現身と 夢繋ぐ 架け橋は 淡路の島に 架かる大橋ぞ
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東亜グラウト工業株式会社
【成長戦略 モグラ産業】
FRP内面補修工法
『枸杞実を頬張り疾走』で下水の循環を
掲載してから持論の「トンネル技術」を
日本の中核にすえるという確信はさらに
深まったが(『茶の花とシチリア記Ⅵ』)
2つの技術的課題についてあれこれ考え
ていた。その1つが「防災時の懸濁回収
排水の濾過システム及びその技術」で2
つめは「配管の高次補修システム及びそ
の技術」。前者は終末処理状の規模とそ
の配置の最適化で既存の技術の改良で対
応できる(例えば、濾過凝集剤として琵
琶湖の藻やプランクトンからポリアミノ
酸系の凝集剤の製造などは新規考案に該
当)。
2つめの解決策は既にあった。その企業
名は「東亜グラクト工業株式会社」だ。
管路メンテナンスの保有技術は5つに渡
る。それだけでない「斜面・法面防災」
「地盤改良工事」なども技術を保有して
いる。従来の土木工学の応用であり格別
飛躍した技術群ではなさそうだが、蓄積
企業技術(know-how)が魅力。老朽化し
た配水管を破壊せず光硬化樹脂と自動内
張装置を使い改修するというから感心だ。
地下建設施工業界は「モグラ産業」とし
て次世代ゼネコンを育生するかも知れな
い。未来への投資主体形成に期待がかか
る。
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【南西諸島水都構想】
暑いなとハンカチで額の汗を拭きながら
アポローンはつぶやく。JR南彦根駅の西
口側の階段を下り、蝉時雨の中を5分ば
かり歩と待ち合わせのポルトガル地方の
漆喰壁風のフィネ・バー『フィンガリ・
ローペェ』(月の雫)に到着する。ドア
を開けると表とは対照的に、赤松の単層
フリーリングに、漆黒の壁と星座と月を
あしらった空間から蝋燭光が漆黒の壁か
らにじみ出すかのような照明で統一され
カウンタを除く天井は直接照明で星座と
月の満ち欠けの連続図形パノラマ展開し
よく見ると時間経過により画像が微妙に
変化していることがわかった。
カウンタの対面の6席の2つのテーブル
奥側にコキノダイナモ、ミカニーコスと
デケファルドラコが座って会釈している。
「マスター取り敢えず生ビールや」と大
きな声でコキノダイモスが注文する。「
まぁ座って。暑かったやろう。荷物はト
イレの前の部屋にれておいて」と指さす。
アポロンは指示されるまま杉の木で作ら
れた一番右の最上段のロッカーに鞄と汗
に濡れたコットンブレザーを入れセルラ
ーホンで鍵をかけ、栗の木で作られたテ
ーブルに着席した。
アポローン
コキノダイモナ
ミカニコース
デケファルドラコ
キーリオスは女性だった。BGMを変える
ように、コキノダイモナが彼女の耳元で
何かささやくと新曲を携帯電話で D/Lす
ると自動演奏されてきた。テーブルには
付き出しは淡路産の鱧落としの梅肉和え
と生ビールが置かれていた。長崎から先
に来ていたデケファルドラコが置かれた
食器類を手でよけ、持ってきた地図を広
げ小声で「これを見て欲しい」と切りだ
した。そこには南西諸島と琉球海溝など
の上からいろんな文字が記されている。
そして、デケファルドラコのデクシャが
「ご存じの通り南西諸島は、九州から台
湾にかけて連なる全長1200kmの島弧です。
ここではフィリピン海プレートが南西諸
島の下へ北西方向に沈み込んでいる。ま
た、南西諸島の北西側では背弧海盆であ
る沖縄トラフが現在拡張している。現在、
南西諸島の形成史は完全に解明されたと
は言い難い」と地図を示しながら説明を
はじめた。その間、デケファルドラコの
アリステファは煙草を旨そうに吸ってい
るが、この店は全域喫煙可能なのだが、
特殊な可動式排気装置でたちどころに吸
引排出できるようにキーリオスが設計施
工したものだ。アポローンが怪訝な顔す
るのでミカニコースは「この店は世界に
一つとないもので溢れているのですよ」
とすかさず説明を入れる。
南西諸島各地における潮位の予測値
「沖縄トラフは現在リフティングの初期段
階であると考えられている。国土地理院
の連続GPS観測結果からも、沖縄トラフ
のリフティングによって南西諸島が南南
東方向に移動しながら同時に海溝軸に平
行に拡張する様子が明らかになっていま
す」と説明しているとデケファルドラコ
のアリステファが「この50万km2 の日本
固有海域に未来の水中都市を建設すると
いうのが今回の提案ということです」と
せっかちにコメントをした。
高機能型浮体構造物
freedom ship
「日本近海の有望な海底資源は静岡~和
歌山沖、四国沖のメタンハイドレートや
東シナ海の天然ガスがある。メタンハイ
ドレートについては国内の天然ガス14年
分に相当する約1.1兆立方㍍の埋蔵量が
確認されている。マンガン団塊のうち希
少金属のコバルトを多く含む「コバルト
リッチクラスト」も世界有数の埋蔵量が
ある。海底資源開発推進法、海洋基本法
なども整備されて来てはいるが「海洋治
安」(軍事・境界・外交)「海運・造船・
港湾」「海洋資源・エネルギー」「海洋
環境」など分科されて議論されているに
過ぎない」と繋ぎ黙り込んだ。
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「つまり、社会生態学的なアプローチが
ないということだね」(『銃規制の挫折
とイエロー効果』)とアポローンがだめ
を押すようにスモール・トークした。コ
キノダイモナ生ビールを飲み干しお代わ
りをしながら、携帯電話でBGをリクエス
トするとノラジョーンズの“What Am I To
You?” が流れてきた。
「そうです。海の上・中・底に構築する
人間のシステムの発想をコンクリーや鉄
などでイメージ・設計するのでなく、よ
り自然サイドに立ったイメージ・設計で
構築することです。例えば、動物性プラ
ンクトンやクラゲの様な比較的低級な動
物で構造物を設計するということです」。
なるほどとミカニコースは大きく頷いた。
「環境順応型システム、つまり、環境変
動を動的に帰還制御する最上位とした設
計ということか」と珍しくコキノダイモ
ナが真剣な顔で議論に割り込んできた。
“Warmer Seas will wipe out plankton, source of ocean Life ”
「勿論、飛び魚やイルカ、甲殻類も対象
ですがあまり欲張らないで1つ1つを完
璧にこなす。海洋は陸域からの距離と水
深により、陸域と接した海浜域、陸棚上
の大部分を占める沿岸域、さらに沖側の
外洋域に大別され、海浜域と沿岸域は陸
域からの栄養塩類の供給と、波浪や湧昇
流による堆積物のかく乱により、陽光性
プランクトンによる一次生産が活発で、
海浜部は底生生物群集の生産量の割合が
高く、沿岸域では植物プランクトンによ
る生産が大半を占め、外洋域の生物群集
は水深に応じた垂直分布する。太陽光の
到達する水深150~200m以浅は浅海水系
と呼ばれ、ここに生育する植物プランク
トンなど浮遊性の浅海水層群集が外洋域
の一次生産者で、それより下方に生息す
る深海底生群集や深海漂泳群集は、浅海
水層群集の生産した栄養物にほぼ依存し
ています・・・」。
ロンシャス
話は続いているがカウンターにはいつの
まにか座りプロンシャスがカウンターで
マスターとステアのドライ・マティニを
口にしながら世間話をしている。
※今日はここまで、映画「インセプショ
ン」のナイトショーの鑑賞に。
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