あるバス停で2人の子供とお母さんが待っていた。先に前扉のステップに上がった男の子は、お母さんがもう1人の子供を抱き上げている間、何だか不安そうな目で(珍しい生き物を見るような目で!?)私を見ていた…
「この何とも言い難い雰囲気を打破しなければ!」と思った私は、やや緊張しながらもニコッと笑ってみた。すると、その男の子もニコ~ッと笑ってくれた。その時、もう1人の子供と荷物を抱えたお母さんが慌ただしく200円を入れて、3人揃って車内後方の座席へ歩いて行った。
バス停を3つほど進んだ所で、その母子は中扉から降りた。そして、お母さんがその場で荷物を持ち直していると、男の子がダッと駆け出してしまったのである。
お母さんが「ちょっと待って!」という感じで制止しようとしたが、下の子も後を追うように駆け出してしまった。そして、私が「何処へ行くのかな?」と考える間もなく、バスの前扉の外まで来て手を振ってくれたのであった。2人一緒に…
あぁ~、やっぱり子供はいいわ。もしも“子供はバスに乗ってはいけない”なんて法律ができたら「こんな仕事やってらんねぇ~!」って… えっ!? お前の好きな若いお姉さんたちも乗るじゃないかって? いや、まぁ… それはそれで… それぞれの良さが… しどろもどろ…
ところが今月、「例の“事故隠し”が報道された後、特に世間の目が厳しくなっている」ということで、再度「クラクションは禁止だ」と念を押されたのである。「前の車が青信号に気付いていなかったとしても、もう一信号待つつもりで」とまで言われて…
ある交差点の左折レーンに2台目で止まって、それほど待たずに左折矢印と直進矢印が出たのだが… 前の車は動かなかった。私は「あれまぁ~! 行かぬなら行くまで待とう、仕方ない… それにしても、何をやっているんだ!? 電話? 化粧? それとも…」と思いながら、その車のドライバーを見た。
すると、その女性はしっかりとハンドルを握って、前を向いていたのである。私は「矢印信号に気付いていないだけならば、いつか動いてくれるけれど… 矢印信号を理解していないということは、死ぬまで動か… ん? いやいや、死んだら絶対に動かないし!」と思って「ポンッ」と鳴らして教えた。
あ~ぁ… 念を押された月に、早くもクラクションを鳴らしてしまった私である。しかし、青信号なのに行かない車に対して“教えてあげない”のはなぁ… 「世間の目」「世間の目」と言うけれど、“バスの乗客の目(特に、助手席などに座って前を見ている人の目)”はどうなんだろう… 何か変…
ある日、電車に乗った。自分一人だったら立ったままだが、母も一緒だったので空いている席に座った。私たちが乗ってから二つ目の駅を発車した時、通路を歩いてきた男性が突然「○○?(駅名)」と私に尋ねた。
見ると、彼は外国人だった。その体からは、時々バス車内にも漂ってくる“私の好きではない香り(香水の一種?)”が発せられていた。私は、その香りに耐えながら「次は△△、その次が○○」と簡潔に答えた。
「○○? △△?」「次、○○。その次、△△」という問答を繰り返した後、彼は立ち去っ… と思ったら、なんと彼が私の隣に座って紙を取り出した。予想通り、それは目的地とその周辺地図だった。
そして彼は「今日ハ試験」「合格シタラ仕事デキル」「ヤル事ガナイト、一日ガナガイ」などと話し始めた。私は「はぁ…」「そう…」と相槌を打ちながら聞いていただけ…
ところが、母は「そうね。給料が安くても働いていた方がいい」「健康なんだから、体を動かさなきゃもったいない」などと会話を始めたのであった。話をしていると、時間が経つのは早いもので… 気が付けば電車は△△に到着しており、彼は降りて行った。
それはそうと「なぜ私に声を掛けたのだろう? 他にも乗客はたくさんいたのに…」という疑問が浮かんだ時、私は“以前、ここに書いた話”を思い出した。それは【近所の歩道上で擦れ違った外国人から、いきなり彼の母国語と思われる言語で話し掛けられ… しかも、とても親しげに…】という話である。
私の顔が、特に外国人っぽいとは思わないのだが… ひょっとして、私の知らない何処かの国には、こんな顔がたくさん歩いているのだろうか…??? う~む… 行ってみたいような、見たくないような…(誰も見たくねぇよ! 気持ち悪い…)
私は「こんなのも車内事故だって言ってたような… 電話するのか!?」と思ったが、娘さんがすぐに起き上がり、お母さんと一緒に笑っていたので、今回は「何も問題なし!」と判断した。
もしも、その娘さんが泣いていたら? タンコブが出来ていたら? 出血していたら? 予想以上に傷が深かったら? また、お母さんが笑っていなかったら? バスを降りてしまったら? などなど… いろいろと考え始めたらキリがない。
実際にそうなった時に、自分がどう判断するのか… その時の状況で、何を重く何を軽く考えるのか… これまでにも何度となく書いてきたように、それは私自身にも分からない…。。。 なぁ~んて怖い顔して考えていたら夜も眠れない。
ということで、考え方を変えよう。もしも、娘さんのケガが酷かったとして… その場で電話して… お母さんともいろいろと話をして… 「運転士さん、独身なの!?」という話になって…(ならんならん!) 「いい人がいるのよぉ~」なんて…(おいコラ! 重傷の娘さんはどうしたんだよぉ~!)
今日の午前中は、営業所とA駅の往復を繰り返していた。朝7時台… 若い女性が「土日切符ください」と言いながら、当たり前のように一万円札を出した。私はやや不機嫌になりながらも、土日切符と釣り銭を取り出して「はい、ありがとうございます…」と言った。その後、営業所へ戻った時に土日切符と釣り銭を補充した。
約3時間後… 別の若い女性が「土日切符ください」と言いながら、これまた当然のように五千円札を出した。私は再び不機嫌になりながらも、土日切符と釣り銭を取り出して「はい… ありがとうございました…」と言った。再び、土日切符と釣り銭を営業所で補充した。
午後は某住宅地とB駅の往復だった。夕方4時台… 中年の男性が乗ってきて「これで… いけますか?」と言いながら一万円札を差し出した。私が「現金で200円ですか?」と確認すると、彼は「はい、そうです」と答えた。
前述の女性たちにはなかった“一言”があったので、それほど不機嫌にならずに済んだ私は「えぇ… 大丈夫ですよ」と答えながら、10枚の千円札を手渡した。男性は運賃箱に千円札を入れて精算すると「すいません、助かりました」と言った。
さらに、若い外国人女性が乗ってきて「ドニチキップ、クダサイ」と言いながら、100円玉と10円玉を何枚も持った手を差し出した。小銭を受け取った私が手の平に広げて数えていると、彼女は小声で「スイマセン…」と言った… 私は「いえいえ、いいですよ… ちょうどありました、ありがとうございました」と答えた。
某駅に到着すると、さきほどの男性が「どうもありがとうございました」と言いながら、前扉から降りて行った… その後、某住宅地に戻ってから営業所へ回送、それで“本日の勤務”は終了… 最後に良い乗客に会えたので、気分よく帰宅することができましたとさ。ルンルン? リンリンランラン!(なんのこっちゃ…)