先日、ある上司が私のバスに乗ってきた。そして終点に到着すると、最後にゆっくりと一番前へやって来たので、私は「ボケだアホだって言われるかな?(そんなこと言わねぇよ!)」と思っていたら、意外にも「さすがですねぇ… 完璧ですねぇ…」と言われてしまったのである。
まったく予想外の言葉に、私の頭の中は真っ白になり… 「何が!?」と思ったけれど、すぐに「ひょっとして安全確認のことかな?」と気付いて「いえいえ… やっぱり(事故は)嫌ですから…」と答えるのが精一杯だった。
今は“交差点左折時には一時停止して、左右の指差し確認をせよ”となっているらしいのだが、そこまではやっていない。もちろん、すぐに止まれるくらい十分に速度を落としているが… 指差しなんてやってないし、そんな余裕もない。
が、たまたまその時は“私を惑わせる歩行者や自転車”がやって来たので、一時停止しただけのことなのだ。あぁ、結果的に“上司の前でいいカッコしい”になってしまった自分が… はぁ~、自己嫌悪…
しかし、その“汚名”を返上する機会はすぐに訪れるであろう。なぜならば、4月以降ずっと“バックする時には窓を開けて顔を出すように!”となっているのだが、私は窓を開けて音を聞いているだけで顔出しはやっておらず… いつか必ずチェックが入るはずだから…
実は、入社当初… 窓から顔を出すように言われてやってみた時期もあったのだが… 何度となく帽子のツバが窓枠に当たって、帽子とマイクが「グニャリンコ!」となり、私の平常心を奪い去り… 「逆に危ない」と思った私は、それ以後やらなくなったのである。
考えてみれば… 顔を出して見える範囲は、右のミラーで見えるんだし… 左のミラーも見なきゃならないし… ほとんどのバスには後方カメラが付いているので、その画面も見なきゃならないんだし… もしも、窓から顔を出すとしたら… 後方カメラが付いていないバスの運転席に“ろくろ首”がいて、にゅ~っと首を伸ばして安全確認をする時くらいかな? ハハハ…
今日、昼寝休憩をしていたら、遠方の知人から超久々のメールが入った。私は「えっ!? 何だろう???」と不思議に思いながらメールを開いた。すると、そこには“バス運転士ブチ切れって… 松井さんじゃないですよねぇ?”という内容が書かれていた。
私が読んだ記事には“始発停でお年寄りに道案内をしていて発車が1~2分遅れ、そのことに対して「時間を過ぎている。早く行け」などと男性客から注意され、しばらく走ったところでバスと乗客を置き去りにした”と書かれていた。もっとも、それだけでは細かい状況が分からないのだが…
まず… 何だかんだで発車が1~2分遅れるなんて日常茶飯事である。そんなことでギャーギャー言う奴なんて、ある意味“普通じゃない”ので完全無視でいいと思う。始発停で何があったのかは、乗客全員が分かっているはずだし… 10分も20分も遅れたわけではないので…
運転士仲間と休憩室でこの話をしていた時… ある運転士が「よっぽど頭に来たんだろうけど… バスを置き去りにするなんて、辞めるくらいの相当な覚悟をしたんじゃないか?」と言った。それを聞いた私は「ひょっとしたら宝くじでも当たっていたりして!? いきなり辞めると言うと怪しまれるから、それを口実にして…」と言いながら、「自分はその作戦で行こう!」と思ったのでありました。当たればの話だけどね。当たれば…
さらに、時間がかかってしまう理由がもう一つある。過去のブログにも書いたように、私は“前扉の操作ミスなどで乗客を挟んでしまった”ことが何度かあり… このような超満員状態になると、どうしても意識が“前扉の開閉”に集中してしまうのである。
だから、バス停で止まるたびに「扉、開けますよ(閉めますよ)」と言っているにもかかわらず、ドキドキしながら扉開閉レバーを操作しているのだ。そんな感じで停車と走行を繰り返しながら、あるバス停を発車した時だった… 一人のおじさんが「おい! 今、扉を開けてくれんかったよな!」と言ったのである。
驚いた私はすぐに降車ランプを確認… しっかりと“点灯中”だったので、「あっ… 申し訳ございません」と謝罪しながらバスを止めて扉を開けた。さらに、バスを降りながら「ちゃんと見て運転してもらわんと困る!」などと言われたので、私は二度三度と「申し訳ございませんでした」と謝罪した…
これは、直そうにも直せない私の欠点で… 一つのことに意識が集中してしまうと、他のことに気が回らなくなってしまうことがあるのだ。何かに集中すると、食べることも眠ることも忘れ… 殴られても刺されても気付かず… 死んでも生き返っても変わらず… そんな私ですが、どうぞヨロシク!(合コンの自己紹介かよ!)
が、一昨日のスーツ男の姿は見当たらず、バス乗り場から少し離れた“例のポジション”には一人のお爺さんがいるだけだった。私は「まさか… スーツ男とお爺さんが、同じ仕事を交替でやっているのか!? いや、そんな仕事… 想像つかんわな」と独り言を呟いていた。
そこへ、一昨日と同じように先発のバスが来て、待っていた人たちを乗せて行って、とりあえずバス乗り場には誰もいなくなったのだが… やはり、お爺さんは自分のポジションから動いていなかった。私は「一昨日同様、バスを乗り場へ移動させると同時に動き出すのだろうなぁ…」と思っていた。
ところが、私がバスを動かしてもお爺さんに動きがなかったので、私は「おっ、ひょっとして… 今日は誰も乗らないかも… 終点で忘れ物チェックをしなくてもいいぞ~」と思ったその時… バス乗り場の横の階段を上がってくる人影に気が付いた。
私は「ま・さ・か…」と思ったが、案・の・定… それはスーツ男であった。しかも、今日はもう一人… おばさんまで乗ってきたのである。二人とも、とても気軽に声を掛けられるような感じではなく… 無言の仕事人たちであった。
おばさんが先に大きな交差点のバス停で降り、スーツ男は一昨日と同じバス停で降りて行った。私は終点で「忘れ物なんてないだろう」と思いながら通路を後方へ… すると、スーツ男が座っていた場所には“飴かガムの包装紙”が落ちていたのである。
あんにゃろ~! 再会するのは7月か8月か… その時は暖房を入れて灼熱地獄じゃ~ ん? 本当に彼のゴミかって? A駅に到着した時に落ちてなかったかって? う~む、そう言われると… 見落としていたかも… 次回はちゃんと“ゴミの指差し確認”をして…
しかし、また誰か他の人が乗ってきたら何も出来ないんだよなぁ… あぁ、何でもいいからピンポイント攻… 否、個別接客できればなぁ~! 携帯野郎や音漏れ野郎に対しても使えるんだけど… 例えば、ゴム製の蛇やコンニャクを落とすとか…(昔のお化け屋敷かよ!)
先日、「バスに轢かれそうになった!」という、とても激しい苦情が入ったらしい。私が聞いたのは【バスが某駅ロータリーから一般道沿いのバス停への出るために“信号のない横断歩道”を横切った時、その横断歩道を渡ろうとした男性に“バスの後部”が当たりそうになった】ということだった。バスの“後部”ということは、自分の歩みを止められたことに腹を立てただけではないかとも言われていたのだが…
昨夜、私は「そんなことで!? まぁ、いいや。とりあえず、一度チャレンジしてみよう。歩行者等の流れが完全に途切れるのを待って、それらの動きを止めることなくバス停へ出て行くように…」と思っていた。そして、バスの発車時刻が近づいた午後9時40分過ぎ… 通常は“発車時刻の2~3分前に乗り場へ着ける”ことになっているけれど、その時の私は少し早く4~5分前にゆっくりと待機場所から動き出した。
例の横断歩道を前にして、私は一時停止した。2人の歩行者が渡っていたからである。が、すぐに2人は渡り終え、私はバスを動… と思ったら、逆方向から1人の歩行者が… それを待っているうちに、今度は自転車が… 次は数名の若者が… スケボー野郎まで登場して… またまた歩行者があっちからこっちから… 私は「えっと… 今は… 夜の9時40分過ぎだよねぇ? こんなに人が来るんだっけ!?」と驚いた。
その原因は… 横断歩道を正面にしたバスから見て、右斜め後方にある某駅の改札口である。横断歩道の左方向から来て、某駅の改札口へ向かう人… 某駅の改札口から出てきて、横断歩道の左方向にある交差点を目指す人… それがまたパラパラパラパラと… まとまって来てくれないのである。
結局、“完全に途切れるまで待つ”つもりだった私は3分30秒間まったく動けず、発車時刻の30秒前になってしまい… 左方向から横断歩道へ向かってくる2人の歩行者の存在に気付いていたけれど、ゆっくりと前進して道路へ出た。その時、左のミラーには“私のバスに足止めされた2人”が映っていたのだが… 私は「先日の苦情もこんな感じだったんじゃないの?」と思った。
午後11時半頃、営業所へ戻ってから「今日、バスに轢かれそうになったという苦情は入りませんでしたか?」と聞いてみたが、どうやらなかったようで… 当たり前か。しかし、この某駅にはちょくちょく行くので、今後どうすれば良いのか考えなければならない。冒頭の苦情のせいで“横断歩道で歩行者の進行を妨げるな”みたいな指示が出ているから、昨夜の私のような状況でも苦情がくれば「だから言ってるだろう!」と怒られるだろうし… それを恐れて発車時刻を過ぎても出て行けなければ「何をもたもたやっとるんだ!」と言われるだろうし… 究極の選択みたいだな。ハハハ…