バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

雨の日は… 車内も雨!?

2011年02月28日 22時24分44秒 | バス運転士

雨の午前中… 一人のお婆さんがバスに乗ってきて、バッグの中から何かを出そうとしていた。私は「フリーパスかな? カードかな? 財布かな?」と考えながら、お婆さんの“手元”に注目していた。

しばらくすると、お婆さんはフリーパスを取り出して私に見せた。私は「ありがとうございます」と言い… その時、初めてお婆さんの“全体像”を認識したのだが、お婆さんは傘を差したままだったのである。

それなのに、お婆さんはそのまま車内後方へ行こうとしたので、傘の骨の先端が運転席背後の柱に引っ掛かり… それがピンッと弾かれて水滴がパパパパパッと飛んできた。そこでお婆さんは「あっ… 傘…」と言い、ようやく気が付いたのだった。それはそうと… お婆さん、それは日傘ですよねぇ…


アナコンダ停の工事

2011年02月27日 21時00分09秒 | バス運転士

1カ月ほど前のある日… 昼出勤だった私は、点呼で「アナコンダ停(仮称)の工事が始まっています。仮設停留所が交差点の手前にあるので注意して下さい」と言われた(本来の停留所は、交差点を過ぎたところにある)。

その日の私は、ず~っとアナコンダ停とは無関係な路線を走っていたのだが… 夜も更けて「さぁ、これで今日の仕事は終わりだぁ~!」という最後の一本で、アナコンダ停を通る路線が待っていたのである。そして、みなさんの予想通り…

私は交差点の直前でハッと気付いて「あ、すいません。仮設のバス停でしたね。申し訳ございません」と言いながらバスを減速… しかし、既に仮説バス停を通過しており、交差点内で止まるわけにもいかず… 交差点を過ぎたところにある“工事中のバス停”で降車扱いをした。

私は「申し訳ございません。バス停を見てきますので、少々お待ち下さい」と言ってから、バスを降りて後方へ走った… すると、交差点の向こうから一人のおじいさんが歩いてきたので、私は「○○駅行きのバスに乗られますか?」と尋ねた。が、おじいさんは「違う、違う」と手を振った。結局、他には誰もおらず、バスに戻って「失礼しました。お待たせしました」と言って発車した…

そして先日… 早朝に出勤して昼まで走って、昼食&昼寝休憩があって、再び夕方から夜遅くまで走って… またもや最後の一本だけが“アナコンダ路線”だったのである。私は交差点の手前にある仮設停留所に合わせて「ご乗車ありがとう~」と言い始めたのだが… が… ががが… 「あれ? バス停がない?? また通過しちゃったのか???」と思った私は、ガードレールのないところでバスを止めて「仮説バス停でしたよね。申し訳ございません」と言って降車扱いをした。

しかし、「今回はしっかりと見ていたので、通過したとも思えないのだが…」と納得できなかった私は、ゆっくりとバスを発車させて交差点を通過… すると、屋根付きの綺麗なアナコンダ停があったのだ。私は「ゲゲッ… やはり完成していたのか… 聞いてないよぉ~!」と思いながら、乗客がいないことを確認しながら通過した…


挨拶ではなく…

2011年02月26日 13時15分20秒 | バス運転士

弊社において「バスがすれ違う時の挙手などによる挨拶禁止」という“お触れ”が出たことは過去にもあったが、その時は「一応、言っておく」「一応、聞いておく」という雰囲気だった(と思う)。

しかし、ちょっと前にも書いたように、今回はあの世の方… あ、失礼。雲の上の方の“本気度”が違うようで… ずっと営業所には「日本バス協会からも通達が出ているように“挙手禁止”です」と掲示されている。

今回は、挨拶禁止ではなく“挙手”禁止と書いてある。そのせいかどうか分からないけれど、バスレーンくねくね路線で“完全弊社”のバスに進路を譲っても(譲られても)ジッと見つめられるだけで、挙手されないこともあり… ちょっと寂しく感じたりもする。

会社の方針に従わなければ、評価が下がるのは間違いなく… それはそれで仕方がないと思う。ただ、個人的には“単なる挨拶”はともかくとして「ありがとう」や「ごめんね」という意味の挙手までやらなくなってしまうような環境はどうかと思ってしまう。バス以外の車や人に対しては、そういう意味の挙手をやっているはずなので…

もしも、もしも、もしも、バスジャックされて「手を挙げろ!」と拳銃を突き付けられても手を挙げないでいられるのだろうか… ん? 待てよ… そもそも運転中の運転士に向かって「手を挙げろ!」なんて言う人間はいないか… でも、でも、でも、もしも何も考えない犯人に言われたら!? バスが突っ込んでも良さそうな場所を選んで手を挙げるか… 畑とか、駐車場とか、警察署とか…(ウソ)


女サウザーの幻影

2011年02月25日 15時28分43秒 | バス運転士
某駅近くの小さな交差点… 私のバスは直進だったけれど、左折車が3台も詰まっていたので行けなかった。そこは、左折してすぐに踏切があるので、遮断機が下りたらしばらくは動かないのである。さすがに後続車も“異変”に気付いて、右折レーンから次々と私のバスを追い抜いて行った…


私も同じように行きたかったのだが、残念なことに“一台の対向右折車”が交差点の真ん中あたりまで出ていたのである。大きな交差点ならばともかく、小さな交差点で… もちろん、その車に少しバックしてもらえれば、バスでも通れるようになったのだが… 私の脳裏を「退かぬ!」という女サウザーの勇姿が…


そのドライバーはおばさんで、「私はテキパキと車を動かすよぉ~!」というタイプではなさそうだった(そういうタイプならばバックしてくれるとも限らないが…)。だから私は動くに動けず、信号も赤に変わり、さらにバスは遅れてしまった。女帝の幻影、恐るべし…


女の子男の子

2011年02月24日 17時19分00秒 | バス運転士

バスレーンくねくね路線(運賃後払い)の某バス停で、大人しそうな女の子が、ジッと機械を見つめたまま黙ってカードを通した。私が「ありがとうございました」と言うと、その子のお母さんが私に「ありがとうございました」と言ってバスを降りた… 私がバスを発車させようと扉を閉めたところ、女の子が私に向かって手を振っていた。もちろん、私も手を振って応え、それと同時に元気をもらった!(バスレーンくねくね路線の往復で減少していた私の元気パワーが90%まで回復した!)

その様子を見ながら、ずっと助手席でお喋りしていた母子がいた(お母さんは立っていたけれど…)。とても元気そうな男の子だったので、私は「この子が降りる時には、もっと元気をもらえそうだ」と思った。

そこから3つ先のバス停で、その母子が席を立った。お母さんが小声で「ほら、ここに入れるのよ」と男の子に言い、男の子はジッと運賃投入口を見つめたまま黙って200円を入れた。私が「ありがとうございました」と言うと、と、と… その母子は何か言うどころか、こちらを見ることなく降りてしまった。あぁ… 期待を裏切られてガッカリ気分の私であった…(せっかく回復した元気パワーが70%に減少してしまった…)