バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

残額不足… で、どうするの? お~い!!

2013年03月31日 20時48分12秒 | バス運転士

休日の朝は… 平日の朝ほどではないけれど、お出掛けの人たちがそれなりに乗る。しかも、人数以上に運賃精算に時間がかかるし、土日切符の販売もあるので、嫌でもバスは遅れてしまう。それなのに、運行時間は平日よりも短縮されているので、気が付けばバスは5分以上遅れていた。

そんな状況の中… あるバス停で乗った若い女性のICカードが残額不足だった。彼女が「あ…」と言って立ち止まったので、私は「まだカードからは引かれていませんので、カードに入金してから精算されるか、現金で支払いされるか… どうされますか?」と説明したのだが、彼女は私の方を見ることもなく、ずっと無言でバッグの中をガサゴソ… そりゃ~、こんなオッサンの顔なんて見たくないだろうけどさぁ… しばらくして、彼女はカバンから他社のICカードを取り出して、私を無視したまま無言で精算して着席した…

私が扉を閉めて発車しようとしたら、左ミラーに“懸命に走ってくる”2つの人影が映った。かなり距離があったので、いつもは迷うところだが… 私は迷わずに再び扉を開けた。ちょっと気分が悪かったので、空気を入れ換えようと思って…(ウソつき!) そして2人は「ありがとうございます」と言いながら飛び乗ると、「土日切符、2枚ください」と言った… あぁ…

夕方、あるバス停で乗った若い女性がICカードをタッチしたのだが、残念なことに残額不足であった。私は朝と同じように説明をしたのだが… 彼女は微動だにせず、無言でジィ~~~~~ッと空中の一点を見つめていた。そこで思わず、彼女の顔の前で手を振りながら「お~い、大丈夫かぁ~? 帰って来ぉ~い!」と言いたくなったほどである。しばらくして、彼女が急に動き出し… 財布から他社のICカードを取り出し、「朝の女性と同一人物なのか!?」と思えるほど、同じように私を無視したまま無言で精算して着席した…

その時、私は… 朝の彼女も夕方の彼女も「私と同類かもしれない」と思った。きっと、何か一つのことを考えていると、他のことは何もできない&何も喋れないのだろうと… そういうことにしておこう! そこにあるべきはずの会話がなかったとなると… 私の中の“会話に対する欲求不満”が膨張して… せっかくテニススクールへ行っても“ラケットも振らずに、口ばかり動いてしまう”からね。ハハハ…


信じる者は救われたか?

2013年03月30日 14時32分05秒 | バス運転士

先日の夜10時過ぎ… 乗客の少ない路線を、営業所前ターミナルへ向かって走っていた。私が「次は… 昼間でも通過することが多いから、間違いなく通過だな」と思いながら、あるバス停に近付いて行くと… 2つの人影が立っていた。ちょっと驚きながらバスを止めると、高校生のカップル(女は制服、男は私服)が乗ってきた。

そこからバス停を3つほど進んだ辺りの交差点で信号待ちをしている時、高校生の男が運転席の横までやって来て「××までって、バスあんの?」と言った。その言い方に、私の心の水面が少し波立ってしまったが、「この時間だと… あるかどうか微妙ですね」と答えた。

ウチの営業所が担当している路線にも××停はあるのだが、ちょうど最終バスが出てしまう時間だったからである。そこで私は「2人は若いんだから歩けるだろう」と思って、「この道を(バスは左折するけれど)真っ直ぐ行けば××に出ますよ」と言った。

そこで改めて彼の顔を見た! の・だ・が、明らかに高校生などではなく20代… ひょっとすると30代かと思われるほど艶のない肌をしていたので、「こんな時間にこんなオッサンが高校生と…」と驚きながらも「まさか女の方も… ただ制服を着ているだけで“いい歳”だったりして!?」と思ってしまった妄想屋の私…

さて、男が「それは分かってるんすけど… (営業所前ターミナル発の)バスがあるかどうか分かんないっすか?」と言ったので、私は「ちょっと調べてみないと分からないですねぇ…」と答えた。すると、次のバス停で降りようと中扉の内側に立っていたおじさんが「まだ10時だろう! バスなんて11時まであるんだから大丈夫だって!」と言った。

その最終バスが××を通らないことは分かっていたが、それ以外に××の近くを通るバスがあるかもしれない… しかし、何も確証がなかったので私は黙っていた。一瞬の静寂の後、男は「おじさんを信じるしかないかぁ~!」と言った。

私は「おじさん以外に乗客もいないようだし、次のバス停で止まっておじさんが降りたらバスの時刻を調べようか…」と思っていたのだが、そのバス停で一人の女性が乗ってしまったので、それも出来ず… とにかく先を急ぐしかなかった。

で、営業所前ターミナルに到着して、すぐに彼らはバス乗り場の時刻表をチェック… それと同時に、私もバッグから時刻表を取り出してチェック… すると、すぐ4~5分後に“××停から約300m東にあるバス停”を通るバスがあったので、私はホッとした。めでたし、めでたし…


運賃箱は魔法の箱か!?

2013年03月29日 20時03分53秒 | バス運転士

昨日、もう一つ… ちょっとしたことがキッカケで遅れてしまった運行もあった。あるバス停で数名の乗車があり、一人のおじさんがICカードをタッチしたのだが、残念ながら残額不足だった。私が「まだカードからは引かれていませんが、どうされますか?」と言うと、おじさんは「じゃあ、現金で払います」と言いながら運賃箱へ200円を投入した。

バスが発車してすぐに降車ブザーが鳴り、車内中央付近に座っていたおじさんが立ち上がり… なぜか前方へ歩いてきたのである。私は「他社バスと勘違いしているのかな? それとも… 降りるのは他の乗客で、おじさんは質問があるのかな?」と思いながら、いつものように「ご乗車ありがとう~」と次のバス停で止まって扉を開けた。

すると、おじさんが「カードの補充はできますか?」と言ったので、私は「はい、できますよ。バスでは千円札のみになりますが…」と答えた。それに対しておじさんが「他の駅で入金したいので、さっきの返して欲しいんですけど…」と言ったので、「えっ!? さっきの200円を返金しろってことなのか? それじゃ、今回の支払いは…???」とプチパニックに陥ってしまった私は「え~っと…」と即答できなかった。

するとすると、おじさんが「カードはあるんですよねぇ?」と言ったので、私は「あ、いや… さきほどのカードに入金して何度も使うようになっていますので…」と答えた。それでも、おじさんが「カードが欲しいんですけど…」と言ったので、「何らかの理由で、もう一枚のカードが必要なのかな?」と思った私は「ありますよ。一枚2000円になりますが…」と答えた。

するとするとすると、おじさんが「そうじゃなくて… さっきのカードを返して欲しいんですけど… どこかにあるんですよねぇ?」と言いながら、その目でキョロキョロと運賃箱を舐めるように見回し… その指を使ってICカードのセンサーを開けようとしたのであった…(開かないけど…)

そこで、ようやくおじさんの話が見えた私は、おじさんが脇に挟んでいるセカンドバッグを指差しながら「あ… あの… さっきのカードならば、その… 財布の中かどこかに入っていると思いますけど…」と答えたのだが… おじさんは驚いた様子も見せず、ポーカーフェイスで「あ、そう…」と言いながらバスを降りて行った…

それにしても… “運賃箱のセンサーにタッチさせたICカードが消えてしまう”なんて勘違いをされたのは初めてで… “世の中には、いろんな人がいる!”ということを改めて知らされた私だった…(そういうオマエも言われてるんだろうなぁ~! 知らぬは本人ばかりなり…)


連続攻撃にやられた

2013年03月28日 23時56分51秒 | バス運転士

朝の通勤ラッシュ後のあるバス停で… お子さんを連れたお母さんが「土日切符を、大人一枚と子供一枚ください」と言った。私は「今日は平日なんだけど… 勘違いしてるのかな?」と思いながらも「えっ… と… 土日で… よろしいですか?」と確認した。たまに「事前に買っておく」という人がいるので、平日だから普通の一日券… とは限らないのである。

すると、お母さんが「えっ!? あ、あぁ… (バスに乗って出掛けるのは)いつも土日ばかりだったから… 普通の一日券ください」と照れ笑いを浮かべながら言った。私もオッサンの微笑を返しながら「はい、ありがとうございます。いや、ひょっとして、事前に買っておかれるのかと思ったので…」と言った。

実は、その3つくらい前のバス停でも、お孫さんを連れたお爺さんから「子供用の一日券ください」と言われていて… この一年で“売った記憶がないくらい滅多に売れない”子供用一日券の手持ち2枚が売り切れてしまった。また、子供用の普通一日券(430円)では10円玉の釣り銭が必要になるので、いつもより余計に時間がかかってしまった。

夕方、某駅を出て某所へ向かっている時… オジサンがICカードをタッチしたのだが残額不足だった。そこで「入金するで…」と言いながら、当たり前のように一万円札を出したので、私は落ち着いて応対するために“アイドリングストップ、駐車ブレーキ、ハザードランプ”を作動させた。その“一撃”で、カバンの中の千円札はゼロになってしまった…

数分後、あるバス停からスーツ姿(新入社員研修の帰り?)の若者数名が乗ったのだが… その中の一人が「五千円札、大丈夫っすか?」と言った。私は「大丈夫じゃないっす!」と思いながら、ポケットからマイ財布を取り出して両替をした… 今日は、朝も夕方も、見事な連続攻撃に遭って遅れてしまった。春休みだから? 新年度前だから? そして来月になれば、さらに“不慣れな乗客”が増えるので、戦闘準備… 否、心の準備をしておかなければいけないと思った、マル!


まさかの駆け込み乗車

2013年03月27日 21時04分07秒 | バス運転士

今日の午後… 某駅を20分に発車するのが、私の最後の乗務だった。運行カードの右上には“同じ乗り場から出る15分発のバスがある”という意味の“15”という数字が印刷されていたので、私は「そのバスが出てから、ゆっくりと乗り場に着ければいいか」と思っていた。

すると、10分を過ぎた頃に、一台のバスが乗り場に着けたのである。私は「このバスが15分… いや、ちょっと着けるのが早いような… あぁ、きっと15分発のバスの… さらに2~3分前のバスなんだ!」と思った。その予測の正しさが証明されるように、15分発と思われるバスが、そのバスの直後に止まった。

それから1~2分後、「そろそろ乗り場に止まっているバスが発車するだろう」と思っていたら… 駅の方から2~3人の車椅子のお婆さん(それぞれに付き添いの人あり)がやってくるのが見えた。私は「あっ… あれは… 私が午前中にココ(某駅)へ向かっていた時、途中の某バス停にいたお婆さんたちかも!? その時は私のバスに乗らなかったから、違う系統のバスに乗るに違いない」と思った。

ところが… 乗り場に止まっているバスに発車する気配がなく… 私が「まさか!?」と思って、そのバスの運転席を見たところ、そこには運転士さんの姿がなかったのである。「ということは、車椅子の乗車扱いのために席を立ったということか! 車椅子のお婆さんたち、そのバスに乗るのかぁ~!!」と思った私は、すぐにバスを降りて行った…

すると、そのバスの運転士さんと付添いの人との会話がゴチャゴチャしていたようで… 私の耳に聞こえてきたのは「車椅子での乗車は1名だけ…」「いえ、もう1人乗ります」「それじゃ2名で…」とか何とか… とりあえず私はスロープを出して… そこへ、直後で待っていた次発のバスの運転士さんも応援に来てくれて、ドタバタと2名の乗車を完了した。

私がスロープを片付けていると、乗り場に並んでいた乗客の誰かが「もう1人いるぞ!」と叫び… 確かに、もう一人の車椅子お婆さんがやってきた。そこで、応援の運転士さんが“バスには2名分しかスペースがない”ということを伝えると、「車椅子を畳んで、歩いて乗ります」ということだった。そこで再びスロープを出して… お婆さんは、我々運転士と付き添いの人の腕につかまり、今にも倒れそうな足取りでゆっくり歩いて乗車を完了… 結局、そのバスは4分ほど遅れて発車した。

ということで、次発のバスも3分ほど遅れて発車して… 私は何とか予定通り… と思ったら、乗り場に来たお年寄りから質問されて… 答えているうちに1分ほど発車が遅れてしまった。。。。。それにしても… もしも、そのお婆さんたちの行き先が“私が午前中に目撃したバス停”だったとしたら… 10分も待てば次のバスがあるんだけど… そこで「乗車お断り!」なんて… 言えねぇ言えねぇ、絶対に言えねぇ~!!!(二日連続かよ!)