ! てめぇ~! ナンジャラカンジャラ…」という怒鳴り声が聞こえてきたのである。それは信号が変わっても続いており、私が発車してから左ミラーを見ると、止まったままのマイカーの前に2人の男性が立っていた。

確かに… あれはファウルだろう。一度目の車線変更でイエロー、二度目の車線変更でレッド… なぁ~んて私が言うのも、ファウルを受けたマイカーは、その直前に“バスレーンを突っ走って行きたい! だけど、バスが来ているから遠慮しておこう”と思える動きをしていたからである。あれくらいの間隔があれば、普通はバンバン入ってくるんだけど…

まぁ、そういう気持ちのある人だから、適当なところで勘弁してあげたでしょう。特に大きなニュースになっていないようだから…


やめられバイ、とまらバイ…

2011年11月26日 22時05分01秒 | バス運転士

某住宅地に到着… 次々と降りてゆく乗客たち… 最後に残っていた“車内観覧席”の母子3人(推定3~4歳の男の子と、推定2歳の女の子と、推定20代後半の母親)も、すぐに降りて… いかなかった。お母さんが私に「すいません。すぐに降りますから…」と言ったので、私は「はい、いいですよ」と答えた。

どうやら… 寝ているところを起こされたのか、男の子が愚図っていたのである。困ったお母さんは、再び「すいません」と言いながら、とりあえず女の子を抱えてバスを降りた。そして「ここで待ってて、動かないでね」と念を押してから、再びバスの中へ…

お母さんが、座っていた席の周辺をチェックしている時、男の子が立ちあがって通路に出てきたので、車内ミラー越しに私と目が合った。その瞬間、私は反射的に「バイバイ!」と手を振ってしまった… そんなこと、考えてもいなかったのに…

それを聞いたお母さんが「運転士さんにバイバイしたの?」と言うと、男の子もその場でバイバイ… と思ったら、タタタタタタッと通路を走って来て、私のすぐ横で「バイバイ…」と手を振ったのである。私も、もう一度「バイバイ…」と手を振った。

私は静かに扉を閉め(あくまでも気持ちとして…)、バスをグルッと回して待機場所へ止めた。そこは、待機場所のバスと降車場所の人たちが向かい合う格好になるので、私の正面には母子3人の姿が… その時、男の子が再び私に向かって「バイバイ…」と手を振ったのである。もちろん私も手を振って、しばらくの間「バイバイ」の応酬が続いた。

こういうことはとても嬉しいのだが、止めるタイミングが難しい。すぐに発車時刻になれば、それで“本当にバイバイ”できるのだが… その時は、次の発車まで10分以上あったので、結局、その母子たちが立ち去るまで、私は運転席付近から動けなかった。う~む、何か今後の対応策を考えねば…